先日、育児サークルの運動会があった。

 

 

そう、ハイハイしない、立てない、歩けないの3ないづくしの娘にとって、運動会は試練である。

 

 

私としては、見学者に徹するつもりであった。

 

 

娘は立てないのだから走れない。

 

 

私は大腿骨頭が壊死しているから走れない。

 

 

たとえ大腿骨頭が壊死していなかったとしても、私は走りたくない。

 

 

 

その日は、「お母さん方は動ける服装で来てください」と連絡があったので、私はジーンズ、娘はカバーオールで臨んだ。

 

 

私の中で完璧な服装だと思った。

 

 

私はよく注意書きを読み飛ばし、当日ミスが発覚することが多いので(その証拠にコロナワクチン接種を三回したが、三回ともおくすり手帳を忘れている)、今回こそは完璧だと思ったのだ。

 

 

 

しかし、まず部屋に入った時に「しまった!」と思った。

 

 

私だけスニーカーではない靴で来てしまった。

 

 

スニーカーでない参加者は私だけである。

 

 

これはどうやって隠そうかと3秒ほど悩んだ結果、娘を私の靴の前に置くことで隠すことができるのではないかという結論に達した。

 

 

運動会なのにスニーカーで来ないなんて、

 

山登りなのにヒールで来る人や

 

雨なのにサンダルを履く人のように

 

周りが見えていないように見えてしまう。

 

 

私はそれだけは避けたくて、そっと娘を私の靴の前に置いた。

 

 

そして娘はギャン泣きをした。

 

 

娘は、知らない場所では抱っこ以外の選択肢がないことを私は忘れていた。(運動会は室内だったが育児サークルのいつもの場所ではないところで開催された)

 

 

結局娘は抱っこされたまま、私はスニーカーではないバレエシューズを見せつけたまま、運動会は始まった。

 

 

誰かが聞いてくれるかも、と小さな声で

 

 

「ママ失敗したな〜

 

スニーカーで来たらよかったな〜

 

でもママのスニーカーボロボロだからね〜

 

これが履き心地いいのよね〜」

 

 

と言い訳満載の言葉を娘に言っていると見せかけてみた。

 

 

が、だれも聞いている様子はなかった。

(一歳から三歳までの育児サークルの運動会なんて、自分の子供を参加させるのにみんな必死である)

 

私の名演技は茶番とおわったのである。

 

 

1. 玉入れ

 

玉入れは、幼稚園の運動会と違って、大変低いところにカゴを持ってくれて、誰でも入れられる状態で行われた。

 

 

かなり低い位置にしてくれて、しかも斜めに傾けて、玉を入れやすくしてくれた。

 

 

育児サークルは幼稚園入園前の3歳児までなのだが、3歳児2歳児はもちろん玉を楽しそうに入れ、うちの娘より5ヶ月も遅く生まれた1歳になったばかりの子まで楽しそうに玉を入れていた。

 

 

さて、そんな小さい子にまで配慮された玉入れをうちの娘はどうしたか。

 

 

玉を拾いもしないので、渡したところ、ポイっと違うところに落とすではないか。

 

 

何度玉を渡してもカゴに入れようとしないので(やる気なし)、2、3玉私が入れた。(私が入れることに何の意味があろうか)

 

 

 

2.綱引き

 

 

綱引きも小さい子供だけで、3歳の子たちは自分で綱を引っ張ることができるが、2歳の子は綱を触り、娘以外の1歳の子も綱を触って、大人が助けながら綱引きを行なった。

 

 

えっ?うちの娘ですか?

 

 

綱を触ることも拒否し、「綱の横に娘を抱っこしながら座る私」という謎の構図が出来上がった。

 

 

私は綱の横で座りながら、「これ、私たち邪魔なところにいるよな・・・」と感じて自ら途中で娘を抱っこしたまま、ずりずりと部屋の端に移動した。

 

 

私たち親子の綱引きは、娘を抱っこしたまま、綱に近づけ、綱の横に座り、部屋の端へ移動する、という「娘を抱っこして移動しただけの競技」となった。

 

 

 

3. 障害物競争

 

 

障害物競争は、トンネルをくぐって、ボールを持って、キリンさん(ビニールの木馬のようなものでキリンの形をしているもの。「木馬」の言葉のルールに従えば、「ビニールキリン」である)に乗って帰ってきて、トンネルをもう一度くぐってフィニッシュというものだった。

 

 

ハイハイのできる子は小さい子でもトンネルをくぐることができる。

 

 

もはやトンネルくぐりは、歩けない子供でも参加できるように配慮されたものである。

 

 

しかし、我が娘はハイハイしないので、トンネルをくぐることさえできない。

 

 

それどころか、私の膝の上から微動だにせず、少しでも床に置こうとするとギャン泣きの開始である。

 

 

というわけで、トンネルは諦めて、次のボールだけやってもらおうかと思った。

 

 

本来ならボールは持てる能力はあるのだが、いかんせん、うちの娘はみんなが集まっているところに行こうとしない。集団行動が大嫌いな父親似と思われる)

 

 

というわけで、ボールさえ持とうとはしない。

 

 

それでは、キリンくらい乗っておくか、と無理やり乗らせた。

 

 

 

 

 

ギャン泣きである。

 

 

右手を挙げて、チャゲアスのヤーヤーヤーでも歌いそうだが(例えが古い)、

 

 

これはうちの娘の「抱っこして」の合図である。

 

 

ちなみに、左に見えるヨレヨレのグリーンのハイネックとジーンズの女が私である。

 

 

 

子供運び

 

 

これこそ、うちの子が参加できそうな種目である。

 

 

箱に子供を入れ、親が引っ張る。

 

 

他の子供たちはきゃっきゃ言いながら楽しんでいる。

 

 

さて、うちの子は・・・

 

 

ギャン泣き。

 

 

1人だけのギャン泣き。

 

 

この「前ならえ」のような手は「抱っこして」の合図である。

 

 

ちなみに、右側に見える、ジーンズは履いているがスニーカーじゃない靴を履いている猫背の女は私である。

 

(今自分の姿勢の悪さに気づいて、姿勢正しく座っているがこの姿は読者に見えないのが残念だ。そもそもこのブログに読者は2人しかいない)

 

 

 

お菓子食い競争

 

 

ドーナツが袋ごと(コロナ対策)子供の身長くらいのところに吊るしてあって、それを子供が取る競技である。

 

 

自分で歩ける子、立てる子は自分でドーナツをとった。(つまり私の子以外全員)

 

 

私たち親子だけは、私が娘を抱っこして、娘にドーナツを触らせ、取らせた。

 

 

すると、娘は袋入りドーナツをかなり気に入り(カシャカシャと音が鳴るからだろうか)、ずーっとカシャカシャ鳴らしていた。

 

 

実は運動会の一週間前くらいにリーダーさんから連絡があり、

 

 

「お菓子食い競争のお菓子なんですけど、クララちゃん(うちの子の仮名)ドーナツってまだ食べられませんか?」

 

 

と聞いてきてくれた。

 

 

なんて優しい〜!!!と感激した。

 

 

うちの子のために2歳児や3歳児が「味薄いな〜」と思うようなお菓子にするのはなんだか気が引けたので、

 

 

「うちの子が食べられないものでも大丈夫ですよ!うちにはお菓子大好きパパがいますので」

 

 

と返しておいた。正直、私も卵アレルギーでドーナツは食べられない。が、きっと気を使うだろうと思って、私の卵アレルギーは伏せておいた。

 

 

と、こんなやりとりがあったわけだが、もちろんうちの子は食べられはしないが、袋に入ったドーナツを大変気に入り、そこからは絶対にそのドーナツを離さなかった。

 

 

なので、ドーナツにしてもらってよかったなと思った。

 

 

 

ドーナツのその後

 

それから、メダル授与(全員にメダルがある)があり、みんなで踊って、片付けをして終わったのだが、その間ずーーーーーーーーーっとドーナツの袋を握りしめ、カシャカシャ音を鳴らしていた娘。

 

 

気づいたら、中のドーナツがちぎれて原型をとどめていなかった。(そこまで握る?)

 

 

その日は旦那が在宅だったので、お昼休みの時にその原型をとどめていないドーナツを食べてもらった。

 

 

旦那は、小さいかけらばかりになったドーナツを大変食べにくそうに食べていた。

 

 

その後、グループラインで写真などのやりとりをする時に、娘より5ヶ月も年下で一歳になったばかりの男の子がドーナツを食べている写真が送られてきた。

 

 

「お昼の後、ドーナツ食べてご機嫌です!」と。

 

 

えっ、一歳にドーナツ食べさせていいの!?

 

 

と驚き、それなら娘に食べさせればよかったと後悔した。(どうせ小さいかけらになっていたので)

 

 

食べにくいドーナツの後始末をさせられた旦那も気の毒である。

 

 

新米ママなので、なんでも本やネットの情報を信じてしまい、ドーナツのような砂糖が多いものはあげちゃダメなんだ、と思い込んでいたが、もっと臨機応変に考えた方がいいなあと41歳猫背の新米ママは思った。

 

 

 

運動会から帰ったら・・・

 

運動会から帰ったら、私の左腕に異変が生じた。

 

 

赤い湿疹が大量に出てきて、異様に痒いのである。

 

 

写真を見せたいが、なかなかグロいので、やめておく。

 

 

イメージは蚊に100回かまれた(この「蚊にかまれた」というのは関西弁らしい。「蚊に刺された」という意味で使用)のを想像してほしい。

 

 

つまり、赤い斑点が100個くらい私の左腕を埋め尽くした。

 

 

なになに、なんでこんなに湿疹が左腕だけ・・・?

 

 

と思ったら、この運動会、ずーーーっと9.5キロの娘を左腕だけで抱っこしていた。

 

 

つまり、左腕だけ汗をかいたようだ。(私は汗をかくと湿疹が出てくる体質)

 

 

えーーーーーー、ずっと抱っこしただけでこんなに湿疹でるの!?

 

 

自分で言うのもなんだけど、身体弱すぎじゃない???

 

 

そして、この40歳オーバーの身体は一度湿疹が出ると、なかなか引かない。

(痒みはその日に収まったが、腕には湿疹のあとが2、3日残った)

 

 

抱っこをドクターストップされてるけど、別に大腿骨頭が壊死してなくても長時間抱っこでけへん身体やん!

 

 

と自分で自分に突っ込んだ運動会であった。

 

 

 

世瑠加 唯(よるか ゆい)