9月発売予定の『コミュニティ』から、一部抜粋します。
老舗コミュニティ「フィンドホーン」と、ソニーで同じことが起きた、という推定です。
それは、ある意識レベルに達していた創業者が、「存在のマネジメント」で成功していた、という見解です。
そのマネジメントは、その意識レベルに達していないとできないのですが、創業者は誰でも自分と同じようなマネジメントができると錯覚して、ソースの継承に失敗したという事例です。
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ソニーの創業者、井深大は、個人としては明らかに「実存的変容」を超えておられ、上からのコントロールが少なく、現場の担当者に権限が委譲され、自主的に動ける組織風土ができていました。
「人のやらないことをやる」というフィロソフィーのもとに、担当者が「フロー」に入ってすさまじいパフォーマンスを発揮する「フロー経営」ができていたのです。
井深大は誰でも自分と同じような経営ができると思っていたようですが、個人がその意識レベルまで達していないと無理です。
残念ながら、後継者たちはそこまでのレベルに達しておらず、ソニーは次第に「フロー経営」から離れていき、2003年にはソニーの業績不振を震源地として日本中の株価が暴落する「ソニーショック」につながりました。
フィンドホーンの創業者たちも、井深大も、誰がやっても自分と同じようなマネジメントができると思っていたけど、そのマネジメントスタイルは特定の「意識の発達段階」の発露であり、そのレベルに達していない人がいくら真似しようとしても無理筋なのです。
これを私は「存在(being)のマネジメント」と呼んでいます。その意識レベルに達した人が、そこにいることによって人間集団が自然にある状態になるわけで、そのレベルに達していない人が「こうして、ああすれば、こうなる」と、いくら「行動(doing)のマネジメント」を駆使してもそうはならないのです。
これは、企業経営の世界では「ティール組織」で顕著に起きています。「ティール」というのは、まさに「being(ありかた)」であり、「doing(やりかた)」ではないのです。ある意識レベルに達すると、自然にそうなるけど、そのレベルに達していない人が、いくら「やりかた(doing)」を工夫しても実現できません。

