#16 睡眠障害(身辺雑記) ~ 眠れぬ夜、あなたは何を想うか? | 吉岡 暁 WEBエッセイ ③ ラストダンス

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WEBエッセイ、第3回

 

 

私はよく睡眠障害に陥る。

と言うか、一年を通して通常の時間帯に起き伏しすることの方が少ない(間違いなく、翻訳などという因果な職業を長年続けた後遺症だろう。)

体調が悪いと、眠っていても2時間ごとに目醒めたりする。あるいは、睡眠サイクルが日々ずれて行って、定期的に昼夜逆転する。ある時は、3日連続イヤな夢を見て、夢の中で癇癪を起こし、怒鳴り声をあげ、ベッドから転げ落ちたことがある。

念のためにもう一度言うと、3日連続ベッドから転げ落ちた。我ながら嘘のような話だが、本当だ。

 

で、オチは何か?

そんなもん、ありません。

朝日を浴びてセロトニンをどうしたとか、アロマテラピーがこうした、とかいう話では全くない。強いて言えば、「眠れぬ夜、あなたは何を想うか?」というのがお題だろうか。

私はと言うと、不眠が続いたある時、天井の暗い常夜灯を見上げながらふと思った。

(ああ、こんな時、酒が飲めたらな・・・)

私は殆ど下戸なので、アルコールの酔いが神経を解きほぐすという感覚が分からない。噂に聞く「ほろ酔い」という気分も理解できない。

昔、若死にした友人Cが、とある居酒屋で私にこう言った。

「酒飲めん奴相手に酒飲んでもつまらん」

(知らんがな)と苦笑いした記憶はあるが、具体的に何と言い返したかは覚えていない。ただ「眠れぬ夜 → 酒 → 若死にした友人」というプロセスが示すように、私の場合、睡眠障害による体調不良の時期は、思いが内へ、内へ、過去へ、過去へと流れていく傾向があることだけは自覚した。

 

心の栄養不足なのだろう。

 

                                                            (2023.11.14)

 

 

 

 

 

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