福島豊の「ギコギコはしません」を考察する。 | 世界の中心で人間以外が叫ぶ

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[ハイブリッドスライサーとは]

TVショッピング等で活動している

実演販売士(プロショッパー)の福島豊

QVCジャパンテレビショッピングにおいて

燕三条のパン切り包丁 ハイブリッドスライサー」を

紹介していた際の売り文句として

ギコギコはしません」と

言っていたにもかかわらず

言ったそばから、「ギコギコ」している様子が

視聴者のターゲットとなってしまい

また不幸な事に、生放送であったが為に

一応、パンをカットする事はできたものの

ギコギコしてしまった事は、カットできなかった

という憂き目に遭ったのです。

 

「燕三条のパン切り包丁 ハイブリッドスライサー」とは

メーカー希望価格が、5184円ではあるものの

番組内では、4543円での販売。

全長38.5cm、高さ4.5cm、

厚み1.5cm、刃渡り23.5cm、

重量約120gというスペックで

切れ味アップとサビ防止効果の鏡面仕上げ、

水に強く硬い積層強化木の柄、

背通し(ステンレス3本鋲)で抜けにくいという

幾重ものメリットが混在する逸品です。

 

また、「メイドインジャパン(新潟県燕市)

こだわりの逸品」という売り文句を皮切りに

いきなり紙を、スパスパ切ってしまう

好調な滑り出しからスタートした

刃先(押し切りのきっかけとなる)と

刃元(引き切りのきっかけとなる)が波刃、

真ん中が直線の直刃(すぐは)というハイブリッドであり

通常のパン切り包丁のように

全てが波刃であるが故の

バサバサ・ボソボソになりにくいのです。

 

 

[ギコギコがもたらすイメージ]

「ギコギコ」は、包丁断面の全てが

波刃であるが故に

発生してしまうアクションですが

この包丁は違います、「ギコギコはしません」

という、謳い文句だったにもかかわらず

「ギコギコ」してしまった。

その要因となってしまったのは

後日、自身が白状しているように

(パンに包丁を入れたら、途中で)

止まっちゃったから、ちょっと

ギコギコしちゃったんだよね」や

家(でやったリハーサル)では、

ギコギコしなかったんだけど

『ギコギコしませーん』と

喋り出しちゃったから、しょうがない

勘弁してください、2回ぐらいだから

と語っていたものの

映像を見る限りでは、「ちょっと」や

「2回ぐらい」というレベルではなく

結構な「ギコギコ」具合であり

この包丁の能力を視聴者に指し示すが為に

何度も一斤のパンを切っているのですが

やはり、その度に「ギコギコ」しているので

逆効果なのではと、と言うよりは

「ギコギコはしません」などと言わなければ

普通に切れ味の良い包丁な訳ですし

そういう意味では、「矛盾」しており

「矛(ハイブリッドスライサー)」と

「盾(一斤のパン)」のイメージさえできてしまいます。

 

「ギコギコ」という擬音が

持っているイメージもまた、拍車をかける形に

なってしまったのかもしれません。

桃太郎における「どんぶらこ」同様に

「ギコギコ」は、ノコギリ(もしくは、糸ノコギリ)で

木材をカットする時の

擬音としてしか聞かない故に、簡単に想像でき

視聴者も含め、イメージが統一されてしまっている

「ギコギコ」のアクションが

少しでも出てしまった時点で、それは

イコール「ギコギコ」なのであると言えるでしょう。

 

 

[テレビショッピングの功罪]

アシスタント的役割の、QVCナビゲーター

石川小百合は、一斤のパンが切れたのを見て

「スパッと切れてる。下にね、

切りクズのカスが『少ない』」と

フォロー(?)しており、福島から

「僕は当然慣れてるんで、『お前だから切れるんじゃないか』って

必ず言われるんで、お客様代表。

ではさっそく、石川さんにこの凄さ

試してもらいましょう」と振られた石川自身も

パン切りに挑戦していましたが

「力づくでやってね?」と

ツッコミたくなる動作でしたし、パンは

手で押せば、つぶれるというメリット(?)を

最大限に生かしているようにも見えましたし

そもそも、石川が「さっきね、私1回

試したんです」と白状(?)した段階で

お客様代表を謳っていたにもかかわらず

「練習しとるやないか」と

ツッコまざるを得ませんでしたし、福島も

厚めに、ダイナミックに切っていただいて」と

言っていましたが

そもそも厚く切る方が簡単なので

生放送という場所で失敗しないようにという

細心の注意を払っているのも分かりますし

守りに入っている時点で

やり取りの切れ味が悪い

と言わざるを得ないでしょう。

 

そんな中でも、アシスタントや

撮影スタッフの誰かが1人でも

「ギコギコしとるやないか」と勇気を振り絞って

声を上げていたら、ボケ・ツッコミとして

その場で昇華され、終了していた可能性が高く

後世に渡って、こんなにも

コスられ続ける事はなかったでしょう。

 

これはある意味で

通販番組のデメリットと言える要因で

基本的に、ネガティブコメントを出せない。

出せたとしても、値段が高い事を提示した上で

結局安くなるという利用のされ方をするだけであり

つまりそれすらも、デメリットではない事が分かり

そういう番組としての構造、長年培われてきた

デメリットを口にしないという習慣が

ここまで、大事にしてしまったと言っても

過言ではないのでしょうか。

そして、この出来事がきっかけなのか

スムーズに切れるフレーズとしては

「すーーーっ」というものが

とって変わっているような気がします。

 

この失敗の要因として考えられるのが

パン側に対する考慮が成されていなかったという事でしょう。

紹介する商品は、包丁なので

包丁がしっかり研げているかなど

包丁側のスペックを入念に

チェックする方向に向かいがちなのですが

パン自体が、出来立てだったのか、

それとも、数時間が経過していたのか。

パンを作った時の水分などの含有量や、

オンエアしていた会場の室温など、もちろん

パンがどんなコンディションかというのは

視聴者に対しては、言い訳にならないのですが

紹介する側の準備としては

必要だったと思われます。