みなみかわ・高野正成(きしたかの)の「人がいるドッキリ」を考察する。 | 世界の中心で人間以外が叫ぶ

世界の中心で人間以外が叫ぶ

お笑い芸人などの一発ギャグや決まり文句について考察しています。

[概要]

バラエティ番組「水曜日のダウンタウン」の

『人がいる』の仕掛け人をやったあと

帰宅した自宅に人がいたら

気のゆるみもあってめちゃ怖い説」で

仕掛け人、かつ仕掛けられ人として

登場したのが、みなみかわと

高野正成(きしたかの)でした。

毒舌キャラのみなみかわに

ドッキリ仕掛けられキャラ、かつそれに対して

全力でキレるキャラの高野という構図です。

 

「人がいるシリーズ」は、この番組の

お馴染みとなっているコーナーの1つですが

「気のゆるみ」という事象が、今までにない

エッセンスとして加えられ、仕掛け人側が

ターゲットと初対面ではなく、お笑いという

同業者同士でのマッチアップ

という点に相違があります。

 

プレゼンターは、小峠英二(バイきんぐ)であり

かつて同番組の

「逆ドッキリ、逆逆逆くらいまでいくと

疑心暗鬼になる説」で、澤部佑(ハライチ)と

「逆逆逆逆逆ドッキリ」まで敢行した過去があり

そういう意味では

感慨深いものがありますし(?)

「水曜日のダウンタウン」に限らず

逆逆ドッキリは、割と存在しており

最初に提示された説を見ると

この、「逆逆ドッキリ」に類するものと思いきや

只では転ばない番組スタッフの奸計により

壮絶な潰し合いへと発展していく訳です。

 

それはまるで、大どんでん返し系の

ミステリー小説を見ているよう

ターゲットとなった2人は、もちろんの事

MC・プレゼンター・パネラー、そしてスタッフの

キレキレっぷりに、感嘆せざるを得ません。

 

しかしながら、VTRが始まる前から

小木博明(おぎやはぎ)が

元々、最初の人からもう

気の緩みはあるけどね」と

疑問を投げかけていました。

 

 

[1回表:(仕掛け人)高野]

まずは、スタッフによって

家族に外出していただいて、みなみかわが

家に1人という状況を

作り出したところからスタートします。

 

洗面所に潜む仕掛け人は、高野であり

1発目のマッチアップがあったものの

いわゆる、知り合いであるが為に

最初の段階では

今まで同様に驚きを隠せないものの

知らない相手に対して抱く

後を引く恐怖というものは、ここには

存在していないのが分かります。

 

「何やねん、何してんねん」という

ホッとした感情も

入り混じるコメントとなっています。

人がいるシリーズの、暗黙のルール的同様に

カメラが回っている中では、高野も

忠実に無表情・言葉を発しないスタンスを貫く様が見られます。

ビックリした時、「ビックリした」と叫びながら

腰を抜かしつつ、一目散に逃げるという

リアルな動作が、垣間見る事が出来るのです。

 

 

[1回裏:(仕掛け人)みなみかわ]

何も言わずに、みなみかわを外へと連れ出し

移動中にスタッフから

本当の説に関する説明があり

「帰宅した自宅に人がいたら」の

「人」の部分を、みなみかわが

担う事が告げられます。

めちゃくちゃオモロいじゃないですか、これ

みなみかわも、この仕掛けに

色気を出しています。

 

仕掛けの大成功に対して、高野は

「めちゃくちゃ嬉しいです」と感想を述べており

「気のゆるみ」の伏線は、出来上がっている

と言って良いでしょう。

偽番組のリモート打ち合わせと同時に

自宅の様子を見たいという指示の為

強制的に自宅に帰らされる高野は、行動を

制限させられ、誘導させられている状態である事が分かります。

 

みなみかわが、高野宅の洗面所に潜伏。

松本人志(ダウンタウン)も、「気の緩みとか、

関係ないけどな」と、最もな意見を述べ

隠れていた、みなみかわの姿を確認した後

高野は、「どういう事なんだよ」と

困惑コメントを漏らし、ネタバラシ後も高野は

「これ、何なんすかホントに。

どういう意味ですかこれ?」と

意趣返しではあるのですが

その構造の意味に、また何故

こんな目に遭わなくてはならないのかという

困惑っぷりも、伺えてくるのです。

 

みなみかわも、同様に

ノーリアクションを踏襲。

ナレーションの、「説は立証されたが、

二重の仕掛け人を終えたみなみかわは、

さらに気が緩んでるはずだ」の説明に

このナレーションを最後まで聞く前に

野呂佳代も、「嘘でしょ?」と困惑。

みなみかわに行なった同じ説明を

高野に繰り返すという、鳥瞰的に

視聴者に伝えられる事実がある一方で

2人は、ただ相手を仕掛け続けるという

構図の違いが面白く映るのです。

 

 

[2回表:(仕掛け人)高野]

潜伏先は、キッチン&洗濯機ゾーンという

1回目よりも、発見されづらいエリアをチョイス。

ナレーションが、「案の定

気が緩んでいるのか。

デニムを脱ぎ、楽な格好に」という

ずいぶんなセリフで呼応しているのが分かり

みなみかわは、やっぱり驚くという

まんまと(?)術中にはまった形となり

「やってやり返してで、『はい、終わりました』

やったやんか」と、最も過ぎる批判を述べます。

この段階で後を引く、何だったら

しばらくの間、後を引きすぎるという

表現の方が正しいのかもしれません。

 

 

[2回裏:(仕掛け人)みなみかわ]

潜伏先は、寝室の押し入れであり

やはり、先ほどと比べると

見つけづらいエリアです。その箇所は

普通に家で生活するにあたっては

「普通は」なかなか開けない場所ですが

ご存じの通り、今まで起こっている事が

普通ではない故に

高野がシャワーを浴びた後に

ここまでの強烈すぎる

一連の流れを思い出したのか、様々な箇所に

探りを入れていくのが分かります。

 

疑心暗鬼も頂点に達しているのか。

2対1のアンバランスな状況も手伝って、高野も

「いるんだろ?いるんだろ?」と

声を出しながらの詮索となっています。

そして「人がいる」は、分かっていても

怖い事が判明し、発見されたみなみかわは

「もうこれで、終わりね。

約束しよう。考えて。2-2や。

ピッタリやん。な?」と諭し

空返事の高野に対して

「ちゃんと、返事しろよ」と窘(たしな)めます。

双方にとって、基本的に得はないが

テレビに長時間映る事のできる可能性がある

という取れ高の観点もあるのでしょうが

心理的には2人ともに、そんな余裕は皆無でしょう。

 

 

[3回表:(仕掛け人)高野]

ベランダに立つ高野。やはり、このまま

終焉と言う訳ではないらしい。

これは高野の意思ではなく、スタッフの意思。

当然、流れ的に

最初から疑ってかかるみなみかわ。

通常であれば長期戦以外の

何物でもない、ベランダでの待機も

「高野、いるよなー?」

と言いながら、あっさりと発見。

ナレーションも、「もはや、ドッキリというよりも

かくれんぼだ」と白状する始末。

スタッフも、2人に対して言っていましたが

「気が緩んでるとか

そういう事じゃないですね。逆に」と

何だったら、別の段階に

上がっているのが分かります。

 

 

[3回裏:(仕掛け人)みなみかわ]

散々、検証終了がスタッフによって

そして2人双方で、提示されたにもかかわらず

誰を信じれば良いのかすら分からない、カオスな状況。

 

見つけづらいという観点に立てば、同様の

リビングの押し入れに潜入する、みなみかわ。

人間が隠れる事のできる箇所は

限定されているので、ある程度の詮索によって

ヒットするのは必然となっています。

腰を引かせながら、色々な

あらゆる箇所という箇所を

次々と開けていく高野、そして何度やっても

驚きを隠せないリアクションに

松本も、「ビックリより、怒りの方が強いかな」と

同情を寄せているのが分かります。

 

 

[4回表:(仕掛け人)高野]

明らかに膨らんでいる布団。

仕掛け人側も、というよりかスタッフも

隠す気すらない事態に

みなみかわも呆れるしかない。

「なぁ、やめてくれよもう。

家族で寝てる所で、お前。汚いおっさんが」と

隠れている場所に関しての苦言が漏れ、また

「中学校の頃に、ヤンキーがさ

いじめられっ子を、『お互い、ケンカしろ』って

言ってんのと一緒やねん、構図」という

例えツッコミも飛び出します。

 

 

[4回裏:(仕掛け人)みなみかわ]

自分の家にいるにもかかわらず

よそよそしい態度を

隠し切れない高野の様子を見て

小峠も、「人んち、来てるみたいだもんな。

友達んち、来てる」と発言。

スタッフがDIYか何かして、イジっている

とまで思っているのか。それとも、みなみかわが

スモールライト的な道具で

小さくなっているとでも思っているのか。

台所の上の棚、冷蔵庫の野菜室など

明らかにスペース的に

みなみかわが入りこむ事のできない箇所まで

開ける始末へと発展しています。

 

先ほどと同様に、4対3の状況ゆえに

ここで終わるはずがないという

人間の心理を突いてくる中で、発見できずに

諦めて就寝に至ります。

そして、朝7時

目が覚めて寝室の扉を開けたら

そこには、みなみかわが直立。

目覚め切っていない状態からの、落差

味わう結果となりました。

 

 

[検証結果]

検証結果は、「散々探していなかったのに

『人がいる』はめちゃくちゃ怖い

というものでした。

野呂は、「やっぱ他人事(ひとごと)だから

めっちゃ面白いです」。

小木も、「こんな低予算で、

面白いのって凄いよね。2人だけよ。

(ギャラが)安い2人」と呼応すれば、小峠も

「安い2人が、行き来しているだけですからね」と

他人事ならではの、とは言え

面白コメントを、しっかりと残したのでした。