[出演終了のアクション ~取って、入れて、出す~]
突然に登場し、風の如く去る。
今まで暴れ回っていたのが嘘であるかのように、急に冷静を装って
何かを思い出したかのように腕を上げ、手の甲を見ながら
「あっ、バイトの時間だ」と言った後
大股で現場から走り去っていく様が、カメラで捉えられます。
時間に追われ、一応は急いでいるようです。
最近では、次の仕事が入っている為
「この出演者の出演は、ここまでです」というやり取りが
そのままオンエアに乗る事も珍しくないのですが、同じ芸能関係の仕事ではなく
バイトである事をアピールするというのは、特殊とは言えます。
他に仕事が入っているというのは、自ら言いづらい事ではあるので
本来は共演者によって言ってもらうのが一般的ですが、江頭は自ら言ってしまうのです。
時間を確認している事をアピールする為の動作ではありますが
腕時計はしていないのが、はっきりと映っています。
これでは端から見れば、「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」
(石川啄木)と勘違いされても、おかしくはありません。
そして「あっ」という、あまりにもわざとらしい惹きつけワードも見事に決まっています。
マッチポンプ的に、事態の収拾をはかる(?)かのように
流れを切る形で、自ら切り出します。
類型として、ユリオカ超特Qがネタの締めに使う「発車の時刻です」がありますね。
誰にも真似できないジャンルを確立した(?)江頭と、「バイト」というワードに関連性について
この「あっ、バイトの時間だ」というフレーズ自体は
本人もお気に入りなのか、かなり長い期間使用しており
今も掛け持ちをしているとは到底考えられないのですが
多少なりともそういう雰囲気を持ち合わせているというのが、くすぐりとなり笑いになります。
突然暴れられた側の共演者も反論し、反撃したい気持ちはあるものの
話の骨を折るように、一方的に攻撃を加えたかと思えば
ある種の空気を読んで、流れが変わる前に立ち去る為の
最もらしい(?)理由付けが伴ったワードを、一方的に言い放ち
反論の余地を一切与えず、そのまま走り去るという
強引ではあるものの憎めない所作が、長く続く理由の1つなのではないでしょうか。