[「押すなよ!」に込められた本音と建前]
現在、日清カップヌードルのCM「本音と建前」編において
ダチョウ倶楽部が、熱湯風呂に挑んでいる様を映し出していますが
本音と建前の代表格フレーズである「つまらないものですが」や
「(接待ゴルフにおける)ナイスショット!」と並び、「押すなよ!絶対押すなよ!」
がクローズアップ
されています。
CMにおける最後の「この国のお笑いとカップヌードルに、熱湯は欠かせません
(Hot water is the key to Japanese Comedy and Cupnoodles)」

というオチフレーズも見事でした。

特に熱湯風呂においては、上島の「押すなよ!」は「押せ」を意味しており
「絶対押すなよ!」が、肥後と寺門に対する最終的な「押せ」の合図となる
という考えが一般的なようですが、上島が右手でサインを出していて
「右手の指の本数イコール何回目で押すかの合図」という簡単な方程式によって
連携を図っている
パターンもある事を、自らのコントを解説する場面で語っていました。

かの有名な「熱湯コマーシャル」においては、画面向かって右からの登場だったので
カメラ(視聴者)からは、確かに右手の動きは見えづらいという利点がありますね。
熱湯に入る事によって、コマーシャルの機会が与えられるという特殊状態の中
3人で連携をして取り組むという、ダチョウ倶楽部にとっては
絶好のアピール(CM)の場
とも言えました。

「押すなよ!絶対押すなよ!」は、有名なやり取りではありますが
肥後と寺門の役が、他の共演者に回された場合
このギャグを知らない人が、額面通りに受け取ってしまい
本当に押さなかったとしても、上島が「押せよ!」とキレる事で笑いが取れてしまい
どちらにも転べるオールラウンダーなギャグとも言えるでしょう。

現在においては新たなギャグの登場とともに、それらを絡ませる動きも見せており
上島が熱湯に入りたがらないアクションからの「どうぞどうぞ」や
無理矢理に熱湯に突入させようとする事にキレてからの「接吻」など
熱湯風呂を軸として、笑いの幅は拡大の一途を見せるのです。

風呂桶の縁に、亀のようにのっそりと順番に両手と両足を乗せ
生まれたての小鹿のようにプルプルと体を震わせ
、熱湯に入るのを拒否し
ふんばっているかのような往生際が悪い態度を取るアピール
本音と建前を顕在化させている事が伺えるでしょう。
「ちょっと待て、ゆっくり入るからな」「自分のペースで入るからな」などと
動きだけでなく言葉でも、躊躇感を醸し出させている
のが分かります。
しかし、お尻を必要以上に突き出しているので
押しやすい配慮している事が分かり、最後の「絶対押すなよ!」で
肥後と寺門は「早く行けよ!」で押せるわけです。