家族で観た映画の記録です。

 

今回は「帝一の國」と「はじまりへの旅」の2本。

この2つに共通するのは

 

『父の行き過ぎた教育』

 

かな。。

 

かたや「総理大臣になれ!」

と超エリート進学校(架空)に息子を入れ夢を託す父親と

もう一方は「学校へは行かなくて良い!」

とホームスクールで子供達と森の奥に暮らす父親。

 

ベクトルが真逆ですが、我が子への夢と愛に溢れ、思いが強く、子どもが心の奥底で望むこととはちょっとずれているのが似ています。

 

そういえば家も多少変な方向へシフトしている自覚はあります。テレビを置かないので「息子君かわいそう」とよく言われました。息子はゲーム機、スマホを持っていませんがパソコンとiPadは持っていて、映画は割に沢山観ています。

 

 

「帝一の國」

 

原作は古屋兎丸さんの漫画です。セトウツミ 過去記事 も良かったけれど菅田将暉さんのエキセントリックな演技が楽しかった。息子は将棋部の森園役を演じた千葉雄大さんがかっこよかったそうな。

 

元々は内向的でピアノに情熱を注いでいた帝一が、父の権力志向と同化するのは子どもの頃頭を打ったから、という設定です。(そうじゃないと悲劇)海帝高校(架空)生徒会長の座をめぐる権力闘争コメディ。

 

昔漫画で不良集団を集めリーダーを育成する「魁!!男塾」がありましたが、今は進学校(架空)が舞台になるんですね。

 

 

 

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「はじまりへの旅」

 

母親の葬儀で森の奥のユートピア的暮らしから都会へ出て来た父親と6人(2男4女)の子供達。父の妹の家に一泊する場面では、妹一家との生活感覚や価値観の違いが炙りだされます。

 

妹の14、5歳になる息子2人は学校は好きではなく、ゲーム機が手放せず、アメリカの「権利章典」も満足に言えません。

 

一方、父親のホームスクールで育った8歳の娘はその意義を理解して答えることができるし、長男はこっそり受験したハーバードやMITから合格通知をもらっている。

子どもたちはそれぞれに専門書も読みこなし、学校へ行っていないことは、ちっともマイナスではないことを証明しているかに見えます。

 

しかし、父親の傾倒するチョムスキーの無政府主義思想に影響を受けた生活は、周囲の社会とはかけ離れ、これから独立して社会へ出ていく子ども達が繋がっていけそうな着地点が見当たらない。。

 

それを薄々感じる長男次男は父親に"No!"を突きつけます。(これも教育の成果だと思えるのですが)次男が逃げ込んだ祖父母の家(母方)では、父親の教育に、ごく普通の基本的な安全意識や社会的モラル、といった大事なものが欠落していることも見えてきます。

 

祖父と父親の対峙で、異なる教育観がぶつかり軋みます。

 

子ども達を愛するがゆえに父親はある決断をし、子ども達自身が選び直して新しくはじまる。

 

監督は「現代のアメリカで子供をどう育てるべきか、親としての私自身の悩みが作品の原点」だと語っています。私自身の葛藤や迷いとも重なって、共感した映画でした。

 

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〜子育てを振り返る〜

 

ところで公立の学校教育と違う考え方で教育する場所は、様々ありますね。

(最近公立高校でも特色を打ち出すようになっているけれど)

 

将棋の藤井聡太さんで話題になったモンテッソーリ、シュタイナー、イギリスのサマーヒルが有名ですがフリースクールも色々。山村留学(これは普通の学校には行く。。)にホームスクール。私学では、建学の背景に宗教や理念があり、独自の教育が展開されています。

 

新生児期

そもそも新生児の頃から思い返してみると、時代時代に育児法の流行があり、私の母の時代はスポック博士?(私は粉ミルクで育った)私は桶谷式が気になった時期もありました。(息子は混合:母乳&粉ミルク)

 

息子は卵アレルギーがあり湿疹が酷かったので、私も卵鶏肉制限をしていました。そんな時図書館で手に取った本はこれ↓

 

この本もとてもユニーク。裸んぼで過ごすのです。真似できなかったけれど↓

 

そしてこの松田道雄先生の本。子どもの発達、病気などについて詳しく書かれ辞書のように使える本ですが、行間から子どもに向ける眼差しの暖かさが感じられました。

 

言葉を話せない赤ちゃんの気持ちを察する。

 

漫画家、石坂啓さんの妊娠、出産、育児エッセイ。とても面白かった!

 

ボテ志くんは、息子の1つ上です。大きくなってるんだろうなぁ。。ほぼ日刊イトイ新聞「うるまでるびののぞきあな」をちょっと先を知るような気持ちで読んでいたのが懐かしいです。

 

 

0歳〜6歳(保育園期)

保育園、幼稚園も様々ありますが・・息子は生後8ヶ月から4年間、「さくらさくらんぼ」保育の流れをくむ共同保育所に通いました。布オムツ、ほぼ毎日泥んこ。体力はものすごくある幼児になりました。

息子が5歳の時、30年続いた共同保育所が訳あって閉じることになり

記念に野中真理子監督の映画「こどもの時間」の

8ミリ上映会を行ったのもいい思い出です。

 

 

最後の1年間は、息子は近くの公立保育園へ転園。剣道も始めました。

 

小1〜小5(小学校時代)

習い事は剣道、サッカー、学校の部活は陸上、バスケ、を放課後にやりました。月1回は近くの里山活動へ。(焚き火での煮炊き、田んぼ、畑、ザリガニ釣り)友達とドロドロになってよく遊び、絵を描くのが大好きでした。絵と書道で賞をもらったことがありました。絵本は毎晩読み聞かせ、息子は短い物語を作ったりするようにもなりました。将来の夢は「貧乏な漫画家」。

 

その頃、星野源さんが通った「自由の森学園」(→HP)に息子さんを中高と通わせていた友人がいて、資料を取り寄せ、埼玉県飯能市まで訪ねてみたこともあります。自主性を徹底して尊重する。入り口のツリーハウスと居心地良さそうな図書室が印象に残りました。

 

小5での引越し〜中学時代

小5の夏に引越し。少し手荒な歓迎を受けはしましたがすぐに友達ができました。放課後の部活はサッカー、野球、バスケ。そして小6の終わりに「ヒカルの碁」がきっかけで囲碁を始めました。

 

公立中学に入ると、「テスト」と「内申」がのしかかってきました。

 

息子は中1までは友達には人気があり(一方先生には毎日怒られ)ひょうきん、かつ頑固。勉強のできるタイプではありませんでした。

男子 男子
 
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その頃、私はたまたま友人の息子さんの医療系大学受験のお手伝いをすることがありました。また、中学受験をして海陽学園や東海へ進学していった息子の友達たち

(よく家に遊びに来ていた)の勉強ぶりや知識を垣間見て、驚きもしました。

 

※海陽学園の6年間の授業料はおよそ1600万(寮費含む)。エリート育成を目指している。東海はふんどしで遠泳する行事、カヅラタカ歌劇団なども有名で、ユニークな校風。

 

「受験は今こんなにソフィスティケートされているのか!!」とその時に初めて知ったのですが、息子を見ていて自主性だけに任せて太刀打ちする難しさも感じるようになりました。

 

■この頃に読んで参考になった本

 

「部活動はほどほどに」「学校のためではなく自分の人生のために勉強する」

 

息子への接し方に悩んだ時に。「短く叱ってパッと引く」

 

息抜きに。笑って、ほろりとして、大丈夫と思う。

ああ息子 ああ息子
 
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中1

「周りの友達みんな行っているから行きたい!」("みんな"は本当。。)と息子が言うので塾へ通わせました。「眠くて全く頭に入らなかったー」で失敗。(でも1年は通った)一方で「ヒカルの碁」から囲碁にはまって、毎日のように碁会所の師匠のところへ行ってもいました。本をあまり読まないので、音読する本を選び、毎日少しずつ読むことにもしました。

 

中2での引越し

二度目の引越し。息子はいつも「父ちゃんについていく!」と言ってくれるのがありがたかったです。新しい環境に慣れることを最優先し勉強は2の次。引越し後も週に一回教室に通って囲碁を続けました。地域の碁会所でも時々お世話になりました。囲碁の訓練(詰碁、棋譜覚え、対局)により長時間座ってじっくり考えることは苦にならなくなったようです。引越しと思春期がダブルで来て孤独な様子はあったものの、自分でも本をよく読むようになりました。音読も継続。後半の半年だけ、担任の先生が顧問をするサッカー部にも所属しました。

 

今考えると息子なりに、クラスの「お馬鹿キャラ」(下手をするといじられキャラ)から、静かにものを考える人になる「自分崩し」の時期だったのかなと思います。

 

この頃に私は地域のフリースクールについても結構調べました。息子に不登校の兆候があった訳ではないのですが念のために。フリースクールと一口にいっても、心の傷を癒すこと最優先で活動が組まれ勉強はほぼしないところ、通信制高校と連携しながら高校卒業資格や大学受験準備をするところなど様々だとわかりました。実際不登校になった場合に、学業面では塾という選択肢もあることも把握。

 

中3(高校受験)

春先から夏にかけて公立私立両方の説明会へあちこち行って息子が最終的に目標を決めました。6月頃から勉強計画の立て方や、易しめの問題集を繰り返し解くことなど、方法を教えながら夫婦で受験を応援。模試でチェックをしていきましたが、夏休み後に成績が伸びました。11月から受験までは囲碁教室もお休み。挑戦校には届きませんでしたが、無事本命校に決まりました。

 

塾へ行きませんでしたが「進研ゼミ」は、やらなくてもいいという方針で、受験情報(県によって高校受験制度は異なります)を知るためにとっていました。中学でも子ども達が自分で進路を選択していけるように配慮した説明と指導と丁寧なフォローがありました。

 

高1

現在、家では音楽を聴いたり、シンセサイザーを触ったり、囲碁をしたり。週1回の囲碁教室も再開。理系を志し、日本全国の遠くへ行く気満々です。今はどんな分野を大学で専攻するか見回しているといったところ(なのかな?)

 

こんな風になるとは5年、10年前には想像もできませんでした。

きっと5年後も予想はつかないでしょう。

 

今の所。。

 

自分の興味のあること、好きなことに対する熱意と持続性はある。

新しい人間関係を作るのは苦手でも、一度友人になれば長続きする。

相手を思いやり、自分をある程度抑えることができる。

 

まだまだ課題は出てくると思いますが、この先社会でなんとか折り合いをつけ、

自立していけるようにサポートしていこうと思っています。

 

 

■  読んでみたい本

↓高橋源一郎さんがラジオで紹介していた一冊。

「無境界家族(ファミリー)」森巣博

著者の森さんのお仕事はギャンブラー。

イギリスで社会学研究者の卵の女性と結婚した森さんは、「7歳までは息子の世話は僕が全面的にする、そのあとは自由にさせてください」と宣言します。奥さんが職を得てオーストラリアに渡った一家は、息子さんにパソコン一台と好きなだけソフトを与える独自の家庭教育を行います。息子さんはパソコンから自由に好きなだけ学び、数学や理科の国際テストで優勝するほどの学力になる。奥さんは世界的な社会学者に。

(ラジオの話の記憶より)