平井和正全作感想シリーズ(いつ以来だろう💦)
『美女の青い影』
平井和正の数少ないジュブナイル作品集。
「郷愁にみちた少年の魂が私の内部には住んでいることがわかる」という作者の言葉の通り、独特の切なさが胸に残る素晴らしい作品たちです。
ちょっと年単位で前のことになるのですが💦、感想書くべく毎日新聞社版をゲットしました。
カバーとった方が綺麗なイラストが楽しめると言う😁
なかなかレトロポップな昭和感あふれる美麗なイラストです💖
希少本で、5000円とか普通にするんですけれども、元の持ち主さん(?)の名前が書いてあるからか、かなりお安く買うことができました。状態もなかなかきれいで。
で、表題作の主人公が「佐伯高」なんですけれども、この署名が「佐伯元」くんなんですよね。単なる偶然なんだろうか。実体験を本にしました的な、『宇宙人アミ』的ストーリーを妄想してしまいました😁
以下感想 ✨🌟✨🌟✨
『美女の青い影』
何につけても、ヒロインが後藤由紀子なのです。
『地球樹の女神』と直接の繋がりはないようですが、現代レベルをはるかに越えた美少女科学者、時代がかった西洋館など、リンクする点も多く、物語の雛形というか、『地球樹』も多元宇宙ものでしたから、パラレルでここから世界が分岐する『地球樹』世界の一つなのかもしれません。
この世界の後藤由紀子は、平凡な少女に異世界からリープしてきた魂が、憑依した存在です。
魂だけ世界をスライドするという設定は、短編 “次元モンタージュ” を連想させますが、他のSF作品ではほとんど無いと思うんですが、類例ありましたでしょうか?
後藤由紀子とはもともとこの世界に生まれた少女の名前で、彼女に憑依したのがどのような存在か、どんな世界から来たのかは、明かされることはありません。
未来世なのか、数光年離れた異星なのか、いずれにしても、精神的にも科学的にも、かなり高度な文明を持った異世界であることが窺い知れます。
魂存在なのに、帰還するには“通路”を開く電子機器が必要で、その為に大手メーカーに技術提供して資金と資材を得る……この辺は詳しい裏設定もあったでしょうから、ぜひぜひ読んでみたかったですね。
物語は二重構造になっていて、主人公の佐伯高くんはサイキックなんですね。リアルな幽霊が見えてしまう霊視能力に加えて、中学生にしてはかなり透徹した洞察力も備えている。
中学生であることのリアリティを保ったまま、サイキック能力を発揮して後藤由紀子を手助けするクライマックスは読み応えあります。
叶わないことが初めから確定している初恋の切なさも…😭
「佐伯高」って何か記憶に引っかかるものがあって調べてみましたら、やはり平井和正が使ったペンネームの一つでした☺️
やっぱり『地球樹』の雛形だったんだ。
なお、『転生』の「江島三郎」など、ペンネーム をそのままキャラクターの名前として用いた例は他にもいくつかあるようです。
続きまっす