先月発売になりました『ド・ピーカン』は、村田さんが遺したデモテープを元に、彼の音楽仲間たちが創り上げたアルバムです。
杉真理さんによる詳細なライナーノーツによると、初めは豪華ミュージシャンが集結した大型アルバムになる予定だったのが、ギタリスト山本圭右さんの「村田はそういう派手なの望んでないんじゃないか」という言葉で方向転換、今の形になったということですが、絶対こっちの方が良かったと思いますね。
全編、村田バンドのメンバーの愛に溢れていて、紛れもなく「村田和人のラストアルバム」に仕上がっています。
佳曲ぞろいですが、特筆すべきは “回航”です。名曲です。
この静謐で美しいメロディは、村田さんご自身も特別なものを感じてらしたようで、まだ詩がつかない段階で、ライブ中にサビの部分を披露したりされてたようです。
https://youtu.be/EkAhYLvELu0?t=1m41s
長年のパートナー安藤芳彦の詩も素晴らしい。
赤子を抱く愛妻への想いから、人の生命そのものの不思議さ尊さを描き、そして村田和人への友情もひしひしと滲ませて。
村田さんからの「督促メール」を受け、大至急この曲を仕上げて、送ったのが、亡くなる15分前だった…というエピソードも泣かせます。
村田バンドも、それぞれ、情感のこもった名演を聴かせてくれます。
ギターソロは “I’M LEAVING YOU” と同じだったり、“Love has just begun” を想わせるピアノのフレーズがあったり、村田さん本人が加わってるとしか思えない美しいコーラスワークがあったり…。
小板橋さんのヴォーカルもなかなか良いんですけれど、やっぱり村田さんと比べると物足りなくって、でもその物足りなさが逆に、この曲の可能性なんじゃないかと。
きっと、多くのミュージシャンにカヴァーされ、時代を経ても歌い継がれてゆく曲になります。それだけのポテンシャルがある名曲です。
エンディングは村田さんのヴォーカルによる “君という海” で、やっぱりこの歌声は唯一無二なんだって、しみじみ気付かされます。
この曲は、前作『ピーカン』に収録されていた曲の別バージョン。
『ピーカン』の方はリゾートっぽい明るいアレンジになってるんですが、村田さんのMCによると「アルバム全体の流れに合わせる為、4日ほどで作り直した」んだとか。『ド・ピーカン』バージョンの方が先にあったのかな?
これがまた“別れ”を示唆するような切なく美しいバラードで、あるべくしてこの曲のこんなバージョンが残されてたんですね。
僕は さよならの代わりに
思いを込めて歌おう
ただ 流れるまま
行く先さえ 知らない明日へ
Youtubeで村田さんの映像をずっと見ていて、歌声はもちろんなんですが、「愛してます!」って観客に語りかける様子がすっごい心に響くんですよ。魂込めておっしゃってるんだなと。
最後のアルバム、最後の曲を締めくくる歌詞も
あなたを愛してる
でした。
愛、なんですなあ(涙)
村田さん、素晴らしい歌と愛をたくさんありがとう。
あなたみたいに愛をいっぱい放てるような人間に、僕もなりますね。