台風7号が関東を狙っている

施設に行こうか迷っているのだが

 

私の存在について考えたい

私はずっと昔から存在したわけではない

83年前にこの世に現れたことは自覚している

しかしその前は分からない

父の億単位の精子の中の一匹が

たまたま排卵された卵子の中に侵入出来て受精し細胞分裂が開始され

母の子宮で増殖して分化し心臓の鼓動が始まるのである

手足頭目口が形成されて へその緒をくわえて

そうしてこの世に出てきたらしい

頭がでかくて難産だったよーーーと今でも言われている

出てきた場所は狭い6畳間

火鉢とやかんと たらいに温湯と

お産婆さんと おどおどした父と

2月10日の冬真っ只中の寒ーい雪の日だった

 

そうして大事なことは記憶である

恐らく最初は覚えている感覚は生まれて間もない妹の和子が死んだ日に

母が抱きながら大声で泣き叫ぶ有り様だった

私は3才だった

和子は生まれて7ヶ月で死んでしまった

空襲警報と灯火管制と庭に掘った防空壕に入った覚えがある

 

その後幼稚園、小学校、中学校

そうして日本信号就職、定時制高校

それから悪戦苦闘の人生を経て大学院で博士号を取得しました

 

それはさておきいまや私を生んだ母が施設で車椅子

私は白内障の手術を終えて補聴器やお灸の世話になっている

間もなくこの世とお別れです

一体この人生は何だったのでしょうか

何か意味があったのでしょうか