突発性難聴

 

私は39歳の時に

左耳が突発性難聴になりました。

今思うと、

過度のストレスだったのだと思います。

ずっと仕事ばかりしてきて、

自分の時間を大事にせずに、

ただひたすら治療をしていた時に、

講演会の依頼や本の出版などが重なり、

オーバーワークだったのでしょう。

情けない限りです。

 

テレビを見ているときに、

突然左耳に高音の耳鳴りが起こりました。

まあ、いつものことだと思っていたのですが

長い間止みません。

そしてふと気づくと、

左耳が聴こえなくなっていました。

 

驚きました。

慌てませんでしたが、

驚きました。

こういうこともあるのだなと思いました。

 

そしてネットなどで調べて見ると

やはりストレスが原因であると。

治療法は特にないようです。

ただ鍼灸が効くと言うことは

鍼灸師の端くれの私も存じていたので、

とりあえず自分の耳などに鍼を打ちました。

 

ただ自分の臨床経験では、

突発性難聴の患者さんの耳に打ったところで

治るものでもありません。

ストレスが原因なので、

全身に鍼を打ち、

心を含めた全身の治療が必要です。

 

自分の背中に鍼を打つことはできませんので

これは諦めました。

家族には心配をかけたくないので、

どうにか一人で治そうと思いました。

 

そこで考えたのが心のリラックスです。

これに努めました。

努めること自体が

リラックスできていない証拠なのですが

それでも普段よりも

リラックスしようと決めました。

 

白隠禅師の本を読んだら

こう書いてありました。

 

「耳をやしなわんとするものは

 つねに耳をふさぎ

 雑音を聞かぬようにする。」

 

そうか、

それならもうテレビはやめよう、

そう決めて

テレビを聴かないようにしました。

手で耳の周りをいつもマッサージしました。

 

そして心は

「右耳があるじゃないか。

 あと一つ耳があるのだから、

 慌てずゆっくり治そう」

そんなことを考えている間に、

1か月で治ってしまいました。

 

同時期に突発性難聴の医者が

患者で来院されました。

彼は内科でしたが、

耳鼻科の医者に相談したら

ステロイドしかないと言われ、

鍼灸が効くと人から聞いて来たそうです。

 

鍼灸の得意分野ですから

全身に鍼を打ち全身治療と共に

白隠禅師の言葉を伝えました。

その医者は真面目な方で

真剣に白隠禅師の言葉を聴いていました。

その方もステロイド剤を使わずに

2か月で治りました。

 

さらに同時期に

知り合いの70代女性が

突発性難聴になりました。

鍼灸を勧めたのですが

彼女は治療を希望しませんでした。

耳鼻科に通い、

1年経ち、

結局補聴器をつけることになりました。

 

人間の体は、

心と繋がっています。

体の一器官に不具合が生じたからと言って

その器官だけを治療すれば良い

というものでもありません。

心も含め、

身体全体を治療しないことには

このような病は治らないものです。

 

心が体を創ります。

心が体を支えています。

聞かなくても良い情報番組は消し、

聞かなくて良いことは耳に入れず、

耳を養い、

耳と心を大事にされてください。