4月10日(水)
会場:歌舞伎座
開演 夜の部: 4:30~終演8:56
観覧場所 一階6列13番
①実盛物語 4:30 ~5:55 幕間 30分
②黒塚 6:26 ~7:38 幕間 20分
③二人夕霧 7:58 ~8:56
あらすじ
①もともと、浄瑠璃の演目「源平布引滝」からの抜粋。
平家全盛の世、源氏の再興を目指すが、これが露呈し、平家に攻め込まれる。
家臣の妻小万(孝太郎)に源氏の白旗を渡し、身重の葵御前は、小万の父、九郎助に
預け、壮絶な最期。
九郎助はある日、海で、白旗をつかんだ白い腕を発見。
そこに、葵御前が男子を生まないか見張るため、平家方の実盛(片岡仁左衛門)と
悪役の瀬尾(歌六)が現れる。
そして、その腕が、実盛が切った小万の腕と判明。
もとは源氏の武士の実盛は、合戦で、琵琶湖を泳ぐ男勝りの小万を見つけ助けようと
するが、源氏の旗を持っていたため、それを平家にとられないよう腕を切ったもの。
旗がないと、再興できないため。
そして、小万の遺体が運ばれ、腕が繋がり生き返る。
小万は両親、そして息子の太郎吉(寺嶋眞秀)に話しかけ、白旗が葵御前に渡るのを
見届け、安心して息絶える。
葵御前は、無事男子を生み、実盛は、太郎吉に若君の家臣になるよう進言。
そこへ、瀬尾が小万の遺体を足蹴にすると、怒った太郎吉は、瀬尾を刺す。
実は、瀬尾は小万の実の親で、太郎吉は孫である事を告白。
瀬尾の妻は源氏方であったため、子を捨て、それを九郎助が育てた。
平家の血を引く太郎吉は、功がなければ家臣になれないので、瀬尾は自分の首を
差し出し、息絶える。
そして、太郎吉は、実盛に母の敵を討とうとするが、成人になってからと、実盛は馬に
乗り花道を去ってゆく。
②昭和14年、老婆を二世市川猿之助(初世猿翁)で初演。
初世猿翁がなくなった翌年、昭和39年三代目猿之助(現猿翁)が「猿翁十種」のひと
つに選定し、以後上演されている。
今回の老婆は四代目市川猿之助。
第一景は、能楽様式、第二景は新舞踏形式、第三景は歌舞伎手法。
第一景、奥州安達ケ原、鬼女が出没し、人を食らうとの噂があった。
仏道修行の阿闍梨(錦之助)一行が、一軒家に一夜の宿を求める。
老女岩手(猿之助)は、身の上を話しながら涙を流す。
もとは都のものであったが、流罪の父親とともにこの地へ。
夫は、岩手を見捨て、都に。
岩手は、夫を恨み、生きる望みもなく一人で、長い歳月を過ごしていた。
阿闍梨の裕慶は、悟りの道にはいれば、成仏できると説く。
岩手は、閨の中を見ないように言い、薪を取りに山へ入る。
しかし、従者が中を覗くと、一面血の海で、人骨が散乱。
第二景、岩手は、仏の教えに従えば、来世は成仏できると、心が晴れ、月明かりの中、
童心に返り踊る。
そこへ、従者が現れ、様子から、褥を見られ、約束を破られたと怒り哀しみ鬼女の形相。
第三景、裕慶たちは、古塚の前から現れた鬼女となった岩手と格闘。
法力で、弱り始めた岩手は、自らを恥じ姿を消す。
③勘当された藤屋伊左衛門(中村雁次郎)と二人の夕霧とのパロディ上方歌舞伎。
感想
①やはり、ドラマチックで涙を誘う内容なので、浄瑠璃の語りに心揺さぶられました。
また、三味線の鶴澤翔也さんの、美しい座姿から放たれる超絶技巧と、「はっ」とか
「ほっ」とかの掛け声の間が素晴らしく、ドンドン悲劇の度合いが高まり、物語に引き
込まれました。
②猿之助さん、老婆の場面で、能のような歩き方美しかったです。
そして、鬼女になったら、迫力があり、ドキドキしました。
裕慶たちとの格闘場面は、すさまじく怖いようなド迫力。
ただ、先代の猿之助さん、長袴で、後ろ向きで舞台の下手から上手まで一気に4歩
くらいで到達されていたような・・・。(仕掛けがあったのかも?)
今回は花道からでしたので、ちょっと迫力なかったかも。
でも、内容的には外連味もあり、静と動の対比が、素晴らしかったです。
③、①②があまりにも濃い内容だったので、こちらは、はんなりとした上方歌舞伎。
ラストの演目としてはいいかも、ちょっと寝たけど(笑)。
その他
無法松惠ちゃんが、強烈過ぎて、歌舞伎の感想が書けませんでした。
無法松の時代・風景・集う人々までも繊細に描写することで、よりリアルと迫力が
増し、感動するのかもしれません。
当時の人々、強さと優しさと儚さが、惠ちゃんの声色で見事に表現されていました。
惠ちゃん、一人歌舞伎の巻。
雨の歌舞伎座前(10日)