
―― 店、出ちゃおーか!
ボクはN子の手を取り、出口へと向かった。
シュンは何も語らずにボク等を見ていた。
『すごーく弱いの。泣けるの。嬉しいトキもちょっと辛いトキも、カレの前だと、泣けちゃうの』 あのコは言った。 ―― ボクと一緒のトキは我慢してたの? 『ううん。我慢なんてしてないわ。そーゆーコトじゃないの。ただただ自然に涙が出てくるの』 ―― ふーん。 『テンちゃんは?幸せになっていけるの?』 このコトバは重いと感じた。ボクとD子の一件が、シュンからA子に伝わり、そして…知ってるんだと。 ―― ジンセイには、3つのものがあればいい。希望と勇気とほんのわずかなお金と…。 『チャップリンでしょ!?よく観たよね…。テンちゃんは頑固だから…』 ―― えッ!?ボクが頑固? 『ええ。一度決めちゃうと、周りがナニを言ったって、考えを曲げないもの』 ―― それって、短所なんだろうね。 『長所の裏返しよ』 ―― ハハ。元気そうでよかった。 『元気よ…。素敵なヒトがソバにいてくれるって、とても心強いの』 ―― ホントよかった。 『テンちゃんも、元気で…。もっと素敵なオトコになってね』
「どうしたの?黙りこんで。考え事かな?」 N子が覗きこんできた。加藤あいちゃんに似てるかな。
―― イヤ、何でもないヨ。
―― イヤ、何でもないヨ。
正直、結構効いていた。ノックダウン寸前かも。今年は大殺界だったかな、なんて考えてた。イロンナイミで。
取り敢えず、車まで歩いて(因みに、ボクは運転するトキは絶対に飲みませんヨ)、
ナンカ、だんだんメンドクサクなってきちゃって、適当に切り上げて帰ろうかなって思ったら、
「ね、今夜は帰りたくないの」 とN子。
―― えッ!?
―― えッ!?
「ゴメンネ。ヘンなイミはないの。最近、一人になったのね、イロイロと一人で考えてたら、チョットキツクなってきたから…」
―― そっか。(ボクもとは決して言わない)
―― そっか。(ボクもとは決して言わない)
「どっかドライブしたい」
―― じゃ、なるべく、キミんちに近づくように、適当に走るよ。
―― じゃ、なるべく、キミんちに近づくように、適当に走るよ。
そうして、ボク等は、真夜中のフリーウェイを駆け抜けたのでした。
―― 看護婦さんって、タイヘンなシゴトだよね。イヤでも面倒みないといけないし。
「ストレスたまって、オトコあさりしてるって思ってない?」
「ストレスたまって、オトコあさりしてるって思ってない?」
―― ハハ。思ってないけど、妄想した。
「いいオトコでも、ブサイクなヤツでも、オトコなんてアッチのコトしか考えてないんでしょ!?」
「いいオトコでも、ブサイクなヤツでも、オトコなんてアッチのコトしか考えてないんでしょ!?」
―― しょーがないヨ!オトコだもん!特にかあいいコなんてみると、俄然ハヤルキモチを抑え切れん!
「そんなのリユーにならないよ」
「そんなのリユーにならないよ」
―― ヤッパリ、理由だよね。(オンナノコはどうしても理由がほしいらしい。アナタホレタ、ダカラコーナッタ)
「ね、ウチ、寄ってかない?」
「ね、ウチ、寄ってかない?」
―― ナニ?それってお誘い?ナースのサガ?
「サイテー。そーゆーんじゃありません。送ってくれたお礼にお茶だけでもって思っただけです!」
「サイテー。そーゆーんじゃありません。送ってくれたお礼にお茶だけでもって思っただけです!」
―― ハハ。ゴメン、ゴメン。部屋ん中入った途端、狼になっちゃったらどーする?
「狼は一番下の子豚の家には入れないんだよ」
「狼は一番下の子豚の家には入れないんだよ」
―― ナニ?それ??
「‘三匹の子豚’の話。知らないの?」
「‘三匹の子豚’の話。知らないの?」
―― ダメダメ!オンナノコが、会って間もないオトコを部屋ん中入れるなんて!
「テンさんは大丈夫。やさしいヒトだから!」
「テンさんは大丈夫。やさしいヒトだから!」
―― ヨワイだけだヨ。
「ナニ言ってんだか」
「ナニ言ってんだか」
何故か妙に盛り上がった車の中。
結局N子の部屋にお邪魔する。その部屋の中では、その盛り上がりは絶頂に達した。
まだまだつづく(苦笑)