主治医の話が終わって、私たち3人は
帰りの車に乗った。




弟は理学療法士としてリハビリ病院で働いているが、
普段脳出血の方のリハビリには携わっていないため
ここまで父がひどいとは思わなかったようだ。




弟は、主治医の先生っていうもんは、
最悪のことしか言わないから大丈夫!
期待させるようなことは言えないからね。
リハビリ頑張ればきっとよくなるよ!と
言ってくれた。




私も、父が入院してから毎日集めた情報に
脳出血で寝たきりになっている方は
あまり見かけなかったので、
主治医の話を信じたくなかった。








きっと大丈夫!絶対に寝たきりにはならない。
大丈夫、大丈夫!と自分に言い聞かせた。





母は
もう父とは話せないかもしれないこと、
父の意識がしっかり戻らず、曖昧な意識のまま
生きていくことになるかもしれないこと、
突然父が父ではなくなってしまったこと、
もしかしたら始まることになる介護、
払い終わってない住宅ローンや
これからかかる医療費などたくさんの不安に
押しつぶされそうになっていた。






そんな母を見て、
できることがあれば言ってね、という言葉しか
かけられず、自分の無力さを痛感した。





私は家族のために何ができるのだろうか。
何もできない。それが1番辛かった。