「霧の町」


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 残された女性陣はクローゼットの扉が閉まると同時に、吹き出した…が。笑いが収まり、リエルは、ふ、と溜息をつく。
『心配スンナ』
 溜息を吹き飛ばすようにファウストが目の前を飛び、アサカゼがその横に並んだ。
「自分たちに任せて欲しい。きっとこのために自分たちはこの町へ来たんだ。運命に呼ばれたのかも知れない」
「ええ…」
「…貴女の仕事は、ちゃんとあるよ。この町の人たちが、もし城へ反逆を企てたりしたら…止められるのは貴女しかいないんだ」
「…そうね…ありがとう」
『ソレヲ言ウノハマダ早イゾ。トリアエズ、変装ガ上手クイッテ、城ニ入レルカドウカ、ソコガ問題ダ』
 ニヤリとするファウストに、また笑いが戻ってくる。


◆◆◆◆◆


 しばらくしてクローゼットから出てきたのは、キリタチに後押しされそろそろと歩いてくる、黒い長袖、丈の長いスカートのワンピースドレスを着たバイスだった。髪と同じ色のウイッグを付け、長髪になっている。
 おぉ、という感嘆の声が小さく上がった。キリタチが曖昧に笑って肩をすくめる。
バイスは誰とも目を合わせようとせず、そっぽを向いて息を吐いた。
「…これでいいですね」
「ちょっと…それ喪服じゃない!」
 信じられない、という表情でリエルがバイスを見る。
『サスガ悪魔、チョイスガ違ウナ』
 ファウストがボソリと呟いて満足そうに頷く。

「…ていうか…あのクローゼットの中がおかしいんですよ!あんな派手な服ばっかり!!一体どんな行事で使うんですか!?毎日がダンスパーティーですか?!」
 バイスの興奮した様子から、クローゼットの中の壮絶な情景が浮かんでくる。アサカゼはげんなりとしたように見えるキリタチに駆け寄った。
 アサカゼを見上げて、キリタチがぽつりと呟く。
「…この服、まだ控えめな方だったみたいだよ」
「…そうだったのですか」
 随所に重ねられたフリルに、リボンが踊っているこの服ですら…?


「あの服は全部、大ばあ様が私のために買ってくれた服よ」
「えええ!!?」
「それより、もっと腕とか足とか出しなさいよ、あなた細いんだから」
 不満げなリエルに、バイスはつんと顔を背ける。
「嫌です絶対見せません」
「…っ、そう言われると逆に…」
「ま…まあ落ち着いて、リエルさん」
 キリタチがフォローに入り、リエルはしぶしぶ引き下がる。
「やればできるじゃないか、バイス」
 アサカゼが「見直した」と言わんばかりの表情でバイスを見ていた。
「それは、どうも…」
 やっぱり、この少女はどこかずれている。
 そんなところを見直されても…とバイスは乾いた笑いで答えた。



◆◆◆◆◆


「迎えが来るのは、朝日が差し込むときよ」
 テーブルに全員がついたところで、リエルが話し始めた。
「まだ時間はあるけど、眠っておいた方がいいわ。簡単に説明するわね。
…まず、迎えに来る城からの遣い…奴らは見た目はともかく、普通じゃないような馬鹿力を持ってるの」
 バイスがちらりとアサカゼを見て、睨み返され小さくなる。リエルはそれには気付かずに続けた。
「だから、逆らわないでついていって。わたしは前…感謝祭のときだったかしら、伯爵さまが今みたいになる前に城に行ったことがあったんだけど、城は相当広いから…二人とも、ばらばらにならないようにね。バルコニーの有る広間が伯爵のお気に入りの場所…だったらしいんだけど、今はどうなのかしらね…」
「退路はどうです?」
 キリタチが口を開いた。
「僕たちの目的は、伯爵を罰することじゃない。問わなければならないことが有る…逃げられては元も子もないんです」
「城の入り口は一つよ」
 リエルが人差し指を立てる。
「城の前は堀、後ろは山…というか、崖になっているの。崖はかなり険しくて…普通の人じゃ絶対に降りれないし、登るなんて考えられないわ。堀も深いし、丸見えだし渡れない。城へ行くには、跳ね橋を渡るしかないはずよ」
「成る程。…それなら、」
 キリタチはアサカゼを見て薄く笑う。アサカゼは深く頷き、
「自分の務めだ」
 と一同に力強く告げた。
「マスターとバイスが渡った後、自分が橋を落とします」
「ええっ!?」
「アサカゼさん?!」
「問題ありません。護国の体技をもってすれば、普通の橋など。…そして、傍観に甘んじるつもりは無い、直ぐに背後の山に周り、そちらから城へ向かいます。城の裏手からの侵攻など、伯爵とやらは想定していないに違いない。必ずや隙を衝ける筈です」
「…出来るのかい?」
 大ばばがじろりとアサカゼを見る。臆せず、アサカゼは頷いた。
「僕は、アサカゼを信じてます。気配を消しながらチカラを発揮できる、彼女じゃなきゃ出来ない策ですよ」
キリタチが穏やかに言う。そうかい、と大ばばは頷き椅子に深く沈んだ。が、リエルは納得がいかなかったようだ。
「でも…アサカゼちゃん…」
『面白クナッテキタナ』
 と、そこで、ファウストがリエルの言葉を遮った。
『ソレナラ、オレガ一緒ニ行ッテヤロウカ?』
「ファウスト?」
 予想だにしていなかったファウストの言葉に、皆は一斉に天井付近を見上げた。ニヤリと笑って、ファウストはアサカゼの横に現れる。
『面白イモノガ見レソウダ。オレハ姿ヲ隠セルシナ、悪イ話ジャナイダロ』
 アサカゼは初めは驚いたような顔をしていたが、キリタチの笑顔に押され安心したようだった。
「頼む…ファウスト」
 ふ、と笑うアサカゼに、場の雰囲気が僅かに明るくなる。

 満足そうに大ばばが頷いた。
「決まりだね」
「そっちの役が良かったなぁ…」
「何か言ったかバイス」
「いえっ!!賛成です!!まかせて!!騙しまくるよ!!」
 冷や汗をかいてにっこりと笑うバイスを見て、アサカゼは頷いた。


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(夏草)バイスには喪服がお似合いです(笑)ちゃんとキリタチを守るよう、頑張りますよ!!

そしてアサカゼとファウストのペアがどのようなものになるのかがすごく楽しみですww


(てんまん)アサカゼ強いな…っていうか怖いなww(今更←)

バイスちゃんとキリタチちゃんはちょうど黒と白で対照的でいいなーって思いますww色的にも映えるよね! うふふこのコンビ×2、好きですww