翁社長スピーチ③
世の中の人々のスタートラインは、だいたい一緒なんですね。みんな1階にいるんですよ。
1階から今度、2階、3階へ行くときに階段があるんですね。私が思うには、1階から2階へ上がるのにエレベーターとかエスカレーターは、人生全体で見たときにあまりないんです。基本的に階段しかない。
スタートラインは、みなさん1階です。そして2階に行くときに、そもそも2階に行きたいと思っているのかどうか。まず、そこで分かれます。「現状で生活に困っていないし、コンビニのバイトでも生活していけるし、このままでもいいんじゃないか」と思う人。
つまり、あまり2階に行きたくない人、向上心があまりない人、目標をはっきりと持っていない人はずっと1階にいるんです。たぶん、一生1階にいる。だから、言い方は悪いかもしれませんが50歳になってもビルの掃除をやっている人は、ずっとビルの掃除をやっているんですよ。
そして、「2階に行きたい」と思っている人は「じゃあ、どうやって2階に行こうか」と考えるんです。僕が思うには、最近の若い子は非常に夢をもっている。有名人になりたい、弁護士になりたい、社長になりたいと夢をもっている。
だけど、「なりたいことはなりたいんだけど、もうちょっと楽になれないのかな」と、みんなショートカットを探している。1階でうろうろしながらエスカレーターやエレベーターを探している。でも、そういう人たちが探している間に他の人たちは2階や3階に上がってしまうんです。
人生においてエスカレーターやエレベーターは、絶対にないとは言わないけれども、それを見つけられる人は滅多にいないと思うんです。それだったら、地道に一つひとつの階段を自分で歩いた方がいいのではないかなと思います。
そうすると必ずですね、自分の「上に行きたい」という意志と、徐々に徐々に上に歩いていくことが成功する
人に欠かせないポイントだと思っています。
僕が日本に来たときには、今みたいに独立して会社やって、ナスダックに上場して、さらに東証一部上場を目指すなんていう、そこまでの夢は持っていませんでした。ただ日本に来て、そこそこの、漠然とした「日本で成功したい」というイメージしかなかった。
ただ、それでもいいんです。どれだけ具体的に自分のビジョンや夢を、目標を持てるかは人によって違うんだけど、自分の手元で今やっていることに対してモチベーションが十分に足りるのか、というところが目標設定の大切なところです。
日本でどうやって成功するか、何をしたいのかもあまりはっきりしていなかったけど、来た以上はある程度成功しないといけないと思ってました。でも、そのころのこのくらいの目標でも、皿洗いするためのモチベーションとしては充分足りていたんです。
それで今振り返ってみたときに、だいたい最初の半年ぐらいずっと居酒屋で皿を洗っていたんですけど、その半年が無駄だったかというと全然無駄じゃなくて、僕の今の人生を構成する重要な階段のワンステップとして、今もそこにあるんです。
なので、自分がその時その時に目標を設定できると思うんですけど、常に「上に行きたい」というモチベーションと、手元のことをちゃんとやって、階段を常に一歩一歩上がっていくというプロセスを踏んでいるのか、というのが一番重要です。
さっきのスティーブ・ジョブスの話と同じで、アルバイトをしている、勉強をしているといった今やっていることが、後になってどれだけ重要な意味をもつか、どれだけ役に立つかはその時点では分からないんですよ。
分からなくてもいいから、自分を一つ上に運んでくれる一本の階段だと思ってやっていただければ、必ず上に昇っていくから。必ず。そうすると気がついてみたら2階、3階にいると思うんですよね。
