次男が生まれてほっとすると、しばらくは新居での生活を満喫していた。小さい子供の遊べる場所は目と鼻の先にあるし、1階にはスーパーも入ってる。ゲストルームに友人を招いたりもしていた。あとはローンを返していくだけと思っていた。

一方、長男は2歳を過ぎても喃語が少し出る程度で普通の言葉がなかなか出てこない。奥さんは気にしていろいろ調べると、自閉症の子の特徴に当てはまる行動がいくつもあり、病院へ連れていくと自閉症の診断が降りた。ここから奥さんの調べ癖と心配性が悪い方に出始める。色んな自閉症に関する本を買い漁り、これがいいと書いてあれば、片っ端からやっていく。療育園に入れることになるが、母子で行くのがしんどくて子供だけ行かせたりということも続いた。

療育園にも慣れたころ、今度は次男が尿路感染で高熱、さらには、腎盂腎炎にまで発展する。対処療法として腎臓から膀胱への経路を狭くする手術をした。

とりあえず、これで上手くいけたと思ったら、今度は会社の業績が非常に厳しく、ボーナスカット、給与も20%カット2ヶ月となる。これには頭を抱えた。金策も限界が近く、実家で私にかけてあった簡保を解約するなどもしたが、どうにもならなくなった。新居はわずか2年足らずで手放すことになった。

同じエリアの少し駅から離れたところのURを借りて住むことにした。子育て割で30%家賃が軽減されるのは大きかった。売却して、ローンは無くなったが、まだ負債が残っている状態。これ以上増えないようにと何とかやりくりしていた。

URに引越ししてから、奥さんは家事援助のヘルパーさんを知り合いにお願いした。いろいろなことがストレスになって寝込む日が増えた。その人と障害年金の申請に行ったが、門前払いだった。そんなこともストレスの要因だった。

それから2年。長男は6歳で次年度から小学校、次男は4歳で保育園の年中さんになっていた。

そんなある日、奥さんの様子が少しずつおかしくなって行った。自分の味方は次男だけで、私と長男を敵視することがたまにあった。少し話をすれば落ち着いたが、数日するとまた同じことが起こった。奥さんの鬱が酷くなってるのかと思っていた矢先に事件は起こる。ある日、長男が療育園に行っている間に某ブロックの施設に次男を連れていこうとした。このとき、奥さんが携帯を変えたい、しかも、新規で、と言い出した。今までの友人関係を精算したいみたいなことも言っていた。

ひとまず、手続きをしたが、当然時間がかかる。4歳の次男はじっとしてるはずもなく、奥さんに先に某ブロックのある施設に行くように頼む。奥さんは行ったことがないから不安というものの、バスで一本だからと強引に送り出した。これが事件の始まりであった。