ーイスラエル・テルアビブに在住のH.Mさんに、今のイスラエルの様子についてお伺いしましたー

 

シャローム!マーニシュマ?(お元気ですか?)

皆さん報道などでご存知の通り、ここイスラエルでは、10月7日の朝、ハマスの奇襲から戦争が始まりました。

今回は、イスラエルで今何が起きているか、私が実際に見たこと触れたことをベースにしてお伝えしたいと思います。

 

 

◇商都テルアビブでは

 

10月7日から今日までほぼ毎日、ハマスのミサイルがわたしの住むテルアビブまで飛んできます。空襲警報が鳴り、その度に家のシェルターや公共施設のシェルターに逃げます。

 

 参照: 

 

 

毎回ミサイル迎撃システムのアイアンドームが迎撃してくれますが、その音と振動の大きさにはいまだに慣れず、驚いてしまいます。

学校や幼稚園へはもちろん行けないので、オンラインの授業や活動に切り替わりました。

病院へ来ることができない人のために、急遽電話での診察が始まりました。

またスーパーマーケットも一時期品薄になり、休業するレストランも出てきました。

 

 

 

◇10月7日の悲劇

 

10月7日の朝、ガザ近くの音楽フェスティバルやいくつかのキブツがハマスによって襲われ、そこにいた多くの人々が殺されてしまい、ガザに拉致されてしまいました。

イスラエルは人口950万人(だいたい東京23区と同じ人口)の小さな国なので、多くの方がこの事件で親戚や友達を亡くしています。

 

SNSでは、連絡が取れなくなった人の写真と名前を載せて「探しています」の投稿、また亡くなった友達との思い出を投稿している人も多いです。

自分のおばあさんや、同じ軍隊で活動していた友達を殺されてしまった友達がいますが、何と声をかければいいか…、痛みをともにすることしかできません。

テルアビブ美術館の広場では、拉致された人々を表す空席のディナーテーブルが展示されました。

 

 

【その他の画像Instagram:https://www.instagram.com/p/CyoWjiHonkr/?igshid=MzRlODBiNWFlZA==

 

 

◇イスラエルの底力

 

政府は10月7日、攻撃された当日には軍隊へ予備役の招集を決めました。

すると2日で30万人、今では50万人超の予備役が集まっています。驚くことにユダヤ人だけでなく、兵役義務のないイスラエル国籍を持つイスラム教アラブ人やキリスト教アラブ人も参加しているのです。その他ドゥルーズ族や、普段は兵役に反対しているユダヤ教宗教家まで、国のためにと参加し始めています。

普段の対立や意見の相違を乗り越えて、国の危機には全員が一致して何かをしようとする底力を感じました。

この中には、わたしが教えている日本語教室の生徒が数人、また友達のご主人やイスラエル人パートナーを持つ日本人の息子さんが何名も従軍しています。毎日無事でいるかどうか心配になりますが、全て終わって全員が元気に帰ってきてほしいと願います。

 

一般市民の中にも、非常時に果敢に行動するイスラエルの底力を見ることができます。

予備役にいかない人々は何を始めたのでしょうか?

 

一つ目は、寄付です。

スーパーマーケットで、兵士やガザ近くに住む人、イスラエル北部に住む人のための支援物資を買う人、その支援物資を集めて仕分けする人、またその仕分けが終わった支援物資を車で届けに行く人に分かれて寄付をしています。

 

[物資を調達]

 

二つ目は、ボランティアです。

突然集まった予備役の人には、食べ物もなければ服もありません。そこで、レストランでは簡単なお弁当やサンドイッチを作って基地にいる予備役に渡すボランティアをやっています。

 

 

[中身がわかるようメモが貼られている “ケーキ、愛をこめて”]

 

ほかにも、イスラエル南部に避難した家族のために、避難場所のホテルでお世話をしているボランティアスタッフもたくさんいます。その一部に、エイラットという南のリゾート地には、ガザ地区周辺のユダヤ人居住地からたくさんの避難民が逃げてきて、その数は6万人にも達するとのことです(エイラット市の人口は5万人)。

先日は、私の日本人の友人たちが数名でエイラットへ行き、食料調達を手伝ったり、子供の施設にいって折り紙で遊んだりしてきたと聞きました。皆が何かできることはないかと行動せずにはおれないような状況にあります。

 

街中には「ベヤハッド ネナツェアフ(ともに勝とう)」と掲げてあります。

ガザやパレスチナ人に対してではなく、ハマスというテロリストに対し、決して屈しない!という気持ちを強く持ち、自らを励ましているのです。

 

 

[街中のあちらこちらに掲げられている]

 

日本ではあまり知られていないかもしれませんが、イスラエルの普段の生活の中では、ユダヤ系もアラブ系も外国人も一緒に働いています。

お互い気まずい空気が流れるときもあると思いますが、今、この困難を一緒に乗り越えていこうという雰囲気を感じます

 

今の状況が一日も早く良くなり、普段の生活が戻ってきますように。

そして再びたくさんの方にイスラエルへ来てもらうことができますように。