久しぶりのイスラエル留学経験者にインタビューです。
今回は、ネゲブにあるベングリオン大学で学ばれた、Y.Oさんにお聞きしました。
●イスラエルのどちらの大学で何を学ばれましたか?
ネゲブ砂漠にあるベングリオン大学で、ユダヤ民族史とユダヤ思想を学びました。
●なぜそのコースを学びたいと思われたのでしょうか?
どうしてと言われると難しいのですが、神様から与えられた律法を受け入れ、苦難の歴史を歩んできたユダヤ人。逃れようとしても逃れられず、そして他のどんな帝国を築いた民族が滅んでも、生き抜いた人々の考え方、生き延びてきた過程など、すべてが驚きで奇跡を見る思いです。
また日本人がこれからの厳しい時代を生き抜いていくためには何が大切なのかも非常に考えさせられて過ごしました。
ユダヤ思想の中で、「ユダヤ神秘主義・カバラー」を学んだときは、頭の中まで神秘になり、わけのわからない世界に入りかけました。
ユダヤ教の伝統に基づいた創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想ですが、アメリ化の歌手マドンナもカバラーの信奉者であることで有名です。
何かの魔法陣のようです・・・
授業の中で、神様の身長は?とでてきたり、無限の存在である神様が有限の地上をどうやって想像されたのかなど、考えてもわからないことが次々に出てきました。
カバラーの代表的なものに「ゲマトリア」という考えがあります。これは、ヘブライ文字を数字に置き換えて関連性を探るもので、現れる数字を全部加算します。
単語は全く別の意味でも合計した数字が同じだと、関連性があると考えられます。聖書の中の多くの単語を数値化していくのですが、やっているうちにだんだん頭がしびれて、神秘な世界に入りかけたことがありました。
以下のようにヘブライ語のアルファベット順に数字が決められています。
א=1
ב=2
ג=3
ד=4
ה=5
・
・
י=10
・
・
ק=100
・
・
ת=400
●学生生活で驚いたこと、感心したこと
イスラエルは徴兵制があるので、同級生はほとんどが軍隊を終えてから、大学を志す方が多く、年上の方が多かったです。まさに死線を超えて、本当に学びたいことを学んでいる人が多かったので、勉強に取り組む姿勢が真剣で、大学生は勉学を非常に大切に思っていたことに良き感化を与えられました。
●ベエルシェバの町はどんなところですか?
今はだいぶ様変わりしましたが、私が学んだ当時は、ベエルシェバの観光名所の一つアブラハムの井戸を中心にオリエンタルな雰囲気があり、ユダヤ人だけではなく、アラブ人もベドウィンなどの遊牧民、世界各地からの帰還者の中でもあまり裕福でない人たちと、色々な人種が混然となっている感じでした。
とくに南の暑い国からの帰還者が多かったような気がします。
ベエルシェバの町は、今はずいぶんと雰囲気が変わったと聞いていますが、私がいた当時はユダヤ人やアラブ人、ベドウィンと言われる遊牧民、
ガザ地区が近くにありましたが、アラブ人も多くいたので、当時はミサイルが撃ち込まれるような標的ではなかったように思います。
1週間に一度のベドウィン市場では、安くてなんだかわからない商品がたくさん売られていました。
お金がなかったので、そこで買った布団をずっとつかってました。多分ラクダかヤギの毛が入っていたかと・・・。
豆のおいしいレストランもありました。
南の町なので、日照時間が長く、降り注ぐ太陽光を十分に取り入れるように設計された図書館は、とても明るかったです。
暑い砂漠の町の大学ですが、乾燥していたので、地下に入るとどこもクーラーなど使わずとも寒いぐらいに気持ちよかったです。
砂漠を切り開かなければ、未来はないという方針で、とても希望に溢れ、大学の先生たちも新進気鋭の元気な先生が多かったように思います。
当時はまだ珍しかったパソコンを利用できる教室が24時間生徒に解放されて、何度も泊まり込んで論文を書きました。
私がいたころにテルアビブーハイファからの延長で電車が開通しました。目新しくて、皆で電車にのりました。しかし料金はまだまだバスが安かったです。
●現在はどんなお仕事をされていますか?
銀座にあるキリスト教の書籍を多く扱う書店で働いております。