宇野昌磨さんは、男子シングルが2枠になってしまった2016年の世界選手権にシニア一年目で初出場し、日本男子シングル枠を3枠に戻してくれました。
その2016年以来、2017、2018、2019、2020(コロナのため中止)、2021、2022、2023、2024年までずっと世界選手権代表に選ばれ続け、男子シングル3枠を死守し続けてくれた人です。
宇野さんがいれば、一緒に出る選手もプレッシャーがいくらか軽くなるのでは。そういう屋台骨の役割をシニア一年目からずっと、怪我があろうが靴がへたろうが、担ってきてくれました。
それだけで、私は宇野さんに足を向けて寝られません。
それに加えて、シニアに上がってからの数々の、しっかりしたインタビュー。
池江璃花子さんに関するインタビュー時にも見えた、他者に対する深い配慮。
every④
— misao (@usausamiso) 2019年2月12日
池江選手へのコメント
「僕はすごい無知なので、詳しい事をお答えすることができないので怪我とか病気は人が思ってるより自分が一番苦しい。僕も怪我した時なるべくポジティブに考えようとしていましたけど、やはり自分が一番辛い事なので僕が無知な状態で、何か発言出来ないし、権利はない」 pic.twitter.com/1YFgzJmULv
フィギュアスケートで自分がすべき役割を常に意識しており、フィギュアファンの感情やメディアの動きを察知し、より良い方向に向かうようにさりげなく自分のできる発信をしてきた宇野さん。
フィギュアスケート界で、自分のファンに向けて、他のスケーターを中傷しないでほしいという気持ちを謙虚に発信した宇野さん。
日本選手皆が自分の人生を賭けている、全日本の価値の重さを、もう一度日本スケート連盟に(結果的に)問うた宇野さん。
そして宇野さんはここまで、今の、若い選手が伸び伸びと自分のありのままでいられる土壌を耕してきたと思う。
フィギュアスケートは、ライバル選手と戦うわけではなく、競技の特性上、自分と闘っている人が多いスポーツです。皆が皆、良い演技をしてほしいと願っている選手が多いと思うんです。それが選手同士の仲の良さにつながっているのでしょうが、この習慣は僕たちが生み出したものではなく、僕たちよりも先輩、そしてまたその先輩方がつないできてくださったもの。こうした文化は、僕らも後輩たちにしっかりつなげていきたいですね。
〜
スポーツはシナリオがなく、一瞬のために何年も、何十年も積み重ねてきたものをぶつけるものです。それは本当に素晴らしいことだと思いますし、全ての競技をきれいだなと思いながら見ていました。
若い人が伸びることで、先輩の戦績を超えることで、あるいは自分の好きな選手が負けたというそのことで生まれがちなフィギュアファンの軋轢を、宇野さんは常にポジティブな言動で回避させようとしているのではと私は思っている。
いや意図的に回避させるというよりは、自身が『きれいなもの』と感じるスポーツ競技を、きれいなものとしてそのまま観る人に受け取ってほしいがゆえの純粋さからくる言葉かもしれない。
そういう、ややこしい複雑なフィギュアファンの心情は自分のコントロール外のことであると認識しつつも、宇野さんが自分のありのままの思いをそっとタイミングよく発信してくれることで、どれだけフィギュアファンは(知らずとも)救われてきたかわからないと、私は思っている。
こんなふうに自己を等身大に見つめ、過不足なく嘘なく誠実に気持ちを伝えてくれていることがわかるから…
「どんな出来事も自分のためにある」
宇野さん、ステファンがあなたのためにストックしてあるという曲を、できるだけたくさん観せてください。
芸術と技術を揃えて競技会に通用する醍醐味を、
宇野さんが何度も見返したくなる、今回のショートのような演技ができる嬉しさを、
これからももっともっとたくさん、味わってほしいです。
2006年全日本の高橋大輔選手のフリー『オペラ座の怪人』が僕の原点、
浅田真央選手の2016年全日本最後のフリー演技が生き方の原点、と言っていた宇野さんが、ここで辞めるはずがない、と勝手ながら私は思っています。
いまだ全日本選手権男子シングル連覇中であり、世界ランキング日本男子最上位、今季男子ショートプログラム世界最高得点を持つ、宇野さん。
まだまだ、あなたにはやれることがある。
あなたがフィギュア界を牽引してくれていることに、あらためて心からの感謝と敬意を込めて。
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