私の家に愛犬・紅が来てはや一年以上経ったが、
両親は飼い始めた当初から
幾度となく 夫婦ゲンカ を繰り返している。
ケンカと言っても嫁姑問題のような大それたことではなく、
原因はいつも
「犬を飼いたいと言い出したのはどっちか」
という、家族全員で紅を溺愛している今となっては
ヒジョ~にどうでもいい話である。
昨日も朝っぱらからこんなやりとりが続いた。
「ねぇあなた、最近紅が太ってきたのよ。
獣医の先生から太りすぎはよくないって言われてるのに」
「ん?全然太ってねぇじゃねえか。問題ないだろ」
「ダメよ。先生は体重を3.8キロ以下にしなさいって言ってるのに、
この子もう4.3キロもあるのよ」
「んなもん大して変わらねぇよ」
「体重が増えると腰に負担がかかって悪くなるのよ。
そもそもこんなに太ったのは
あなたが勝手にエサの量を増やしたからでしょ!」
「前なんか痩せこけてガリガリだったのに何言ってんだよ」
「あれで適正体重だったの!
私は先生に言われたことをちゃんと守ってたのに」
「大体犬を飼いたいって言い出したのはどっちだよ!」
「今さらそんなのどうでもいいじゃない」
「いいや、お前は紅を飼うときに
『私が全部面倒を見ます』って言ったぞ」
「あなただって実際かわいがってるでしょ」
「俺はおまえが何も世話しないから仕方なくやってるんだ!」
「何言ってんのよ!私は毎日やってるわよ!
あなたこそかわいがるだけで何もしないじゃない」
「じゃあもういいよ、俺は今後一切面倒見ないからな」
「ええ結構よ、もう一切紅に触らないでよね」
「犬を飼いたいと言い出したのはどっちか」で始まり
最後「もう犬に触るな」で終結するこのやりとりを
私は何度見たことか……
ケンカがおさまった後しばらくして両親を見ると、
父は「触るな」と言われたことなどすっかり忘れ、
「お~~ おまえは本当にかわいいなぁ~~(*´∀`*)」
と顔をほころばせながら紅にスリスリしている。
一方、さっきあれほど厳しく「触るな」と言った母も
そんな父を見て何も言わず、黙々と夕飯の支度 をしている。
なんなんだこの夫婦…
「くだらない夫婦ゲンカは食ってらんねぇ」

