大学礼拝「寺本圭佑金属弦ハープ独奏」
日時:2013年4月17日(水)12:35-13:00
場所:明治学院大学白金チャペル(東京都港区白金台1-2-37)
入場無料、予約不要(どなたでもご参加いただけます)
演奏予定曲目
● アイリーン・アルーン Eileen a ruin
14世紀の詩人キャロル・オダリーの作とされる。オダリーには将来を誓った恋人アイリーンがいた。だがアイリーンは父親の意向で別の男と結婚することになってしまった。婚礼の日、大道芸人に扮したオダリーが会場に忍び込み、おもむろにハープを取り出し「愛しいアイリーン(アイリーン・アルーン)」という歌を歌った。それを聞いたアイリーンはオダリーとともに駆け落ちしたという。
● ワイルド・ギース~リムリック・ラメンテーション Wild geese, Limerick lamentation
1691年、アイルランドは英国との戦争に敗北する。このとき最後まで抵抗を続けていたのが南西部の町リムリックだった。アイルランドの兵士たちは大陸に逃れ、ワールドギースと呼ばれる傭兵となり、英国への雪辱を誓った。このときにマイルス・オライリーによって書かれたハープ音楽。
● 若者の夢~ダニーボーイ Youngman's dream, Danny boy
「若者の夢」は112歳まで生きていた伝説のハープ奏者デニス・ヘンプソンが演奏していた曲。ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)の原曲になったともいわれる。
● ニール・ガウのラメント Niel Gow's lament for the death of his second wife
スコットランドのフィドル(ヴァイオリン)奏者ニール・ガウの作品。晩年のガウが先立たれた妻のために書いた曲。
● 舟男~プリンセス・ロイヤル Fear a'bhata, Princess Royal
「舟男」はスコティッシュ・ゲーリックで歌われる19世紀の恋の歌。「プリンセス・ロイヤル」はカロランの作とされる一方で、英国の国民的音楽とも考えられており、19世紀末に帰属論争が行われていた。
● 東の島 Inis Oirr
トマス・ウォルシュが作曲した20世紀の伝統音楽。Inis Oirr はアイルランド西部のアラン諸島のひとつ。
「アイリッシュ・ハープってどんな楽器?」
アイリッシュ・ハープの原型があらわれたのは、今から1000年も前の11世紀にさかのぼります。アイルランドのひとびとは、この楽器を特に好んで演奏するようになったため、いつしか国を象徴する紋章にまでなりました。現在でもアイルランドのユーロ硬貨には、ハープの絵が描かれています。
この楽器の黄金時代は、エリザベス1世からジェームズ1世の治世、つまり16世紀末でした。この頃、アイリッシュ・ハープ奏者は英国や大陸の宮廷で雇われていました。
その後、17世紀末に英国とアイルランドのあいだで戦争がおこり、アイルランドはこの戦いに負けてしまいました。このときに「ワイルド・ギース」や「リムリック・ラメンテーション」という悲しみのハープ曲が書かれたといわれています。
終戦の年に、カロランという盲目のハープ奏者が現れ、各地をさすらいながら演奏活動をはじめました。彼はアイルランドの紙幣に描かれるほど尊敬されていて、いまでもカロランの作品は好んで演奏されています。
1738年カロランの死後、聴衆の音楽趣味が変化することにともなって、アイリッシュ・ハープは廃れはじめます。ハープフェスティヴァルを開催したり、ハープ協会を作ったりして、伝統芸能の保護活動がおこなわれました。
19世紀末に最後のハープ奏者パトリック・バーンが世を去り、アイルランドの金属弦ハープは歴史の表舞台から姿を消すことになります。それは今からちょうど150年前、1863年のことでした。
その後長らく、金属弦のアイリッシュ・ハープは幻の楽器となってしまいました。ようやく1980年代から古いアイリッシュ・ハープへの関心が高まり、演奏法や楽器の研究が発展し、現在に至ります。
体験してみよう♪ 「はじめてのアイリッシュ・ハープ」
4月21日(日)13:30~16:30
大倉山記念館第1集会室
講師:寺本圭佑(資料代、楽器レンタル代含む)
会費:3000円
要予約:070-5656-2993, queenmaryharp@gmail.com(寺本)。
寺本圭佑(てらもと けいすけ)
アイリッシュ・ハープ奏者、研究家、教師。専門は18世紀以前のアイルランドにおけるハープ音楽。演奏会やレクチャーコンサート、ワークショップを通して、世界的にも演奏者が少ない幻の楽器、金属弦アイリッシュ・ハープの普及に献身。都内や横浜、京都を中心として精力的に活動を続けている。博士論文『18世紀アイルランドのハープ音楽』で芸術学博士(明治学院大学大学院)。明治学院大学文学部芸術学科非常勤講師(音楽史)。