第參拾壱弾目 | Teluてる坊主の髭日記

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MAY THE FORCE BE WITH ALL OF YOU

127エイリアンコヴェナント】(Alien: Covenant)(初)/WOWOWにてはじめまして。シリーズ一気放送の最終作。'17年の作品で前作[プロメテウス]の続編。シリーズでナンバリングするなら6作目にあたる作品。前作でタイトルに「エイリアン」の冠を入れなかったのになぜまた入れたのか。[プロメテウス]で抜いた事に拘りはなかったんかい。今作も別に入れなくていいやん。[コヴェナント]でいいやん。ちなみに〈コヴェナント〉は「契約」の意味らしく「ユダヤ教、キリスト教においてコヴェナント=ユダヤ人と神との契約を意味し、神がイスラエルの民に与えることを約束した「約束の地」を謳ったものであり、聖書からの出典」との事です(Wikiより)。ほら、やっぱ入れなくていいやん。

「固っ苦しい」そんな印象の映画。前作[プロメテウス]もどっちかといえばそんな感じしたけど。なんか純粋に「エイリアン」を楽しむのではなくなんかちょっと身構えて背筋を伸ばすような感覚。窮屈とまでは言わないけど。もっと"単純"でもいいような気はする。冒頭のあの広い部屋の雰囲気やデザインから監督のこだわりが伝わってくるけどなんか違和感じゃないけど『あれ?なんか違う?』という不穏な感覚。リドリーさんってこんなスタイリッシュなセンスありましたっけ?という変な偏見も。[ブレードランナー]のごちゃごちゃで武骨なイメージが強いから。アルファベットが分解された直線で組立てられていくオープニングタイトルは1作目と同じですね([プロメテウス]はちょっと違った)。観始めて最初は〈デヴィッド〉?〈ウォルター〉?乗組員はウォルター?あれ?デヴィッドは?と思ったけど、冒頭のシーンはプロメテウス号の出発前でデヴィッドは前作のデヴィッドでいいらしい。かなりややこしい。一言くらいテロップや字幕でのサポートは欲しかった気はする。ウェイランド(ガイ・ピアース)の見た目の年齢くらいしか判断材料がないもん。

コヴェナント号の副長のクリスになんか既視感があると思ったら[M:i:Ⅲ]でデイヴィアンと裏で結託してた黒幕のマスグレイブ役のビリー・クラダップでした(前作のソロモン・レーンといい何かとインポッシブルな世界線と繋がりがありますね)。主人公のダニー役のキャサリン・ウォーターストンは今作ではちょっと『角野卓造じゃねぇよ!』感がありますけどホントはとてもキュートな人。童顔ですごくかわいいのでよかったら画像検索してみて下さい。前作と今作でほぼ主役と言っていいデヴィッドとウォルターを演じたマイケル・ファスベンダー([X-MEN]シリーズの若い頃のマグニート役)の無機質なアンドロイド感はよかったですね。作品に品と不気味さを与えてます。クライマックスで仕留めた後の安堵なのか残念なのかが微妙な表情がなんとも素晴らしい。最後にマザーにリクエストした曲は冒頭にピアノで弾いた曲でしたね。この辺のあざとさ、嫌いじゃないです。ラストのバトルがほぼタイマン一騎打ちなのはシリーズ通しての流れですね。ただ、前作は大イカ化け物に始末させたからシリーズ中で唯一ちょっと違う。〈エッグサック〉の胞子から寄生し感染するというのはオリジナルより正直怖い。前作の液体ですら十分怖かったのにその液体よりも怖い。でもオリジナルの怖さを超えないで欲しかった気もする。てか、もう別の生態系になっちゃってるし。乗組員たちのドタバタは前作よりも拍車がかかってますね。いい感じにパニくっていい感じにバタバタしていい感じにハプニングを起こしていい感じにストーリーが展開してく。

時間が経つと[プロメテウス]と今作は内容がごっちゃになってしまいそう。事実、液体と胞子の感染方法がごちゃ混ぜになってしまっているとこもある。あと、〈聖書〉のくだりを扱われると途端に話しが難しく感じるし一気にリアリティーがなくなるというかとても離れた世界のお話に感じてしまう。知らないから。まぁこれは無知な自分を恥じるべきなんでしょうがなかなか感情移入や物語に入り込むのが難しいのが正直なところ。そもそも〈神〉とか〈人類の起源〉とかまで行っちゃうとちょっと風呂敷が大き過ぎるのね。そりゃ着地は難しいよ。観終わってから『ん?[プロメテウス]から繋がってなくね?』と思って調べたら、本来はこの間にもう1作作る構想やったとか。それが頓挫してるっぽいけど、あかんやん。要るやん。前作の謎が結構放置のまんまでしょ。

4]の時に書いた『海外は〈モンスター〉の怖さ。日本は〈お化け〉の怖さ』っての。そうなんです、前作と今作は1作目の〈ホラー〉感よりも〈モンスターホラー〉に寄ってしまってるんです。怖さの種類が変わっちゃってる。おまけに〈アンドロイドの自我〉や〈創世〉とかをちょっと前に出し過ぎてしまってて少しジャンルがブレてしまいかけてる気はする。前作の〈人類の起源〉といい『違う、違う、観たいのはそっちじゃないよ』という方向に導かれてるような感覚はあります。

誰かが言ってた。『謎だから怖い』。わかる。45年前のスクリーンでなぜ小惑星LV-426にスペースジョッキーの死骸があったのか、なぜ夥しい数のエッグチェンバーが並んでいたのか。謎のままでも十分成立するし、十分怖い。それを改めて解き明かしてしまう結果になった(勿論、そのまま「謎」にしておいてもよかった気もしなくはない)けど、これはもちろん〈蛇足〉なんかじゃなくてある意味監督の自己満足(語弊あるな)とシリーズファンへのプレゼントやと考えてもいいと思う。そして、もしかしたらリドリー・スコットは前作・今作の興行収入なんてどーでもいいんじゃないかなとまで思っちゃう(元論、ヒットさせる前提で作ってるでしょうけど)。産みの親でもある自分の頭の中にある作りたいものを観て欲しい人たち向けに作った。押し寄せる大群との迫力ある戦闘シーンや命懸けの鬼ごっこや水中を泳いだり人間のDNAの影響で造形から生態が大変わりしたりしたのをいやいや待て、と。そっちじゃないよ、と。そうじゃなくてね、と。『[エイリアン]の正史はコレなんだよ』と言わんばかりに。だからってワケじゃないけどそれなら宙に浮いた3部作の残り1作も是非ともカタチにしてもらいたい。この壮大なスペースオペラをこんな中途半端な状態で幕引きさせるなんてしちゃダメだよ。できるかどうか、やるかどうかはわかんないけど、今作のような賛否両論出てくるシリーズの終わり方じゃなくて『さすがリドリー・スコット!』って問答無用で言わしめるくらいの1作目のような作品でシリーズを締めくくって欲しいと個人的には思っちゃう。

今作のあの絶望のエンディングはすごく好きです。だからこそもう少し上手く(わかりやすく)原点(1作目)に繋げてもよかった気がして少し歯痒いです。ただ、個人的にはあのラストのアノ〈胚〉はなくてもよかったんじゃないかなと思ったりもする。気味悪さと絶望感は増すけども。[1]ではそんなん関係なかったやんって。もう1作品それで作らないといけなくなる。てか、オリガエ6で何が起こったのかとかも投げっぱなしじゃダメでしょ。やっぱもう1作要るよ。普通に観たいし。


かもなぁ)



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