どこか弱々しいマット・デイモン「グリーン・ゾーン」を観た | 考える道具を考える

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ボーンシリーズのマット・デイモンとポール・グリーングラス監督のタッグで上映されている「グリーン・ゾーン」を観た。(原作ラジブ・チャンドラセカラン)

9.11以降、イラク侵攻の根拠となった「大量破壊兵器」はどこにあるのか? 
CIAによる大量破壊兵器調査を補佐するアメリカ陸軍上級准尉でMET隊隊長を演ずるマット・デイモン。

あらすじは見てのお楽しみとして、ボーンシリーズでは無敵の人間サイボーグだったジェイソンが、最も人間的に演じたアクションドラマでもありますね。


国と国とが戦争をするには、「口実」が必要。
イラクへの侵攻の口実は、
大量破壊兵器の存在でした。

その兵器の排除のために、
イラクに侵攻したアメリカ軍でしたが、
そこに利権と傲慢と軍事力で「外から国を変革しようとする」野望、
「事実を作り出そう」とする意図が絡むとき、
いかに無残な劇場を作り出してしまうのか描いているともいえるでしょう。

こういう事実捏造の事態に遭遇したとき、
ジャーナリストはどうすべきか、軍人はどうすべきか、政治家は?


そしていつも思うことですが、
アメリカの正義は、こうした謀略を許さない一面を現在でも強靭に持っている、
というのが物語の面白みとなっているのですね。

自らの誤りを、正義の使者と悪人との対比で描こうとする手法は、
昔からのものではありますが、
正義と悪が、立場が異なることで、まったく別のものに見えるという事実も、
この映画は公平に扱っているように思えます。

アメリカ的正義の論理は、
徹底した功利主義の論理と結びつき、
それが戦争という手段を通して強引に「正義の証明」を試みる。

そんな馬鹿げた正義論に対して、
疑問を持つアメリカ人もいることに、
静かに感動したのでした。

それにしても、ボーンのマット・デイモンを見ている私は、
スーパーマン的格闘家としてのボーンを期待してしまうのですが、
残念ながら今回のマットは、精神の格闘家として描かれていたのでした。


是非、ご欄ください。