手品で場を盛り上げる友人の話 | 考える道具を考える

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The instrument which I think

手品がブームだったのは、つい先ごろまで。
素人が手品を操るには、なかなか技術がいる。

友人に手品の上手な男がる。
色々な場面で、突然手品が始まる。

小さな赤い球を取り出して、
左右の手で上に下にクロスしている間に、
赤い球は二つになり、四つになり、
最後は、8つほどが掌から溢れだしてくる。

友人曰く、手品を見せる場合、三つの原則があるそうだ。
  一つは、何をするのか説明しないこと。
  二つは、二回続けてやってはいけないこと。
  三つは、種明かしをしてはいけないこと。

ははぁ。成る程。

さっそく、百貨店に行き、マジックコーナーで、
120種類の手品ができるセットを購入した。
DVDの解説つきのそのセットは、
手品の仕掛けがいかに単純か示している。
要は、見せ方、演出の仕方次第なのだ。


簡単な練習をして友人の前で披露してみた。
私は、手品の原則を無視して、
実に丁寧に手品の種明かしを始めてしまう衝動を抑えられなかった。
手品をして相手を煙に巻くより、
手品論を展開する始末だったのです。
そして、そもそも、どの手品も、上手くいかないのでした。(当り前か‥)

その後、手品に挑戦することはありません。
思えば、私は、その友人に乗せられて、
百貨店の売上に貢献していた単なる一人の顧客に過ぎなかったのです。
手品に仕掛けられられたのは、ほかならぬ自分自身だったのです。

友人は、その百貨店の責任者なのですから。