
演出家の鴻上尚史さんが
「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」(講談社文庫2003年刊)を出版してから5年が過ぎている。
鴻上尚史さんは、新進の舞台演出家として、
新しい芝居の世界を開いていますが、
同時に、演出の発想からよりよい人間関係や生き方につながる
演出力の日常化への著作もいくつか出版されていますね。
この小さな文庫は、
体、声、感情、言葉についてテーマに分け、
自己演出の可能性について触れていますが、
特に、役者が芝居の中で発する「言葉」について書かれている部分については、
時々読み返して、記憶に留めるようにしています。
言葉のヒントと題するその章では、
言葉を使って話をする時のヒントには三つの輪がある。
第一の輪は、「独り言」
第二の輪は、「二人での対話」
第三の輪は、「大勢の人たちに向かって話す」
意味は私の解釈ですが、人が話をする時に発する言葉には、
独り言の場合と、二人で対話する場面と、大勢の中での自分の三つがあり、
それぞれに話し方は変わる(あるいは変えるよう努力する)‥。
ここが、魅力的な「言葉遣い」の達人への基礎的考え方だというわけですね。
言ったつもりの言葉の悲劇
というキーワードが、この著作には書かれていますが、
せっかく話をしたと思っていても、
相手に伝わるのは僅かで、話したつもりと受け取る側の人の認識とには、
大きな隔たりがあるということですね。
二人で話しをする時には、真剣に相手に相対して、まじめに一生懸命話す。
その感情の伝達がなければ、言葉は、逆に伝わらないと思っていた方がよさそうです。
‥‥でも、この三つの輪は使い方次第でもありますね。
第二の輪で真剣に恋人や友人に話をする時に
ふと、第一の輪の「独り言」のような話し方を交えてみるのも、
実は効果的であるという経験はあります。
但し、使い方を間違えると、「この人、大丈夫なの?」って、
疑われるから注意が必要ですが‥
自分の魅力を演出する‥‥何だか少し気恥ずかしい思いはしますが、
コミュニケーションの「ちょっとしたヒント」には、なります。