Red dwarf Ross 128/128b :赤色矮星
つい先日「Red dwarf NGTS-1/1b :赤色矮星」で紹介したESOが、
もうひとつの天文台での成果を発表しています。
「生命が存在できそうな一番近い系外惑星が見つかる」(National Geographic 日本語版)
-地球から11光年、生命にやさしい「静かな」恒星を回る惑星-
「Closest Temperate World Orbiting Quiet Star Discovered」(ESOの発表(English))
概略位置(おとめ座β付近の赤い〇) /ESO, IAU and Sky & Telescope
概略位置(Google Sky)
Ross 128自体は1925年に発見された赤色矮星なのですが、今回はESOの
ラ・シヤ天文台(前回紹介したパラナル天文台より前に建設されています。)
にある3.6mカセグレン望遠鏡に設置された高精度の分光器であるHARPS
での成果になります。
Ross 128 bとRoss 128のイメージイラスト / ESO/M. Kornmesser
Ross 128はM4V型の赤色矮星で、質量では太陽の0.15倍、直径は太陽の
0.21倍と小さいものなのですが、今回確認された惑星Ross 128bは質量で
地球の1.35倍程度、主星から受けている放射量は地球が太陽から受けて
いる量の1.38倍程度と比較的穏やかで、推定されている気温がセ氏-60度
からセ氏20度程度と、「ひょっとしたら生命活動が可能かも知れない」
ハビタブルゾーンにある可能性を示しています。
(2017年5月の「謎の信号」は空振りだった様ですので、ここの住人が
信号を送ってきたわけではなさそうですが。(笑))(Newsweek Japan)
「謎の信号」では空振りだったアレシボ天文台(Google Map)
ともあれ、可視光から赤外線領域に観測対象を拡げたことにより、
次々と新しい発見が続いています。その先には次世代の望遠鏡の
計画があり、更に詳細な観測が出来そうな候補が増えて行きます。
ESOの設備で言えば、同じラ・シヤ天文台にあるNTTという、もうひとつの
3.5m望遠鏡から発展してパラナル天文台にあるVLT(8.2m x 4)が造られ、
その先にあるものとして口径100mのOWL望遠鏡計画が立案されました。
ただし、予算不足のために口径39mに縮小されたE-ELTとしての計画に
なってしまいましたが、基本的な考え方は踏襲されています。
6角形の「セグメント」を798枚使用します。 / ESO/H.-H. Heyer
1枚鏡で望遠鏡を作ろうとしても、技術的な上限は直径8m程度なので、
E-ELTの場合は798枚の6角形の鏡面を合成したものを主鏡とし、それを
2,394台のアクチュエーターと4,608台のセンサーで能動制御して適正な
鏡面を保ちます。(能動光学はVLTやすばる望遠鏡でも使われています。)
どの位の大きさになるかやってみた@ミュンヘン(2011年) / ESO
同様の方式が、ハッブル宇宙望遠鏡の後継として打ち上げられる予定の
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でも使われています。
(ただしこちらは可視光ではなく赤外線用で、18枚構成になります。)
The full-scale model / NASA / Mike McClare
これらの望遠鏡が稼働を始めれば、より詳細な情報を得られることが
期待されています。そのときまでの準備として、観測候補となるものを
より多くリストアップしておくことが、「いま出来ること」になるでしょう。
(以上)






