Baumgarten an der March (ガス施設)
オーストリアとスロバキアの国境付近で起きた爆発事故のニュースです。
「ガス施設で爆発、1人死亡=オーストリア」(時事通信)
「オーストリアの大規模天然ガス施設で爆発、1人死亡18人負傷」(AFPBB)
翻訳される方が妙な省略をしたせいで、実際の場所とは大きくずれた所を示しています。
「バウムガルテン」という地名はオーストリア国内には少なくとも2か所あり、いずれも
現場からは数十Km以上離れています。「バウムガルテン アン デア マルヒ」です。(笑)
# AFPBBのニュースの方では目立たない程小さな文字で書かれています。
で、実際の場所は、ここです。少しズームアウトしたのがこちら。
西側に消防署がありますが、南側の町の「人口192人」とは少々不釣り合いです。
施設名は「TAG Baumgarten」、誤解の元はこの名称かも知れませんね。
実はここ、EUにとってもロシアにとってもかなり重要な「ハブ施設」なのです。
東北東に伸びているのはスロバキアを経由したロシアからの流入経路で、
ここで乾燥・再圧縮された天然ガスが複数方向に分配されます。
・北西方向への道路に沿った経路では、もともとここで集積していたTallesbrunnの
廃ガス田を転用した貯蔵施設に送られ、一時貯蔵されます。
・西方向への街を避けて耕作地を横断する経路では、その西側のSchönkirchenの
廃ガス田を転用した貯蔵施設に送られ、一時貯蔵されます。
この2つの貯蔵施設だけで、オーストリア国内での需要は充分まかなえます。
どちらも見た目上はガス田のままで、地上設置の巨大なタンクはありません。
・南西方向への最も大規模な経路では、そのまま空港の東端付近まで直進、そこで
イタリア向けの幹線と、東南東方向へのハンガリー向けの支線に分岐します。
「Italy, Switzerland and Austria Pipelines map」(Countries of the world)
このイタリア向けの幹線(赤色の「E2」)の流量がかなり多いので・・・
「オーストリアのガス輸送拠点で爆発、1人死亡 周辺国への供給中断」(Reuters)
・・・(国内消費量の30%をロシアに依存)「非常事態宣言」が出された様です。
「Major Russian Gas Pipelines to Europe」(Samuel Bailey/Wikimedia Commons)
一応供給は再開されたのですが、大きな価格変動を引き起こした様ですし、
「2009年のロシア・ウクライナガス紛争」のときと同様に、供給元のロシアに
とっても、受け入れ側の各国にとっても、この事故の影響は大きいです。
「Austrian Explosion Rattles Europe’s Gas Market」(Bloomberg)
(以上)


