ASIM:高高度放電発光現象(妖精)観測
ESAがISSに新たに設置したASIMからの高高度放電発光現象の画像が公開されました。
「FIRST LIGHT for the storm hunter」(ESA)
ASIM(Atmosphere-Space Interactions Monitor)は、2012-2015年に使用されていた
日本のJEM-GLIMS(Global Lightning and sprIte MeasurementS on JEM-EF)の大幅な
機能拡張版という感じの大きなもので、重量も300Kg以上あります。
Atmosphere-Space Interactions Monitor/Terma/DTU/ESA
JEM-GLIMSのときには2種類の光学系と電波受信を使っての観測でしたが、ASIMでは
エックス線とガンマ線による観測機能が追加されており、これらの発光現象の解明に
役立つことが期待されています。
JEM-GLIMSの光学系部分とVHF帯アンテナ部分(JAXA/北海道大学)
これらの装置を使って観測しようとしている高高度放電発光現象には、いくつかの種類
があり、その発生状態により「SPRITE」「ELVES」等の名前が付けられています。
(どちらも和訳すると「妖精」になります。)
いずれも雷雲からは上方向で、成層圏以上のところで発生するので、ISSからの観測では
地上からの観測と比べて、観測の機会が増え、より詳細に捉えられる可能性があります。
ISS/ASIMで捉えたスマトラ上空の雷:観測者はこの円形をELVESと考えている様です。
VLF帯域の検出機能を持ったJEM-GLIMSなら確認できたのかも知れませんが、今回は
そこまでは出来ていない様です。ともあれ、今回は装置の大型化にともない大幅な性能
向上がなされており、今後の成果には期待が持たれています。
# ESAの記事ではアニメーションGIFになっていますが、1フレーム目を切り出しています。
# また、ロボットアームを使ってASIMを固定する迄の過程を動画でみることが出来ます。
# 「SPACE STORM HUNTER’S TRIP TO SPACE」(ESA)
(以上)