涓滴(火星の)岩を穿つ(NASA/Curiosity)
本当に地味なお話です。2012年8月に火星に着陸したキュリオシティですが、
2016年12月に機能不全を起こし、岩石の採取が出来なくなっていました。
「Curiosity Overview」(NASA)
穿孔位置を安定させるためのガイドを使用した穿孔が出来なくなってしまったのです。
「Curiosity's New Drilling Technique」(YouTube)(NASA/JPL)
「Curiosity Tests a New Way to Drill on Mars」(NASA)
残された機能だけを使って代替が出来ないか、1年以上をかけて検討し、ドリル部分を
ガイドより前方に強制的に移動させ、不安定ながら穴を開けようと考えました。そして、
2018年2月には、とうとう深さ1cmほどの穴を開けることが出来る様になりました。
1年以上かけて深さ1cmの穴、NASAが「涓滴岩を穿つ」を火星で実践した感じです。
機能不全に陥る前であれば、深さ6.4cmまで掘り進んでサンプルを採取出来たので、
もう少し深く掘り下げたいものです。そこで、穿孔時に打撃力を加える方法を検討し、
今回の試行に臨んだわけです。
「Drilling Success: Curiosity is Collecting Mars Rocks」(NASA)
今回出来た穴の深さは約5cm、直径は約1.6cmあります。さて、それなりの穿孔
には成功しましたが、次の課題は、ここからどうやってサンプル採取をするか、
ということです。アームの先端を伸ばし切った状態では、サンプルを採取口まで
搬送することが出来ません。これを解決するには、さらに検討が必要になります。
(以上)