貧困と脳
あらすじ
著者はもともと「最貧困女子」「家のない少年たち」など、貧困にあえぐ方々の取材を通して「貧困は個人の自己責任ではない」ことを世間に訴え続けてきたルポライターです。
「最貧困女子」発行後、著者は脳梗塞を発症し、後遺症として高次脳機能障害が残りました。この著書は自身の高次脳機能障害と向き合う中で、今まで取材してきた方々のことをさらに解像度をあげて、なぜ貧困に陥った(陥ざるを得なかった)のかを解説しています。
さらには、そのような「脳」を持っている人に対するアドバイス・励ましや、そのような脳をもつ人へどのような支援が必要か、自身の経験から具体的に提案してくれています。
グッときたポイント
私は生まれたときから遺伝子に組み込まれた脳みそで生きてきました。なのでこの脳みそ以外で生きてきたことがありません。私が他者と違うなぁ、と漠然と感じることはできても、「どこが」「どう」違うのか、わからないのです。なので「私は人付き合いが苦手」としか説明ができません。難しいのは程度の問題です。私は挨拶や簡単な雑談ならできますし、仲のよい職場の人と食事にいくこともできます。ただ、どうしてもその後は消耗してしまいます。ちょっとしたこと(自分でも嫌になりますが)で消耗し半日寝込むなんてザラです。
ひとりの時間がないとやっていけません。
後にわかるのですが、どうやら「擬態」をしている場合にこのように必要以上に疲れてしまうそうです。この事を知っているといないのとでは雲泥の差です。分かっていない場合自分の身に何が起こったのかわからず、混乱し、あまりの体力のなさに落ち込んでしまいます。知っていれば「あー、昨日私がんばったもんなー、寝て回復しよ」と開き直って回復に全力を尽くすことができます。
こんな人におすすめ
これは全人類読んだら良いのでは?と思います。
人間は結構似たカテゴリーの人間とつるむので、貧困のヒの字もない人はそのような方と出会いません。これがどういう結果を生むのかというと、貧困にあえぐ方への解像度が下がります。結果として「貧困者は怠けているのでは」「貧困は自己責任なのだから援助する必要はないのでは」となります。
働けない脳はどの人間もなる可能性があります。
それは自己責任などではありません。
著者はこの著書のなかで繰り返し訴えています。
「自分とは関係ない」そんな人こそ、手に取っていただきたいです。
