今年読了の25冊目は、9月25日の『血烙 刑事・鳴沢了』(堂場瞬一。安西京子新装版解説。中公文庫)![]()
NY市警で研修中の了に届いた凶報。恋人の息子・勇樹がバスジャックに巻き込まれたという。だが、現場に駆けつけた了が見たのは、犯人の射殺体――勇樹は別の何者かに誘拐されていた。謎を深める事件。容疑者として浮上する大物マフィアの影。頼もしき相棒たちと異国を駆ける了が辿り着いた、事件の哀しき真相とは?
第一部「ニューヨーク」 第二部「アトランタ」 第三部「フロリダ」――の3部で構成。
今回の舞台は、了が研修のために訪れているアメリカ。
それも、恋人・内藤優美が、息子がアメリカのTVドラマに抜擢されたのを機にニューヨークに行っちゃったから、彼女を追いかけて![]()
カタカナ名前の登場人物と、地図での市名(州名)以外全く知らない土地での活動。面白味が感じられない。
了にとっては大事な優美の息子・勇樹の命が翻弄されている。
人を殺すことに躊躇いのない(と思われる)チャイニーズ・マフィアにとっても、自分の子供への愛は、特別なのだろうか。
勇樹を助けるためとはいえ、了の動きが半端なくて、刑事がそんなことしちゃっていいの~と思っちゃった。
追跡班に属している。直訳すれば「冷え切った事件」を扱うセクションであり、犯人不明のまま発生から六カ月以上が経ってしまった重大事件を追跡調査するのが仕事だ。ということは、永遠に終わらない仕事ということである。未解決事件は増える一方なのだ。
刑事は常に、最悪の想定から出発する癖がある。仕事柄、楽天的になれと言われても無理なのだが、
親を選ぶことはできないが、そこから逃げ出すことはできる。そして子どもには、どうしようもない親と縁を切る権利があるはずだ。
どうば・しゅんいち(本名:山野辺和也)=1963年5月21日、茨城県生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒。86年読売新聞東京本社入社、社会部記者やパソコン雑誌編集者を務めるかたわら小説を執筆し、2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。12年読売新聞社退社、作家業に専念。相当の速筆で、15年10月上梓の『Killers』が100冊目の著書となった。主な著書に「刑事・鳴沢了シリーズ」「警視庁疾走課・高城賢吾シリーズ」「アナザーフェイスシリーズ」「警視庁犯罪被害者支援課シリーズ」などがある。
『ラストライン』(21.8.26記)、『割れた誇り ラストライン2』(21.9.07記)、『迷路の始まり ラストライン3』(21.9.14記)、『骨を終え ラストライン4』(21.9.27記)、『壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課』(22.10.17記)、『邪心 警視庁犯罪被害者支援課2』(22.11.14記)、『悪の包囲 ラストライン5』(23.2.05記)『検証捜査』(23.2.21記)、『複合捜査』(23.7.30記)、『共犯捜査』(23.8.22記)、『時限捜査』(23.8.29記)、『凍結捜査』(23.9.25記)、『共謀捜査』(23.10.23記)、『約束の河』(24.11.16記)、『刑事の枷』(25.1.05記)、『沈黙の終わり㊤㊦』(25.2.09記)、『誤ちの絆 警視庁総合支援課』(25.6.28記)、『最後の光 警視庁総合支援課2』(25.7.02記)、『昨日への誓い 警視庁総合支援課3』(25.7.08記)、『ボーダーズ』(25.9.14記)、『夢の終幕 ボーダーズ2』(25.9.19記)、『野心 ボーダーズ3』(25.9.21記)、『初心の業 ボーダーズ4』(25.9.26記)、『長き雨の烙印 汐灘サーガ第1弾』(25.10.11記)、『断絶 汐灘サーガ第2弾』(25.10.12記)、『夜の終焉㊤ 汐灘サーガ第3弾』(25.10.24記)、『夜の終焉㊦ 汐灘サーガ最終章』(25.10.31記)、『英雄の悲鳴 ラストライン7』(25.11.14記)、『雪虫 刑事・鳴沢了』(25.11.17記)、『破弾 刑事・鳴沢了』(25.11.20記)、『熱欲 刑事・鳴沢了』(25.11.22記)、『孤狼 刑事・鳴沢了』(25.11.24記)、『帰郷 刑事・鳴沢了』(25.11.24記)、『讐雨 刑事・鳴沢了』(25.11.28記)、『血烙 刑事・鳴沢了』(25.12.02記)

