The Guys(9.11朗読劇) を福島でやる理由
この公演をとりもって下さっている氏のコメントです。
我々も微力ながら賛同し、公演の実現となりました。いろいろな人たちのいろいろな思いを込めて…
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「これ、何とか福島で上演出来ないかな」。
2011年秋に初めてこの朗読劇「The Guys 消防士たち ~世界貿易センタービルは消えても~」を観た時の感想でした。私は、とにかくその想いを伝えようと楽屋に入り込み、演出家の方や、俳優のお二人と話す機会を得ました。
それから2年掛かりましたが、「ふくしま会議2013」の併設イベントとしてこの朗読劇の公演にこぎ着ける事ができました。関係の皆様のお力添えに大変感謝しています。
この朗読劇の舞台は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から3週間が経った、あるニューヨークの日曜日。この事件で8人の部下を失った消防隊長ニックは、数日後に迫った彼らの葬式で弔辞を読むことになっていました。ところが、いったい彼らに対して、そして彼らの家族に何と言っていいのかわからず困り果てたニックは、友人のつてを頼って、女性ジャーナリストのジョーンのアパートを訪ねます。二人で弔辞の文章を考えて行くのですが、果たして二人は消防士たちに贈る言葉をどう綴っていったのか、という話です。
私は、この朗読劇を観た時、9.11と3.11には共通点があると気づいたのです。それは、理不尽な災害に見舞われた時、その苦境の中でさえ、多くの人が周りの人の為に犠牲的な努力をしたという事実です。実は、私にはそんなことができる自信は全くないのです。だって、下手したら、劇中の消防士たちのように死んでしまうかもしれないのですから。
3.11の地震、津波、そして原発事故の時、我が身を顧みずに他人の救援に向かい、犠牲になった人が少なからずいました。まさに9.11の時の消防士たちのように。どうしてその様な行動を取れる人がいるのか、どうして自分は取れそうにないのか、朗読劇を観た後からその疑問が拭い去れません。
救援に向かって犠牲になられた方々を過大に美化するつもりもありませんし、犠牲的行動を取れそうにもない自分を卑下するつもりもありません。ただただ、人の行動の不思議さに圧倒されるのです。この朗読劇を観て、何かを得たという感じは無いのです(こう言ってしまうと身も蓋もないかな)が、何かを感じたということだけははっきり言えます。
自分の感想はこれくらいにして。
この朗読劇、企画した本人が言うので若干押し付けがましいのですが、是非とも多くの皆様に観ていただきたいと思っています。息の合った、二人の役者さんの熱演は見所ですし、今回は特別に唄もあるようです。役者さんはお二人ともミュージカルのプロですからご期待下さい。