「受験は競争だ!勝たなければ意味がない!」
頭にハチマキ巻いて、拳を突き上げる。
そんな大手塾があります。
漫画「二月の勝者」にもありましたが、
成績順で毎回席順が変わる塾もあります。
上がれるチャンスタイムなんかもあったりする。
上がる子がいれば、当然、下がる子もいるわけで。
そんな競争が苦手な子は、早く転塾することをお勧めします。
受験はキツい、辛いが大前提ですが、塾内での競争の辛さは、あえて感じる必要のない辛さだと思います。
それを楽しめるのであればいいのですが、実際はどうでしょう?
最上位のクラスにいて超難関校を目指し、ある程度のところまで手の届いている子であれば、緊張感を持って順位の上下動を楽しめるかもしれません。
でも、
そんな中でも塾内の競争そのものを苦痛に感じている子もいます。
知人のお子さんもそうでした。
その子は、とにかく目立つのが大嫌い。
成績優秀で、小学校では常に一番。
運動神経もいい。
塾でも上位クラスのトップ5に常にいます。
だから、目立つ。
「すごい!」
「〇〇ちゃんのようになりたい」
彼女の周りには常に友達が集まります。
誰もが彼女の近くにいたいと思う。
でも、その子の親は、
「娘は結構、ブラックのところがあるんですよ」
と、言います。
「本当は嫌いな子もいる。一緒に居たくない子もいる。できれば一人で大人しく本を読んでいたいのに、それを邪魔にされるのが大嫌い。でも、良い人、素敵な人って思われているし、勝手にイケてるグループとか、キラキラグループみたいなのを作って自分もいれられて、それが苦痛で仕方がなかったみたい。だから、小学生の間はそのキャラで通すしかないって言ってた」
だから、その子の口癖は、
「主役になりたくない」
「1番にはなりたくない」
「とにかく目立ちたくない」
だから、塾でも、
「順位決めのテストではちょっとだけ手を抜いているんだって」
行きたい中学校も、
「最難関じゃなくて、そのちょっと下くらい」
行きたい大学も、
「東大以外」
なんだそうです。
「とにかく小さい頃から競争が大嫌い。1番になると、目立つでしょう。すごいって言われる反面、ものすごく敵意をむき出しにしてくる子も確実にいて、そういうことに巻き込まれるのがいやだったみたい。だから、あの大手塾に行ってよかったのかどうか?今でもわからない」
と、その親御さんは言います。
その子の将来の目標は、医師になること。
しかも、
「国連でアフリカとか、国境のない医師団とか、そういうところで貧しい人のための医師になりたいんだって」
その子はその大手塾の全国模試でも10位以内に入るような子でしたが、最難関中学校は受験しませんでした。
不思議だな〜って思いますよね。
そういう立場になりたくてもなれない子ばかりなのに、そういう子は、そういう立場から逃げたいって思っている。
でも、それがその子の望んでいることなのだから、
その苦痛を少しでも取り除いてあげれば?
と、他人事としては思いますが、
親としてはどうでしょうか?
そういう理由で、転塾させてあげようか?
と、考えられるでしょうか?
成績順でクラスや席の場所が変わるというのは、親にとっても塾にとっても、自分の子供が今どの位置にいるのか、とても簡単でわかりやすい。
とても便利なシステムです。
そう、親にとっては。
でも、子供自身はどうなのでしょう?
テンちゃんは、
「キツい。ものすごくキツいし、追い込まれる。でも、そのおかげで頑張れたというのもあるよ」
そう言いますが、私と奥さんは、テンちゃんの性格では、受験まで精神が持たないと思い、その塾に通わせたのは夏休みだけでした。
それが結果的に良かったのか?
それは、この後の彼女の人生を見てみないとわかりません。
ただ、
「キツい」
を、少しでも減らしてあげたい。
それが一番正しい判断だと、その時は思ったのです。
その時、本人は「9月からも通いたい」と、言いました。
でも、私たち夫婦の判断で、個別に戻しました。
競争が苦手な子が、得意になることはあまりないと思います。
そして、あえて勉強以外のことを、このタイミングで克服する必要もないと思います。
どうしても結論が出ないのであれば、
費用はかかりますが、
一定期間だけ個別と集団を併用して、判断するという方法もあります。
考えてみてください。
最後まで読んでくださってありがとうございました。