テンちゃんが、志望校に合格できた理由の一つが、
栄東中学校に好成績で合格できたことです。
栄東中学校は、佐藤栄学園グループの一つで、平成国際大学を筆頭に、埼玉栄中学高等学校、栄東中学高等学校、栄北高等学校、そして、昨年、全国高校野球大会夏の甲子園で優勝した花咲徳栄高校などがあります。
その中でも栄東は、開智、明の星と埼玉県の私立御三家の一角を担う中学校で、受験者数1万人を超える超人気校です。
募集人数約250名に対して、合格者数はなんと、約5000名!
単純計算でも、合格者のうち、20名に1人しか入学しないことになります。
なぜ、こんなにも多くの受験生が栄東中学校を受験するのか?
東京在住にも関わらず、栄東中学校を受験する受験生の大半は、模試感覚だと言われています。
その理由は、どこの模試も12月のうちに終わってしまうので、2月の受験日まで、自分がどの位置にいるのか、わからないからです。
そして、東京の受験日が2月1日〜5日に対して、栄東の受験日は1月10日〜18日だから、ちょうど一ヶ月前。
受験は最後の一ヶ月間をどれだけ頑張ったかで決まると言われていますので、栄東の結果を参考にそこから最終的な志望校を決める判断材料にもなるからです。
それ以外にも、塾の先生の言葉をそのまま書くと、
「まず、本番の雰囲気を掴んでおくことです。栄東には1回の受験に3000人くらいの受験生が来ます。駅から学校に行くまでの道のり、そして、受付、教室内の雰囲気。その全てを本番一ヶ月前に体験しておく。やはり、その場の雰囲気に飲まれてしまって、全く実力が発揮できない受験生がたくさんいます。そうならないためにも、模試感覚で受ける学校は必要なのです」
しかし、テンちゃんにとっては、決して模試感覚というポップな感じで受ける余裕はありません。
テンちゃん本人はもちろんですが、親である私たちにとっても、
「もし、落ちたら、そこから気持ちを挽回するのは難しいよね。そういう意味では受けない方がいいんじゃないの?」
そういう不安が募ります。
テンちゃんも、
「わたしもそう思う。受かっても行きたくないし、本当は受けたくない」
そう言います。
それでも、塾の先生は、
「もし、A日程で落ちても、B日程で挽回できるのも栄東の良いところです」
そう言って、絶対に受けるべきだと、説得されました。
結局、テンちゃんは、栄東の難関大クラスのA日程(1月10日)とB日程(1月16日)に申し込みました。
この時、テンちゃんは、
「受かっても行かない。もし、栄東しか合格できなかったら地元の公立中学校に行く」
と、言ってましたが、わたしと奥さんは、栄東だけ合格したら、栄東に行かせることに密かに決めていました。
と、言うのも、奥さんは埼玉県出身で、栄東がいかに、素晴らしい中学校か、よく知っていました。
ちなみにわたしは福岡県出身ですが、高校時代からの親友のお嬢さんもその当時、栄東高校の東大クラスの3年生でした。彼女は豊島岡学園女子中学を落ちて栄東に入学しました。
「良くも悪くも目立つ学校だけど、娘は栄東が大好き。少なくとも、娘を見ている限りとても良い学校だと思うよ」
と、在校生の親としての感想を聞いていたので、かなり気に入っていました。
昨年、夏の甲子園で全国優勝した同じ系列校である花咲徳栄高校を取材したこともあり、監督さんをインタビューしたこともあって、本当にたまたまなのですが、佐藤栄学園グループのことも調べていたのです。
学校の敷地はとても広く、のどかな住宅街にあり、スポーツにも力を入れて、学習環境は都内私立中学とは比べ物にならないくらい完璧です。
中学から高校に進学すると偏差値がより高くなり、名門大学進学率も抜群に高い。東大合格率だけを見ても、超名門と言っても過言ではないでしょう。
それはそのまま、学校生活の厳しさを表していますが、親にとっては安心です。
ただ、唯一の問題は、東京の自宅から通うのはかなり困難を要するので、本当に栄東に行くことになったら、近くに引っ越すことも決めていました。
子供が覚悟できないなら、まずは、親から覚悟を見せる必要があります。
「テンちゃん、もし、栄東にしか受からなかったら、栄東に行くよ」
「イヤだ。だったら受けない」
「どうしてイヤなの?」
「遠いし。行きたい学校じゃないから」
「遠いは理由にならないよ。第一志望の学校だって、近くはないよ。他に理由は?」
「あまり行きたいと思えないから」
「でも、栄東中学校だったら、将来やりたいと思っていることをしっかり学べる学校だと思う。環境はなんでも揃っているし、勉強にもスポーツにもアートにも集中できる環境だと思う。塾の先生は模試代わりだって言ったけど、今のテンちゃんにはそんな余裕はないよね。全力で合格を目指さないと。そして、受けるのなら、そこに行くつもりで受けないと意味はないと思うんだよ。受ける以上、その学校に敬意をはらわないと。その学校を好きにならないと、絶対に受からない。だから、ちゃんと栄東のことを自分で調べて、最終的に受けるかどうか、決めてね。ただ、もう一度、言っておくけど、栄東に受かって、他を落ちたら、栄東には絶対に行く。だから、受けるか、受けないかは自分で決めなさい」
そして、テンちゃんは数日後、栄東を受験することに決めました。
結果、日程Aは合格。
東大クラスに繰り上げ合格ラインには1点足りませんでした。
栄東の良いところは、点数も、受験生の中での成績順位も全てわかるのです。
それでも、親の私たちは大喜び。
しかし、塾は、
「第一志望に合格するためには、東大クラス繰り上げラインは突破して欲しかったと言うのが本音です。その1点で泣くのが受験です。1点足らないと言うことをなくすためにも、もう一つ上を目指すためにも、B日程も受験してください」
と、言われました。
「えー?!受かっているのにですか?」
「そうです」
「B日程では成績上位での合格を目指しましょう」
そう言います。
「合格したんだから受けなくて良くない?」
そうテンちゃんに言いましたが、テンちゃんは、
「1点足りないのがすごく悔しい。だから、B日程では絶対、上位で合格するから受けたい!」
そして、受けたB日程での順位は、約1500名の受験生に対して15位以内という好成績で合格できました。
そこにはカラクリがあって、A日程で受験した生徒がB日程を受けると、加点されると言う特典があります。
そのおかげでこの成績なのですが、そのことはテンちゃんには言いません。
ただ、B日程には東大クラスに繰り上げ合格はないので、やはり、1点に泣くという現実は変わりません。
やはり、一度の失敗で失ったものは、受験ということに限れば取り戻せないのです。
この事実が、テンちゃんに、最後の馬鹿力を発揮させてくれました。
栄東中学を受けてから、第一志望、第二志望校受験までの二週間で、テンちゃんは人間がスーパーヒーローに変身したかのごとく、覚醒しました。
大人の感覚では考えられないほど、一日、一日で大きく力がついていったのです。
それは学力というよりも、自信。
自信が人を変える。
とは、こういうことを言うんだろうな・・・。
そう思えるほどでした。
結果、栄東中学を受験したことは、テンちゃんにとっては大成功でした。
ちなみに、今年、大学受験だった親友のお嬢さんは、東大を受験して落ちて、今、浪人生です。
でも、親友は、
「栄東に行ってなかったら、東大を受けるレベルには絶対になってなかった。それは言えると思う」
そう言ってました。
そういう意味でも良い学校なんだろうな〜っと、思った次第です。
栄東に合格した時点で、浦和から与野あたりまでの不動産情報を物色していた私にとっては、正直、ちょっと楽しみにしていた気持ちもあったりしたので。
これは、一つの情報ですが、
栄東のA日程を受験される場合のプチ情報です。
テンちゃんは、募集が始まって10日後に申し込みました。その結果、受験校は栄北高校になりました。
栄北高校はそれほど大きな学校ではなくて、受験生も本校に比べて少ないので、かなり落ち着いた環境で臨むことができます。
B日程は本校だったのですが、
「すごい人で校舎に着く頃に気持ち悪くなってやばかった」
それくらい、人がすごい。
そして、体育館で親は待機するのですごい寒い。
それに対し、北高はストーブのある会場で待てます。
だから、
「A日程の受験会場を栄北高で受けられたのはものすごくラッキーだった」
と、いうのが、テンちゃんと付き添いで行った奥さんの感想です。
ご参考になればと思います。
最後まで、読んでくださってありがとうございました。