適菜収の「投げ銭」プロジェクト

【手数料無料】15円から「投げ銭」できます。

 ご存じのように、現在、おそろしいほどの勢いで雑誌が廃刊になっている。特にこの10年で消えていった雑誌は多い。出版業界自体が斜陽産業であり、街の書店もなくなっていった。
 中小の出版社は倒産が相次ぎ、だからといって大手出版社が安泰というわけでもない。
 かろうじて仕事がある私などまだマシなほうで、知り合いの編集者に聞くと、いわゆるフリーライターと呼ばれる人たちは最貧困層に陥っているという。
 本が売れないから出版社は確実に利益がでるように初版部数を減らす。それで売れるチャンスがある本も売り逃し、ある程度売れていても重版をかけなくなる。貧すれば鈍するというやつで、ますます出版業界自体が縮小していく。
 もっともこれは出版業界だけではなく、音楽業界なども同じようなもの。サブスクで500円で映画も音楽も視聴し放題になったら、誰もカネを使わなくなる。レンタルビデオ店もほぼ消滅した。
 だからといって、「けしからん」と言っていても仕方がない。
 この流れが元に戻るとも思えない。
 私はたまに上野公園を散歩している。
 美術館に行くことが多いが、大道芸人が路上で芸を見せ、投げ銭をもらっている。
 美しい光景だと思う。
 最近、あれをやればいいと思うようになった。
 メルマガもその一環だ。
 書きたいことを書いて、メールで配信して、投げ銭(購読料)をもらう。

あと、ツイッター上で、小説を書き始めたりもしています。
 書籍を出版しても、売れないなら、そちらのほうがいい。
 もちろん、大手出版社から本を出すメリットはある。
 理由は二つある。
 ひとつは、内容の信頼が高まる(どうでもいいような本は企画が通らない)。
 もうひとつは、きちんとした校正・校閲が期待できることだ。
 逆に言えば、その二つがぐだぐだになってきた場合は、自費出版したほうがマシということだ。
 最近は倉庫やISBNコードの取得は代行業者に頼んで、簡単に個人出版社を作ることができる。私の場合は、自分の本を出すときに、編集作業も行っているので、さらにハードルは低い。
 いずれにせよ、なんらかの自衛策を持たない限り、出版業界で生き抜くのは難しい。
 大学教授など本業がある人間ならまだいいが、私のように文筆だけで生計を立てていると、ギャラが少ない媒体で仕事をするのはきつくなる。大阪で維新の会を取材したときも、交通費やホテル代などは自腹だったので、行動にも限界がある。そこでギャラの少ない雑誌やミニコミ紙などにも文章を書くために、実験的に「投げ銭」をやってみることにした。

 
 これはイスラム文化の喜捨と同じ。
 カネが余っていたら、カネがないところに回せばいいのである。東日本大震災のとき、私はその月の稼ぎを全額寄付した。街を歩いていて、大道芸人が面白かったらきちんとカネを払う。
 そういう形のモデルをやってみます。

 

 

 ※※※

 しばらくやってみて、結果は報告していきます。

 

追記(12.3)

お約束通り、ギャラの少ない月刊誌で連載を始めることにしました。

早ければ年明けから始まります。また、追って報告します。

 

追記(12.4)

「投げ銭」していただいた方のメールアドレスはこちらはわからない仕様になっているので、直接お礼のメールを出すことはできません。ツイッターとFBにイニシャルは記載しますが、もし、なにかしらの連絡が必要な場合は、テキスト欄にメールアドレスを書いておいてください。

 

追記(2021.1.11)

連作ツイッター小説『豆十夜』

に加え、『月刊日本』でも連載を始めます。連載タイトルは「保守のための必読書」です。