オアシス 3 | 壁に耳あり障子にメアリー

オアシス 3

  その後、彼女とは月に2,3回…


 しかし、ある日を境にカミさんの態度が急変し

        なんだかよそよそしくそっけなくなった

 
 どうも、友人の一人から

 「お宅の旦那さんが女性と仲良く歩いていたのを見かけた」と

   情報が入ったらしく

 直接 私に問いかけはしないからよけいに気になる


  私自身

 今の生活と彼女との時間 比べられないほどになっている


 はたから見ると

  “若い女性とおじさん”なのだろうが

 ほんとに男とは悲しいかな“目の前の愛”に真剣すぎてしまうのか


  今は彼女の事しか考えられない状態


  でも、家族は捨てられない

 
だから 思い切って彼女との事に終止符を打つことに


 彼女に電話して明日会う約束をした

     もちろん、まだ内容は話していない



 駅前、最初に話をしたバーで待ち合わせ

 「めずらしいぃ ここに呼び出すなんてぇ」

 「たまにはここがいいかなって…」 やはり言い出せない…

 「一年ぶりくらいなのかなぁ~ 最初に会った場所だね」

 「最初はコンビニになるんじゃないか? ほら、いつもの…」

 「でも、今はなくなっちゃったからぁ 毎朝会えないしぃ

     顔が見れないのは淋しいんだぞっ」

 「ははっ 顔なんか見ても… こんなオヤジ しょうがないだろ?」

 「女はそんなんじゃないんだよっ ほーんとは毎日会いたいのっ」

 どきっ  あぁ 別れ話できそうもないなぁ…  どうしよう…

 「じつは…」

 「そういえばぁ~ ここで会ったのってぇ 

  元彼にフラレて一周年…   独りで飲んでたんだよね 私」

 「あぁ、そうだね」 何もいえないぞ…これは…

 
 すると彼女が急に
 
 「一年間 新鮮な空気を 一生懸命 送ってきましたが いかがでしたか?」

 「えっ?」

 「あなたのオアシスに 私、なれましたか?」

 私を見ないで前を向いて一生懸命涙をこらえている彼女…

 今日、ここに呼び出した事をわかっていたのか

 今、わかれを言い出せない私を気遣っているのか

 本気でお互い愛しあった一年間に自分でピリオドをうつのか


 「私はこの一年間 幸せだったよ 毎日、あなたの事を考えると

  居てもたっても居られなくなる自分を抑えるのは辛かったけどね

  また会えるからって 我慢してたんだぁ

  もう、会えなくなるね、淋しいけど まだ私 若いからがんばります」


 そんな気丈な彼女の姿 見れませんでした

      そういい残し店を出て行く彼女…

   

  お互い傷つかないように別れるなんてできません 

  生活を犠牲にしなければいけない事はわかっている

    でも、気持ちを抑える事できない

          出逢ってしまったのだから…