1.映画「あの頃、君を追いかけた」

 今回のブログはまさかの長編。前編と後編の2回に分けてお送りしたい。
 
 タイトルにあるのは、僕が2回も観に行ってしまった映画だ。その理由は、主演女優である乃木坂46の斎藤飛鳥ちゃんが可愛くて仕方ないのが半分だが、もう半分は、この映画よって自分の過去の体験が喚起され、やり場のない気持ちを抱いたからである。
 自分の非ばかりが思い起こされ、苦しい経験ではあるのだが、自分の中で整理をつける為、書いていきたい。
 
 まず、映画「あの頃、君を追いかけた」について。内容としては、高校のクラスメイトである、水島浩介と早瀬真愛の物語。浩介はおちゃらけタイプ、真愛は優等生タイプと正反対な二人だが、一緒に勉強をする等、学生生活を共有するうちに徐々に惹かれあっていき、両想いになる。高校を卒業後、浩介が思いを打ち明けるが、何故か最後の所ですれ違ってしまい、付き合いそうで付き合わない。
 最後は、真愛が別の男性と結婚するシーンで終わるが、浩介は「本当に好きな相手が幸せになる時、自分も幸せな気分になる」という素直な感想を抱く。付き合えなかったことを後ろ向きには捉えすぎない、爽やかな青春映画だ。個人的には、「なんで俺なんかに勉強を教えてくれるんだよ?」との浩介の質問に対し、真愛が「軽蔑、したくないから。」と答えるシーンにグッとくるものがあった。
(以上、ざっくりと書いたので内容に所々間違いがあったら申し訳ありません。。。)
 
 この映画を見て思い出したのは、七瀬ちゃん(仮名)との思い出だ。映画同様、僕と七瀬は付き合いそうで付き合わなかった。
 付き合う機会は、高1と社会人1年目との2回あった。7年の歳月を経て、2度も結ばれそうになったことになる。そして、付き合わなかったのは、2回とも僕が素直になれなかったこと、相手のことを受け止めきれなかったことが原因だ。
 
 「まあ、相性が良くなかったんじゃん」で済ますことも十分だが、僕は罪悪感、情けなさ、やり切れなさを抱いたままだ。
 

2.衝撃の出会い

 七瀬との出会いは、中学3年生の秋、あまりにも突然に訪れた。今から思い返してみても信じられないことなのだが、七瀬は僕のクラスメイトの良平(仮名)に送るはずだったメールを間違えて赤の他人である僕に送ってきたのだ。七瀬と良平は小学生の時の塾の同級生で、塾の同窓会の連絡メールを送っていたという。
 一体、何故それが僕に届いたのかは未だに分からないままだ。良平や、同じ塾出身で僕と同じ中学だった彰(仮名)や裕樹(仮名)が僕と七瀬をくっつけようと仕組んだという可能性もある。
 
 当時の僕は、そのようなことに疑りを持つことは全くなかった。男子校で、異性との接点が母親と先生しか無かったので、不意に持つことになった女子(しかも同級生!)との接点に大興奮するばかりだった。
 間違いメールに丁寧に返信、それに帰ってきたメールに返信・・・というのを1カ月程繰り返すうちに、いつしか七瀬とは毎日メールをする仲になった。「女の子とメールするのって、こんなに楽しいんだなー」なんて思いながら、僕はこれまでの人生で一切の無縁だった絵文字や顔文字を駆使したメールを送るようになった。
 当時、部活や学校行事関連で問題を抱え、悩んでいた僕にとって、七瀬とのメールは間違いなく生きがいだった。
 
 相手は会ったことのない人である、というのも僕を余計に興奮させた。「どんな相手なんだろう」と妄想を膨らませるのは本当に楽しかった。後日談だが、七瀬も女子校で男子との接点が全く無かったからか、同じように妄想を楽しんでいたそうだ。同窓会も、凄く楽しみにしていたに違いない。別の見方をすれば、二人とも、「想像上の相手」とのメールを楽しんでいたことになる。それが悲劇をもたらすのはもう少し後の話だ。
 また、僕も七瀬も中高一貫校で、高校受験がなかったのは本当に幸いだった。もし受験直前にこんな楽しいことがあったら、とても受験どころではなくなってしまう。世の中の受験生達は、この問題にどのように向き合っているのか気になるところだ。
 
 こうしたメールのやり取りが、5カ月続いた頃であっただろうか。七瀬から「会ってみたい」と連絡が来た。僕自身も、「遊びに誘いたいな。誘なくちゃ。」と考えながらも、恥ずかしさから行動を起こせていなかった中で届いたメールだった。話は変わるが、こうした「行動の起こせなさ」は、この頃からずっと続く僕の欠点だ。
 僕は、興奮を隠せないまま、「もちろん!楽しみだね(^O^)/」と返し、デートの約束を取り付けたのだった。
 

3.最悪のデート

 そして、忘れもしない中3の春休みのある日、僕は生まれて初めてのデートをした。3月も下旬なのに、桜の咲く気配もなく、雪が降るかと思うくらい寒い日だったのをよく覚えている。
 
 会ってみた第一印象は、誠に失礼だが、「あれ、想像となんか違うな。思っていたよりも地味な子だな・・・」というものだった。想像上で、理想の相手を創りあげてしまうという、男子校拗らせマンにありがちな間違いだ。もっとも、七瀬も僕を見て想像上の人物との違いを感じたと思われるのだが。(またしても余談だが、最近はTinder等の出会い系アプリからの出会いも増えたと聞く。掲載している写真なんて、盛りに盛りを重ねたものばかりだろうし、このような想像と現実の違いはよく起こっているのではないだろうか)
 
 メールだとあんなに話が盛り上がったにも関わらず、実際に話してみると全く盛り上がらなかった。異性との会話に緊張していたこと、前述のように想像と違ったと思い、若干幻滅気味だったことが原因だ。全く気分が高揚しないまま、観覧車からの風景を眺め、ジェットコースターで叫び、レストランでお昼ご飯を食べた。
 
 お昼ご飯を食べた後、七瀬からの提案でプリクラを撮ることになった。彼女も、盛り上がらなさに恐らく危機感を抱いており、何とか打破したいとの思いからの行動だったのであろう。
 
 局面打開の為の、言わばカンフル剤として投入されたプリクラであったが、僕は、そこで人生でもTOP3に入るミスを犯してしまう。プリクラなど殆ど撮った経験がなく、テレビやネットで見る「芸能人の○○のキスプリ流出!」というくらいのイメージしか持っていなかった(どんなイメージだよ・・・)。その為、男と女がプリクラ機に入れば当然のようにそうなるでしょという感じで、シャッターが着られる瞬間、あろうということかキスをしたのだ。無論、これは両者にとってのファーストキスであることは言うまでもない。
 プリクラ機から出た七瀬は、呆然自失といった感じだった。その時になって僕は自分の犯した過ちに気付き、「ごめん」と言ったが、一方で生まれて初めてキスをしたという事実、女の子の唇独特のぷるぷるとした感覚に、興奮とも動揺とも言い難い感情を覚えていたのもまた事実だった。
 
 その事件を経て、盛り上がらなかったデートは更に盛り上がらないものとなった。その後、カフェに入ったが、気まずい空気感に耐えられないという感じで、30分くらいで店を退出。そして、そのタイミングで予想よりも早い解散を迎えた。
 
 ここから、僕はその日2度目の過ちを犯す。さっきの唇の感覚がどうしても忘れられず、気まずいカフェの中でも内心興奮しっぱなしだったため、帰り際にもう一度キスをしてしまったのだ。終わった後、僕は申し訳なさで七瀬の顔を見ることが出来なかった。
 ああ、なんて自分本位で厚顔無恥な行いなんであろうか!!
 
 こうして、僕の人生初デートは最悪の形で幕を閉じたのであった。
 
 
~後編に続く~