「ママ!新宿行きたい!」
娘は叫んだ。
娘のお馬さん熱は全然冷めない。
多分お馬さん関係なんだろうなー、とは思ったが
まさか場外馬券売り場に行こうとは。
困った。
私は当日TOEICがある。
「待ち合わせしよ!何時に最寄り駅に行けばいい?」
おおっ!その手があったか!
私は試験に集中できるようにちょっと早めに出て
待ち合わせ場所を写真で送って
試験会場に行った。
試験を受け、駅に向かった。
娘はちょうどいい時間に来たらしい。連絡が入った。
合流成功。
私らは新宿へ各停で向かった。
電車の中は暖かく、椅子がポカポカ。人もそんなに乗ってない。
興奮している私らを落ち着かせるには十分な環境だった。
いざ新宿へ。
着いてみると、なんだあ!?
人だらけではないか!
こんなに混んでたら風邪もひくしコロナもうつる!
私はマスクをきつめにつけた。
初めて通る大きな道。
いくと
なんだあ!?
警備員が1人なんかじゃない!
ずらっと人の盾ができていた。
ここはこんなに危険なのか?
売り場はすぐに分かった。
券売機がたくさん!
え、え、こんなに買いに来る人いるの?
私らは周りを見回すと
真剣に新聞らしきものを読んでる人達がたくさん。
「お母さん、並ばなきゃ。」
え?誰も並んでないよ?
「だってこんなにたくさんの人が…。」
並んでたら券売機ビジーになってるはずでしょ、券売機空いてるよ。
「あっ、そうか。」
娘はスマホ片手に券売機を使った。
買えた。
娘は決断が早い。
「これ、穴馬だよ。」
娘は言った。
本当はおドウが走ってほしかった。
しかし故障してるんじゃしょうがない。
おドウには生きててほしい。
引退式が中止だと知らされたが
おドウはきっと生かしておいてくれると思う。
将来おドウの子供たちが元気に走るのを楽しみにしている。
なにより
おドウに会いたい。
そんな夢を見るようになった。
会えるだろうか?
お母さんは頑張って旅費を稼ごう。
どうやって?
宝くじ?
地道に貯金?
馬券でも買う?
株でも買う?
その前に洗濯機買わなきゃいけないとかあるけれど
とにかく体調整えて
しっかり稼いで
それを元手に…は、その時考えよう。
なんせ
20年株やってきたけどちっとも儲からなかったんだから。
ではまた。