冬が降る。雪が降る。帝都では珍しい、とても寒い日。雪の粒を手に乗せる。儚く消える。私の悲しみも、雪と一緒に消え去ってくれたらいいのに…。
何回、あやめ姉さんのいない冬を迎えただろうか…。私の心は、氷で閉ざされている。何回、帰ってきてほしいと願っただろうか…。私には、父親も母親もいない。あやめ姉さんが、ただ1人の肉親だったのに…。
「あやめ姉さん…。」
空に向かって呼んでみる。当然だけど返事はない。あやめ姉さんが死んだあの日以来、私の心にはぽっかりと穴が開いたまま。悲しみと寂しさと苦しみ…。どうしても、逃げられない…。もっとたくさん、あやめ姉さんのためにできることがあったんじゃないか…。そんなことばかり思う。そんなことばかり思っても、あやめ姉さんは帰ってこない…。
「私のために、泣かないで。かえでには、笑顔が似合うんだから、笑って。」
あやめ姉さんの声が聞こえた。
雪は、私の悲しみも寂しさも苦しみもすべてを白く包んでくれる。憎しみで汚れた心を綺麗にしてくれる。だから、私は、冬が好き。雪が好き。
☆あとがき☆
寝る前に、書いてみました。
今回は、微妙です。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。
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