政権交代の成否を決めるのは無党派層の動向にかかっていると言える。政党支持率で言えば、無党派層が弾凸の1位を占めているからである。

 

5月13日のNHK世論調査・政党支持率によれば、無党派が44%、2位の自民で28%、3位の立憲に至ってはわずか7%、維新の会も5%と言う数字である。

 

かつては無党派と言えばおよそ30%台であった。

が、近年は特に政治不信に拍車をかける政治の劣化状況が続き40%台が当たり前になり、中には50%台に乗る世論調査もあるというから、「無党派層をいかに捉えるか」ということは政党にとって無視できない政策対象となっている。

 

無党派層を取り込むには、注意すべきことがある。

一つは、棄権する人が多いということである。

「棄権が多い無党派層をいかに投票所まで足を運ばせるか」

つまり、「投票所に行きたくなるような公約をいかに掲げるか」ということである。

 

あとで述べるが、重要ではあっても立憲左派のように憲法や安全保障などを自民党との争点にして戦っているようでは、無党派の人々の足は動かない。

無党派層の多くの人の悩みは、社会保険、介護保険などの負担増、際限のない物価高・・・他方では実質賃金が低下し続けている・・・こんな毎日の生活における苦悩である。

 

「暮らしが楽になった」と人々が実感できるような経済政策を具体的にかかげ、格差縮小などの実感が持てるようになれば、政治も面白くなり、棄権も少なくなるかもしれない。

 

無党派層4、5千万人の2割の人が動けば、政権交代は容易に起きることになろう。

 

二つに、無党派層の多くはいわゆる保守票ではないかということである。

かく思うのは、自民党が体たらく状態なのに一向に立憲の政党支持率が伸びないことである。立憲は口では保守を言うが、体臭の左派臭さが国民の安心感を妨げている気がしてならない。

先日の衆院選東京15区の「保守党候補」などは、昨年秋に党が結成されたばかりなのに9人の候補中4位に食い込んだ。保守的な無党派層の票が動いたとしか考えられない。

 

立憲が本当に政権を取りたいなら、憲法・安全保障をはじめ、政策をさらに右へ舵を切り、広範に存在する無党派の保守票を大きく取り込むことを本気になって考えるべきである。

この際は徹底的な政治改革も強力な公約の一つであろうが、国民にとっては目下直面している物価高、賃金安の生活苦こそが問題なのである。

 

金持ち優遇政治で経済格差を問題にしない自民党に対抗して立憲は、外交・安保を争点にすることなく「今の苦しい生活が少しは楽になる」経済政策を提示し、格差の小さい社会の実現を目指すことに全力を挙げるべきである。

その時、無党派層の人々の足は投票所に向かい、政権は自ずから転がり込んでくることになるだろう・・・。