前項では、評論家による次期衆院選予測で政権交代もありうる局面を見た。

政権交代を受けるべき野党第一党たる立憲民主党は、それ相応の心構えを急ぐとともに乗り越えるべき大きな課題を勇気を奮って乗り越えて欲しいと思う。

 

それは、国家存続の基本問題たる安全保障政策の根本的大転換である。つまり、「9条が日本を守る」とか言った無責任なお花畑論を捨てることである。

 

昨日の朝日新聞世論調査では、未だに「9条が戦争を防いでいる」と考える人が76%もいる事を報道している。

しかし、他方、「9条は防衛に支障をきたしている」と考える人も59%ある。

 

矛盾した国民の思いは複雑だが、「9条だけで戦争を防ぐことはできない…防衛努力も必要だ…だが9条は防衛努力を邪魔をしている」という国民の真意を汲み取れないか。

 

「9条」は確かに日本国民を縛ることはできるが、諸外国には全く通用しない条文である。

 

ましてや民主主義国主導の世界秩序を、武力を使ってでも自国に有利なルールに変えようと躍起になっている中国、ロシア、北朝鮮・・・は、日本の隣国である。

ウクライナではないが、日本が「9条」を盾に防衛努力を怠るならば、尖閣・沖縄の侵略意志を持つ中国を喜ばせるだけである。中国は、先の戦争で国土を日本に踏みにじられた恥辱を晴らす機会を狙っている…。

 

かくのごとく「憲法前文…諸国民の公正と信義を信頼して安全を保持」、「9条…戦争の放棄、交戦権の否認」は、著しく今日の日本を取り巻く危機的な国際状況を無視した条文となっている。自縄自縛で日本防衛の支障となっている。愚かなことである。

 

憲法に基づく国家運営を国是とする立憲主義を歌う立憲民主党なら、実質軍隊として交戦する訓練を受け日本国を守る任務にあたる自衛隊の存在は明らかに違憲な存在である。

立憲主義を歌うなら、即「前文」と「9条」の改正を図るべきが筋というものであろう。

 

戦争意思を持たないウクライナが、戦争意思を持つロシアに一方的に攻め込まれた現実を我々は目の前にした。

中国は、武力による尖閣併合、台湾併合の意思を持つ国である。軍事筋では「習近平が2027年の台湾進攻を指示した」との情報が流れている。

 

起きなければいいが、起きたらどう対処するかは政府の責任であるが、被害を受けるのは常に国民である。

想定外などと馬鹿なことは言っておれない。

「外交で解決」などとよく言われるが、侵略意志を持った強い国は弱い国の言うことなど聞かないことは歴史が証明している。

 

ロシアのウクライナ侵略を国際社会が有効な手が打てないまま黙認することになれば、中国も批判を恐れず南シナ海に次いで東シナ海・尖閣・台湾でも平気で不法侵略を続行するだろう。

 

台湾有事となれば、尖閣や南西諸島も戦争に巻き込まれる可能性が大きい。アメリカが身動きできないように北朝鮮も陽動作戦で朝鮮半島で韓国と戦闘に入るかもしれない・・・。

 

かく政権党は、様々な想定をして危機に対処・対策しなければならない。

今のままの立憲民主党では危機管理思想がなく、ほとんど無防備無対策で台湾有事への備えもないようでは政権交代しても、不安で不安で国民は眠れなくなるだろう。

 

立憲民主党が安全保障政策の大転換を図れないとすれば、維新の会との連立は難しく、政権交代は起こせないだろう。

 

それでも自民党を下野させるべきと考えるなら、(私はそう思うのだが)連立を成功させるために「外交・安保政策」は維新に任せるか、自民党政策を継続することで合意するか・・・いずれにしても「お花畑政策」では今日の国際情勢を乗り切ることはできない…待ったなしの「外交・安保」であれば、現実路線を行くしかない。

 

内政政策一般では自民党よりも国民に寄り添った政策を展開してくれるだろうと期待を持てるが、乗り越えるべき課題は「外交・安保政策」である。