岸田首相は、この3月の韓国ユン大統領の来日から間を置かずこの5月7日に「日韓首脳会談」を持った。

両国民の不信感は互いにまだ根強いが、トップ同士の信頼関係が強くなれば世論の動向も変わり始める事だろう。

 

韓国が前の文政権時代は、「政権自体が左翼化・北朝鮮化・反日化しており、日本が善意でどんな努力をしても「恨」という韓国特有の民族感情の海に沈められ日の目を見ることはないから、日韓関係正常化などと言う無駄な努力はしない方が良い…日本政府は徹底して韓国無視を貫いていただきたい」と私は主張してきた。

 

時移り昨年、韓国の政権が「革新」から「保守」に代わった。

韓国世論調査(3月)によれば「70%が日本に好感を持っていない」社会風潮の中でユン・ソンニョル新大統領は、世論の逆風をものともせず、大統領選当時から「日韓関係の修復」を訴え、その後今日まで一貫してその姿勢を崩さなかった。

 

日本には、この韓国政権の変化を韓国の一時の変化と捉え、いつ政権交代で元の木阿弥‥・反日になるか分からないから慎重にと主張する向きもある。

当然の心配でもあるが、岸田政権はユン大統領の姿勢を信頼して一歩を踏み込んだ。

私はそれを支持したいと思う。

 

確かに日本と韓国の間には、解決しなければならない大きな問題が横たわっている。

「竹島領土問題」然り、「徴用工訴訟問題」然り、「慰 安婦問題」、日本大使館前の慰安婦像撤去問題、等々…。

 

しかし、国家にとって最も大きな課題である「日本の安全保障」を考える時、ほとんど軍国主義的戦狼外交を進める今日の中国・ロシア・北朝鮮に囲まれた状況は、まさしく日本の危機と言わざるを得ない。

 

危機に際し、日本単独での防衛が叶わないのであれば、自由と民主主義の価値観を同じくし共通の敵を持つ韓国と連携することは当然の理であろう。

日米同盟の強化という視点から見ても、日本の国益に大いに資することと思う。

 

この認識の上に、日本は小異小道を後ろに下げ、日・米・韓の連携協力の大道に団結すべき時であると考える。

 

日韓の間に横たわる諸問題も早急に解決されるべきであろうが、未だに反日世論が70%を占める現状ではユン大統領と言えども大きな進展は望めないだろう。

しかし、「反日」を主導する韓国の市民運動にメスを入れつつあるユン大統領の実行力を思えば、残りの任期4年に大使館前の慰安婦像の撤去など実現できそうな問題については日本も影に日向に協力しその実現に道筋を付ける努力をすべきであろう。

 

韓国保守政権が実績を上げるようになれば、韓国世論も多少なりとも変わらざるを得ないのではないか。

それは長期的に見ても日本の国益に大いに資することになることである。