影丸「門番様・・・私、こーゆー者ですが・・・(メーシなんか出すなよ!!)
あ、失礼をば・・・
私、京の大丸呉服店の主をしております。
日輪様(※)とは本日お会いするとお約束なく突然伺ったのでございますが
お目通りがかないましょうか?」
※ 最近7代目服部半蔵の引退に伴い、公儀隠密お庭番の頭領となった
「日輪天真」のこと。
門番A「ご主人とやら、アンタ、ちょっと、変だね。
京都のヒトは、みな、足音立てずに歩くのかい?
お供の二人の方々も、アンタの歩調に合わせて、遠くから聞いていても
まるで、一人の御仁がこちらに向かっているような足音のみだったねぇー、
まさに忍びの足運びとみたが?
大丸さんの御主人さんとやらが忍びなのか、それとも、途中で、本物の大丸さんの
ご主人を殺して、成り代わったニセモノなのか・・・?」
影丸「滅相もございません。ただ私は、日輪様には、古くからよくしていただいて
おります、呉服屋のオヤジで、今日は新しいデッチとともにご挨拶に・・・」
門番A「何をショーコに!!いずれ、只者ではあるまい、切捨て・・・る?・・・
おまえ、なにか、まい・・た・・・な??」
影丸「さすが、伊賀屋敷の門番だけのことはあるな、と思って伺っておりましたが・・・
裏柳生殿、門番のイデタチで抜刀用の長刀はあるまいぞ。
身分不相応。田宮流、柳生流あるいは示現流か・・・
段々、姿勢が低くなって構えに入る当たり、<裏柳生の浮き舟の構え>
以外にはあるまい。
しかし、攻撃前の準備にソンナ時間をかけていたら、誰にでも見破られるぞ。
それに、口上が長すぎて、相手に攻撃する時間をあたえてしまいます。
拙者、貴殿の攻撃のあまりの手ぬるさに、それならいっそ「カンプー」してしまったほうが
得策と考え、痺れ薬をまいてみたまでのこと。
悪く思わないで下され。
残った、門番殿、失礼だが、もしや夢麿(七つの影法師、選ばれた七人)の息子殿か?」
門番B「は、摩朱麿と申します。」
影丸「ホホー。やはり、オヤジ殿張りのイケメンぢゃの(影丸そんなこと言わんと思うよ・・・)。
申し訳ないが、天真殿に、影丸が<お伊勢名物・紅福(1)>をもって参上した。
御手すきなら御目にかかりたい、とお伝えくだされ。」
門番B⇒摩朱麿
「はは、只今!!」
▽
(ぴぽぱぴぽ)
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+赤福・・・ぢゃなくて紅福(1)という言葉として文章の記録上に残っている最古のモノは
1706-1707年に書かれた当時の商店の売り上げ台帳といわれております。
実は名前こそ定まっていませんでしたが、ほぼ同一の菓子はそれよりかなり古くから
売られていた形跡があるといわれております。
菓子の名が出てくるのが、徳川吉宗の征夷大将軍即位の10年ほど前のことだ
そうですので、今進行中物語(吉宗治世)と時代は矛盾しませんです。
◆吉宗将軍職在位 1716-1745
X 赤福 ○ 紅福書物上に登場 1706-1707頃
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△
天真「お、これは、確かに裏切り者の影丸殿ではないか?」
影丸「天真殿、上に立つご身分になったとたん、目下へのおやさしい口調も消えましたの・・・」
天真「それは、誰かと同じで、手紙一枚で、江戸から消えてしまったのと同じシンキョーよ・・・」
影丸「それとこれとは・・・」
天真「供の者が、それ、お主のことを心配して袖を引いておるぞ。
まー、この辺でお互いに引こーではないか・・・。
時に、門番に<裏柳生>が入り込んでいたと?」
影丸「この男でござるよ。」
天真「摩朱麿、お主とこの男、伊賀上野の伊賀忍者キョードークミアイ・キョーイク学部で同期といっておったな。」
摩朱麿「さようでございます。歳が多く見えましたので、失礼とは思ったのですが、どうしたことかと伺ってみた
ところ、いくつか仕事についてはみたものの、以前からやってみたかった「忍び」が自分に向いているかどうか
学びなおしたくてここに来たと。
世の中には大変な努力家がおいでになるものだとその時は感心したものでございましたが・・・」
天真「学部の先生はこやつのこと、何かおっしゃっていなかったか??」
摩朱麿「新入生にしては剣がたつとは・・・」
天真「なるほど、ドーダ、お主、ここでこの男に催眠術をかけてみぬか?」
摩朱麿「え?!私はまだよそ様には催眠術などかけたことなどないのですが・・・
それから、催眠術をかける目的は?差し支えなければ御教示くださいませ。」
天真「この術はの、不思議なもので、訓練でジョータツする・しないが決まるものではないらしいのだ。
その者がもちあわせている素質・能力、できるできない、で上手・下手が決まるようだ
(モノの本によるとソーなってます)。
ワシも、前々から、お主がオヤジ殿の気質を引いているかどうかいつか試さなければと思うとった
(夢麿・天真、催眠術では伊賀者の中では一、二の技量)。
それから、目的よ・・・?あまり言いたくはないが、柳生家は大名(事実上の開祖・宗矩が頑張って、旗本から
柳生家を昇格させた)で、服部家は旗本。身分はうんとちがう。
本来柳生家の剣術は、決闘を行ったとしても「活人剣」といって、「人を殺すことを目的とせずを本文」と
する剣術だった。それが、徳川家内部でも権力争いが生じてくると、将軍剣術指南役の「柳生家」に時には
暗殺命令が来るようになった。
困った宗矩は「殺人剣」を使う、柳生忍群を作ったということだ。ただ、柳生の忍者隊と伊賀者の差は始めから
歴然としていて、「柳生忍者隊」は柳生家の「別働隊」であるから、始めから全員が「士分取り立て」。
な!伊賀者のように、士分は頭領が定めた技量・人格優れたるもの上位からXX名まで・・・とかいった制限は
ないのじゃ。
それが、伊賀屋敷にもぐりこんで、何の得があろうというのだ、わしが知りたいワイ。
どうだ、やってみぬか?ワシもコヤツに聞きたいことが山ほどある。
だから、質問の内容はわしが用意するし、困ったときは、わしが助けてやろーではないか!!」
摩朱麿「そこまで仰せとあらば・・・」
天真「よし!話はきまった!!それから、モー一つ、条件がある。」
摩朱麿「どのような・・・」
天真「終わってから話す。今日のお主の助手は、田宮流居合皆伝の後鬼じゃ。」
摩朱麿「後鬼様、よろしくお願いいたします。あまり上位の方ですと緊張いたしますが・・・」
▽
(ぴぽ・ぴぽ)催眠術準備中
天真「影丸、もうそろそろ醒めるか?」
影丸「さようですね。部屋の明かりを遮断して、やつをてきとーなところに縛り付けましょう・・・」
天真「摩朱麿、ちょっと体ゆすって起こして、伊賀屋敷に潜入していた理由をまず聞いてみるか? 」
門番A「あ!お前たち、いつのまにこんな・・・」
影丸「ふふふ、やっとおめざめかね・・・」
天真「影丸、ワシらのセリフをとるでない
!」影丸「これはとんだ出過ぎたまねを・・・」
門番A「お前ら、完全に俺をおちょくってるな!!」
天真「さ、摩朱麿、はじめるぞ・・・ローソクの炎を相手に近づけたり、遠ざけたりすると・・・
やがて、ローソクの先端から熱いモノがタラ~リと・・・」
影丸「天真殿!完全に天真殿が以前嫌っておられた、最後の半蔵様[影丸のいない日の6代目服部半蔵]の
悪乗りする悪い癖、引き継ぎ事項にあったと見えますな・・・?」
天真「あ~、いや~、その~、それは断じてないぞ!!ただ、最近、強いストレスは、人間を少しく疲れさすな、
と仰せであった先代様のお気持ちが、最近、だいぶ分かるようになってきたぞ。」
摩朱麿「天真様、なんだか、ぐったりしてしまいましたけれど・・・次はどうすれば・・・?」
天真・影丸「これはすごい!!」
天真「これは立派な深い睡眠じゃ。しかも、こんなに短い時間で。お主はおやじ殿の血を残らず引いてきた
ようじゃの。いや多分それ以上の才能。
さてさて、こんなに深くかかってしまってはのー、本来は相手の問いに答えることもできなくなるのだが、
少しだけ、催眠を浅くする方法がある。」
摩朱麿「やってみます。」
天真「なに?わかるのか??」
摩朱麿「ええ、多分これで、いいのではと・・・」
門番A[ぐごご・・・GAGIGI・・・」
天真「今お主は鼻をつまんだが、眠る環境を悪くしてやればよいのだ。いや重ね々々すばらしい!!
では、質問は、お主が考えたり、思うところがあれば訊ねてみよ。」
摩朱麿「は。
貴方はなぜ柳生から伊賀に派遣されたのですか?」
門番A「俺は柳生ではなく裏柳生>だ!![裏柳生は架空の流儀です]。それにおれは、裏柳生の命令で
伊賀に入ったのではない。自分から頭領に意見具申してみたのだ・・・」
摩朱麿「あ、またねた・・・・」
天真「細かいことは気にするな。あまり間を置くと本格的眠りに入ってまた起こすまで手間がかかるぞ。」
摩朱麿「続けます。その意見具申とは何ですか?」
門番A⇒裏柳生
「今度の徳川将軍吉宗公は、幕府のこけかかった財政にテコ入れを目玉とする改革案をだした。
後世いうところの<江戸期の三大改革の一つ・キョーフの改革(ヤメンカ!!)>だ。草案を
吉宗公がつくって、実際に動く人間は老中・水野忠之を中心とした幕閣だ。
吉宗公は、今回、財政の柱としては、年貢米の徴収を<四公六民⇒五公五民>として、民衆からの
年貢取り立てを多くするといった骨子を発表した。
その中で、自分が目を引いたのは、年貢を多く取り立てるというほかに、1町歩以上の田畑をもつ自作農
からは、田畑1町歩につき米1俵か相当する畑の産物、ただし最大徴収を8俵までとする。となって
いたのが、最大10俵までとなった。自分の実家は甲州で米を作って(※)いるのでえらいことになったと
おもった。
当然幕府の財政は黒字になって、これを吉宗公は<ミズノミクス?>?<ミズノミミクス??>とか
米・・・ぢゃなくて※)
●面積:1町歩=0.99ha
●収穫量:米2.5俵=10斗=1石=金1両、また米1俵=4斗=72L=60kg
はやしたてたまでは良かったが、地方で百姓一揆が頻発。
とにかく自作農から米俵を集めるのだけは何とか取りやめになり、<ミズノミノミクス>(一回一回違うんで
ないかい?)の一角は崩れた。
そーこーしているうちに<キョーフの改革>(享保の改革だろ!!)も3年がたち、コメ相場の安定も得られぬまま
一応、幕府財政は黒字転換したものの、地方の一揆を納めるのに動員される幕府の役人の手当ても
馬鹿に出来ず、
それでは、内部ギョーム簡略化並びに改善をということで打ち出されてきたのが、
①お庭番衆について
1)伊賀組は従来通り
2)甲賀組は今まで与力相当であったが、頭領は与力のまま存置にて、他の者は伊賀組お庭番と同格の
同心に格下げ。
②柳生忍者隊について
1)裏・表を統合して1隊にすべし
2)士分扱いは、江戸柳生本家当主(*)が定めた、定員XX名までとする。
他の者は、帯刀を許された「農」の地位である。
(*)このほかに、御三家筆頭尾張徳川家剣術指南役・尾張柳生家があります。
今度はおれたちが騒ぐ番だった。そこで、おれは、頭領に伊賀をのっとって、伊賀に渡る分の給金を
柳生が頂きましょう。俺が始めに伊賀の様子を探ってきていーですかと許可をもらったわけだ。」
摩朱麿「単身乗り込んだのですか?仲間がいるはずですね?教えてください!!」
裏柳生「アベノバシ・カンゾー、オブ・・・うッ・・・」
摩朱麿「吹き矢が・・・モー少しだったのに・・・」
天真「こーゆー、潜入して仕事をしているものには常に見張りが付いているのだ。お主の責任ではないぞ。
いや、それにしても、初めてとはとても思えん。それに目的と仲間一人の名前がわかっただけでも
大したものよ。ま、今頃は、消されているかもしれんがの・・・
それにしても、恐るべきは、目的を果たすためには手段を選ばぬ柳生の強大さ、恐ろしさよ・・・
よーし、全員、出てこい!」
摩朱麿「周りに、皆さん、こんなにいらしたんですか?」
天真「始めに1つ条件があるといったのは、お主の術をかける様子を皆に見せることを伝えようと
思ったのぢゃが、お主が緊張するといかんと思いやめたのじゃ。
しかし、これほどの腕前であれば、周りに何人見学者がいても関係なくできたであろうのー。」
時に影丸は?
おー、今の裏柳生の話、なにか心当たりでもあるか?」
影丸「心当たりもなにも。
いま、名前が出てきていた、アベノバシ、オブチラシ、両名捕まえ、一人が伊賀屋敷に潜入、
そして、すきあらば伊賀を乗っ取ろうとしているという話が柳生内部で進んでいるということを
白状させましたので、それを伝えに相談方々、京から出て参った次第でして。
いきなり門番が裏柳生とは。
こちらが忍び歩きだったのでつい地が出てしまったのでしょう。相手に動揺が出てしまった分、
こちらに少し有利になりましたね。
今後のこと、これでも召し上がっていただきながら、皆と相談しませんか?」
天真「ヤヤヤっ、これはかの、包装用紙にゴム印だけ押して賞味期限をごまかしていたことで有名になった
<お伊勢名物・紅福>ではないか??今はダイジョーブなのか???」
脳天鬼=七つの影法師、伊賀組「天鬼」長男
「天真様、その仰せは、遠路、重い餅菓子をお持ち下さった影丸様にあまりのお言葉では
ござらぬか?」
影丸「いーんだ。」
脳天鬼「良くありません、影丸様。貴方様の折角のお気持ちが台無しです。
最近、例の事件以来<株式会社・紅福>では木箱に賞味期限を焼印で付けることになりました。
ですから、そこに押してある賞味期限は信用してよいのです。」
影丸「お主、あいかわらず地方経済には詳しいの。」
脳天鬼「は、先月の非番の日は、紅福さんでアルバイトしてましたから。」
影丸「それでは、天真殿、本題に入る前に2点ばかり、私がここからきえていなくなった釈明をさせてください。」
天真「そーだな。お主がいなくなった当時は、ワシは相当お主のことを恨んどったからの・・・」
影丸「1つは我らの発祥地であります伊賀上野を今後どのような位置づけにするか?であります。
どうしても、お庭番として将軍様の命令がありますので、最近は家族ごと江戸に住まう連中が多くなってきました。
上野の地の伊賀者の人口がじりじりと減ってきております。
今回、柳生に目を付けられた理由の一つに<人出・戦力が減った伊賀上野の伊賀衆与し易し>の印象が
突然思い浮かんだのかもしれません。
それでは、我々は上野を捨てて江戸の人間として生きる事が出来るかというと・・・」
天真「少なくとも、ワシは無理だ。」
影丸「そうなんです、今の世代の人間でも初等教育までは上野でやっておりますから、何らかの愛着は、
あるはずなのです。
それでは、戦う戦力が減ったとしても、埋め合わせに、戦わないと申しますか、戦えない戦力を持ってきて
員数合わせだけやって、いままでと同じだけ上野には伊賀者が住んでいると、見せかけてもよかろうか?
というのが拙者の考えで、その為の実践教育機関が京の呉服店であります。」
天真「ウ~ン・・・影丸、もう少しわかりやすくならんか?」
影丸「はい、なります。だれか・・・」
天真「おい、そーいえば、誰か、この影丸さん御一行様に茶を持て!!」
影丸「誰が、2段目の紅福をとって下さらんか?」
後鬼「こんなに重い物でしたっけ?」
影丸「さすが普段重い刀を持っている者[後鬼には居合の皆伝あり。抜刀術は通常よりかなり長い刀を使います]にはわかるか?
1段目の餅をとると2段目には、小判がざくざくといわないが・・・50両ほど・・・(☆)」
天真「影丸、その50両は?」
影丸「勿論、こちらで使っていただこうと思って持ってきたんですよ。伊賀だけの金として。
ですから、ここにいる衆は他言・・・・」
天真「どーした?」
影丸「そこか?」
◆影丸の放った手裏剣は部屋の障子を突き破り、放物線を描き庭へ。程なく、うめき声が2か所程から聞こえてくる。
天真「2-3人で見てまいれ。」
影丸「いや、急所を外してあります。また、見張りが来て殺していくかもしれない。2-3人だけで行くのは危険です。
ここにいる全員でいきましょう。」
脳天鬼「障子越しに手裏剣を急所を外して相手に当てる秘訣があるのですか?」
天真「ヤツに聞いてくれ!?」
▽
(ぴぽぴぽ)侵入者捜索中
△
天真「どーだ、見つかったか?」
後鬼「それが・・・」
天真「何かまずいことでも起こったか?」
後鬼「全員舌を噛み切って・・・」
天真「さもありなん、やむをえまい。そのほかに何かあるのか?」
後鬼「はぁ、全員、柱、岩、植え込みなど物陰に隠れていながら、手か足に手裏剣が刺さっていて、
確かに急所には当たっていない。
それも、いつそんなひまがあったのか、しびれ薬がしみこませてある木の葉が十字手裏剣に刺してあり、
その刃渡りのところが、相手の体に刺さっていて・・・
庭の障害物越しに隠れていた敵にあてたということばかりではなく、室内の障子越しに・・・」
天真「あー、わかったわかった。そのやり方はワシに聞かんでくれ。ワシにもわからんのだ。」
影丸「天真殿、申し訳ない。一人取り逃がしたようだ・・・」
天真「上野の戦力拡充の話も50両とやらの話も本番はこれからじゃ。
逃したからといってそれほど落ち込む程の事はあるまい。
それより若い連中が、お主の手裏剣の技の秘訣を聞きたくてうずうずして居るぞ。」
(☆)この時代の小判は正徳または享保小判1枚(=1両):いずれも4.76匁(1匁=3.75g)⇒小判1枚17.9g、小判50枚=895g
***********影丸再び ① 了 *******************************
すいません、また自己満足の話です。
はたして、伊賀上野の戦力にならない戦力の埋め合わせとは?
影丸が持ち込んだ50両の意味は?
次回キョーガクの結末?!はありません。
眠くて、字数が切れましたのでやめるだけです。