イソップ物語 北風と太陽とABEちゃんと | 余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

余生庵 カラスの晴耕雨・読ぶろく…クンセイが肴

残り少ない余生をテキトーにいきていくブログ
◇監修 左上野 老鶴 ◇GM 経田野 横鋤 ◇照明 当代元 蔵志
☆余生を送っている人間が書いている記事ですので、恐縮ですが
 「記事更新頑張りましょう」といったコメントにはお返事できま
  せん。

野道を旅人が歩いていました。
それを天空彼方から、北風、太陽、ABEちゃんが覗き込むようにして見下ろしておりました。

最初に、力自慢の北風が一歩進み出てきて言いました。
「あの旅人のコートを誰が脱がせることができるか、3人で腕比べしないか?」

ほかのふたりには異存があろうはずがありません。

北風は
「ではまず私から挑戦させてもらうよ」
と言うが早いか、自慢の頬を思いっきり膨らませて
「ピューーーーーッッ」と強く冷たーい息を吹きかけました。
旅人もコートをはがされそうになりながらも負けてはいません。
背中を丸めて、必死になって両手で襟元をがっしり握り締めます。

北風は、ちょっと不本意そうな顔つきになりながらも
「へへっ、今のは小手調べさ。次は本番、本番!!」
先程にもまして強い冷たい息を吹きかけましたが、今度は旅人が完全に上手でした。
建物の陰に隠れてしまったのです。
「ああーあ、あれはずるい!!」
息も絶え絶えになった北風が文句をいいます。

でもほかのふたりは、
「北風さんの防ぎ方を考えついた時点で、あなたにもう勝ち目はありませんよ」
と厳しい評価を下すのでした。

北風はすごすごと北の国へと帰って行きましたとさ、めでたし、めでたし。
ーーーちょっと、ちょっと!!!

え~、どうやら2番手は「太陽」が攻め手のようです。
「ズイ」と貫禄と自信たっぷりに出てきた太陽ですが、なぜかなにもしようとはしません。
そのまま「ジワ~」と熱を発しますが・・・確かに暑いは暑いのですが・・・

ついに業を煮やしたABEちゃん
「太陽さん、あのですね」
独特の、ややせいた、少し甲高い声で<キョーイクテキシドー>を始めました。
「今あなたのお顔に出ています、ほくろのようなもの、何と呼ばれているかご存知ですか?
ハイ!おわかりにならなければ結構!!”黒点”ですね。
今のあなたはこの黒点がふえています。
これがどーゆー意味か・・・
ハイ!代わりに私が答えて差し上げましょう。
黒点の増加は、赤色恒星の活動度の低下、つまりあなたの温度の低下が考えられ、
農業では冷害などが予測される因子の一つとなっております。」
「しかし」
と太陽も黙ってはいません。
「今は、地球温暖化のはずですから、私は何もしなくても、地球に少し近づいて、少し
熱を出すだけで地球上の人は十分暑く感じてコートを脱いでくれると思ったのですが・・・」

「イーデスカ!?」
とABEちゃんの<シドー>が再び始まります。
「例えば、<クリ>の自生北限は、縄文時代(紀元前4-5000年)で青森県・三内丸山遺跡付近
でしたが、現在は北海道、小樽市・手宮公園です。しかしこれだけのことで、6-7000年間に
単純に温暖化が進んだと決めつけることは実はできないのであります。

なぜかと申しますとォ、ハイ!!
三内では500人単位の、時には主食にできるほどの栗の収穫量がありましたが、
手宮公園では、付近の小動物が食べて、残りを人がおこぼれをいただく程度しか
とれ高はありません。これでは同一レベルの北限としての比較は難しいでありましょう。
また、たとえば、今は凍土と化してしまった”グリーンランド”。ここは、13世紀
頃まで一部の地域ですが、農耕で生計を立てていました・・・」

太陽は、
「これはいつまでたっても自分の番は回ってきそうもないな」
と思ったものですから、あまねくほかの太陽系の惑星や衛星を照らすことに専念する
という本来の仕事を全うすべく、普段の
蒼天の位置に戻ってしまいました。

ABEちゃんはそんな太陽に一瞥をむけましたが、構わず自分の話を続けます。
「そのグリーンランドが10-13世紀に一番暖かかったようだということは知られており、私たちの、
<美しい日本>も平安時代、西暦1000年ころが一番暑さのピークだったようであります。

枕草子などは、暑さで不眠に陥った清少納言の苦し紛れの断末魔の作品集であることが
最近証明されました。

さて、それではその<美しい日本>の西暦1000年以後はどうなったのでしょうか?
じつは現在に至るまで、氷期、あるいは氷河期に向かっているとお考えの学者先生も
おいでになります。

しかし現実には、猛暑日やヒートアイランド現象といった高温の大気の状態が長く続いたり、
降雨にしても、局地的なゲリラ豪雨の規模が拡大し、梅雨・台風の時の降雨量が非常に
多くなるなどの気象異常がめだっておりますですね。ハイ!!

これは、オゾン層が破壊され宇宙から地球に到達する放射線量の増加や、二酸化炭素、
窒素酸化物の増加に関係していると言われております。
特に二酸化炭素は温室効果を持ち、これらの要因の他に、最近増えている、熱や光の
反射性の高い外壁建材の多用による照り返しが気温の上昇も大きい原因のひとつかと
思われます。

ちょっと前までの最高気温と言うのは、昭和8(1933)年の山形市の40.8℃でありますが、
これは、いわゆる盆地気候の土地が偶然記録したに過ぎないものでした。
この記録はその後長らく破られませんでしたが、平成19(2007)年、熊谷と多治見に40.9℃、
平成25(2013)年8月には高知の江川崎に41.0℃と70-80年ぶりに記録が更新されました。

これら各所の標高は、山形は134mとなんといっても高いのですが、ついで多治見95m、
江川崎51mと続きます。ハイ!!
ここまではおそらく盆地性の気候と思われますが、熊谷の標高27mは今まで挙げてきた
自治体とは違った気温の上昇のメカニズムがありそうです。
しかも、あの「ガリガリくん」のアカギ製菓の本社がある標高20mの行田市と直線で
6-7kmほどしか離れていません(オイっ!!関係ないだろ!!!)。

最近言われていますのは、東京23区のヒートアイランド現象の影響+赤城山系のフェーン
現象(カゼが山を越えるときに標高100m上昇すると気温が0.5℃ずつ下がり、
100m下降すると1℃ずつ上昇する)が合わさったものであることと結論が出つつあるようです。

また23区のゲリラ豪雨の規模拡大の原因は、従来東京都内の温度差による上昇気流だけで
積乱雲をつくっていましたが、最近ですと、ヒートアイランド現象で、23区内の温度が上がりに
上がってきたため、23区内は高温多湿、そして23区よりはるか距離の離れた郡部のような、
気温が比較的低い地域との温度差で、積乱雲を作ることになってしまったようです。

そうです、最近は東京都内の河川等の他に九十九里浜の海洋性水分も積乱雲を作るための
エネルギー源となったため、今までとは比べ物にならないほど積乱雲は成長、その直後に
短期集中の豪雨が降るようになりました。ハイ!!」


やっと、ひとしきりABEちゃんの演説が終わったようですが、目はしっかり旅人を追尾しています。
「この辺で、ショーヒゼー率を8⇒10%にあげてみるか・・・」

市場が開かれているようなちょっと大きな市街地に旅人は入って行きました。
しかし、明らかに困惑の表情を浮かべています。
消費税率が上がってしまったため、予定の買い物ができなくなったに違いありません。
意を決したように、旅人は自分のコートを脱いで希望の品と物々交換をしてしまいました。


それを見ていたABEちゃんは、
「なんだ、庶民からコートを奪うなんて、とても簡単なことじゃないか。」
とたいそうご満悦な表情を浮かべておりました。

 
 「北風と太陽とABEと」    

    
Aesop物語、紀元前6世紀ころ、ギリシャ  

     から現代風に手直し               了