さて、もう一方の私だが、
娘から、指摘があった、「歳をとっていない」
これは当たっています。
私は死人で戸籍を持っていないのだ。
妻と結婚した時に、妻の実家から結婚を許してやる代わりに5000万円当方に寄付するか、
生贄に自らの命を差し出せと言われた。
結婚当初、妻の実家から二人の使者がきた。
妻の実家の言い分は、お前は将来有望な尼僧候補を俗世間まで引きずりおろし
汚した。
死を持って償って頂くも、まだ不足なほどである。
1週間時間をやるからカネを払うか、命を差し出すかよく考えておけ・・・と。
そこで使者は帰ろうとするが、玄関ドアが開かない。
妻が念じて、ドアノブを動かなくさせているらしい・・・
妻が出てきた。
あ、お嬢様、早く帰りますよ。
私が選んだ人に、なんて失礼なことを。
それに、私は、実家のいいなりになる気はありません。
それでは私達はここに何をしに来たのやら、帰ったら管長様に叱られてしまいます。
そーね、貴方がたの顔を潰すのもお気の毒よね。
使者達の顔が、少し緊張から解き放たれた。
しかしそれも一瞬で、次の妻の言葉で二人の表情は凍りつく・・・
私を、腕づくで連れ帰ろうとして、力及ばず負けたことにすれば、あなた方の
メンツも立つでしょ・・・
え?とひとりが言ったように私には聞こえた瞬間・・・その一人が
全身から青白い光を発して燃え始めていた。
妻を見ると印を結んで何かを唱えている。
1畳程度の安アパートの玄関だ。人一人燃える?・・・ジョーシキでは考えられないが
見るに見かねて
**子、火事になっちゃうよ。
山は越えたと見えて印を解き始めた。
ふふ・・。あのね。昔、水銀の体温計があったのまだ覚えていらっしゃる?
・・・あら、そーいえばもー一人いらしたんだったわね。
「盈(エイゲツ)月か・・・100人いたら私に勝てたかしら・・・」
先程の青白い光は大いなる炎に包まれたかと思うと、それは将に一瞬の輝きで、
炎はどんどん小さくなって、あっという間消えてしまった。
燃えカスも、いやなにおいも何一つ残らない・・・
「盈月」と呼ばれた相ボーはそれでも、戦闘意欲を失っていなかった・・・
というべきなのか・・・おそらく玉砕覚悟だったのだろうと思われるが、
わずかに、右腕が動いたように見えた・・・私の錯覚か?
次の瞬間尻もちをついて動かなくなっていた。
よくみると、ほほに一筋の髪の毛ほどの血筋・・・
その後ろの玄関ドアをかこってある鋼材のさらに周囲の木材に、基金援助に使われる
赤い羽根のような大きさの茶色い羽根が刺さっていた。
彼は、低いうなり声を上げていた。
じゃ、さっきの続きね、その水銀の体温計、最高温度が42度だったの。
あーなんとなく目盛り見たことがあるよーな。
でも後攻めの、彼には、いったい何が起こったの?
うふふふ、後攻めね。いい表現ね。
まずこのふたりね、父には直属の親衛隊みたいグループが3チームあるの。
それぞれ13人ずつ。
この二人は、中間、2番目に強いチームの隊長と副隊長さんよ。
え?それを、こんな一瞬で?
といってもね、ほんとに強いのはトップグループの4-5人までかな?
後はゴミよ。
お父様もほんとに今のところは小手調べなんでしょ。
この副隊長は、羽を飛ばすのが得意なの。
猛禽類の幼鳥の飛翔に使う羽って真っすぐだから形を整えて飛ばせばまず
狙ったとこに行くの。
成鳥の羽は大きくて重いから遠くまで飛ぶけれど、大抵曲がっているから
まっすぐにするのが大変だし、まっすぐにしたつもりでも、投げてみたら
狙ったところに飛ばない、それに、長いからたくさん身につけられなくて隠密行動には
不向きでしょ?
この人の真骨頂は投げ物の接近戦なの。
私はそんなこと知っていたから結界を作って何が来ても押し戻すように
しておいたわけ。案の定、羽が私の心臓めがけて飛んできたわ。
過去に物好きな奴がいてね、例に羽の投擲のスピードをはかったやつがいたのよ、野球用の
スピードガンじゃはかれなくて、ちょいと自衛隊から借りてきて測ったら1350km/secだったかな?
戦車砲の初速と同じくらいなんだって?その時はさすが2番隊の副体長さんと皆囃し立てたもんよ。
それで、私の中心にむかってきた速度のまま自分のところに跳ね返って飛んでったものの、
自分ではそんな速い攻撃を受けたことがないから防ぎきれなくて、倒れちゃったんでしょ。
自分で技を編み出したときに、どうやったら相手に自分の技の隙を衝かれないか、対策を考えてこそ
本当の必殺技だって、白土三平さんが「カムイ外伝の<飯綱落とし>」の中で「カムイの口を借りて
おっしゃっているわ。
そー考えると彼は二流よね。
弁解しておくと、投げ物の武芸者っていうのかしら、日本では彼は第一人者らしいわよ。
だから一瞬右手が動いたヨーにみえたんだ・・・
そんな速さだから鳥の羽でも、木製の建材に刺さったんだ。
でも、彼がそれ以外の手で攻めて来たらどーするつもりだったの?
だって
と妻は笑って、
静(セイヒツ)謐、あ、隊長の名前ね、がアンナにいとも簡単にやられるんだったら、自分の一番
得意技で勝負するしかないと思うでしょ?!
あなたのおっしゃる通り、
隠し技で来られた方がわたし困ったわよ。
でもヤツの手の動きが見えたなんてすごいわね。
うちの寺に来て修行したら、3番隊の末席くらいには入れるかもしれないわ。
ま、ヨイショ半分に聞いとくさ。
ところであんな擦り傷みたいんでひっくり返っちゃったけど、あの人の始末どうするの?
致死量のトリカブトが塗ってあったわ。彼も鍛えてあるからそのうち復活すでしょう。
私彼を実家まで連れに行ってきます。
ちょっと、
初めの兄さんの話の決着をつけていってよ。
あーそーねー・・・・
妻の初めてめんどくさそーな顔をみた。
妻の話し方の特徴は、きったはったの、先ほどような状況でも無機質な
顔になるだけなのだが・・・
怒らせた?まずいか?
いちおー、あやまっとこ・・・
ごめんね!!
**子と一緒にいると見るもの聞くものSFの世界みたいでさ・・・
じゃ温度計の42度のところから。
なんとなくでも、イメージとしてその辺の温度を覚えておいていただくと、助かるわ。
あの42度ね、高熱が出ている場合、体温があがって行く過程で、体を作っている
タンパク質が一部壊れる、一番初めの温度なんですって。
それで、それ以上、粘ってもショーがないから、そこまで熱が上がったらあきらめて
病院にかかりなさいってことで作られたみたいなの。
それから、西部劇か何かで、皮のブーツで長ーーーいマッチをシュって火を付ける
場面とかご覧になったことあります?
あれ黄燐マッチと言って融点が44度。
人体では無理だけど、空気中に置いておくと30度で発火することもある黄燐というものです。
あれが人間の体の一部にたまり場みたいところがあるの。
だからそのたまり場に念や気を送ってやれば低い風呂より少し高い温度でも
リンが反応して体を発火させることができるわけ、
温度としては一帯が燃えていても50度くらいです。だから、住宅内では、
建材に紙・布なんかが沢山なければ燃え広がらないのよ。
私は苦笑しながら、
常人には不可能なことをそーいとも水を飲む程度の簡単さのヨーにいわんでくれよ。
それに、一人目も、燃え尽きちゃったじゃないか、途中だっていったってどんどん
小さくなてったじゃないか。
あーあれは時間短縮のため私がちぎって遠方の海や山に捨てに行ってきたの・・・
遠方?
チョモランマとかマッキンレーとかソロモン海(ガダルカナル諸島の近くといったほーがいーですか?)とか
**子はテレポートもやっていたというのか?
俗にはソーゆーらシーわね。だから、この片割れさんは動けなさそうだから、
実家まで念力で送り返して、父の前で燃やしちゃおうかと思っているの。
こんな役立たず、親衛隊の副隊長なんて、みんなが迷惑だわ・・・
君って案外・・・
そーね、残酷な人間だと思うわ、自分でも・・・
でもそーしないとこっちがやられるでしょ。
私今こちらの家庭が大切なの、
手段なんか選んでいられない。
いつの間にか、、また妻の顔つきが変わっていた。
必死の形相というのはまさにこういうのをいうのか・・・?
で
妻は見事な筆遣いで巻紙に手紙を認め、ひっくりかえっている盈月のふところに
手紙差し込むと、印を結んで彼を消してしまった。
世の中にはすごい人がいるもんだね。
ソーいわれるのが一番いや!!
ほんとはね、こんなところ、見られたくない・・・特にあなたにはネ・・・
でも凄い財産だと思うけどねー。
寺同士の勢力争いに使われるのよ、死ぬまで・・・
しばらく、静寂が続いた後、私は思い切って訪ねてみた。
あのー、どーしてオレのような、ぱっとしない男のとこに来てくれたのかは知らんけど、
それは・・・
理由は聞きたくないんだ。
おれ、男ばっかの3人兄弟の真ん中なんだ。
だから子供も3人ほしいんだ。
いーわ。
でもこれだけは心得ておいてくださらない?
中で、うちの実家を継ぐ、法力有力候補が生まれた子供たちの中で、
としましょうか。
そうすると、実家では腕ずくで奪いに来るでしょうね。
その時は我々は、とーぜん・・・
あら、あなた、やっぱり、鋭い方ね。
一度実家にさからって家を出たむすめとその夫はもう用無し。
そ、あなたの言うとおり命はないでしょーね。
君の超能力でも阻止は難しいかね。
んーーー。
実はねー、私があの寺のNo1なの。1対1ならなんとかなると思うんだけど、
え!?オヤジさんより凄いの??
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申し訳ありません。
4000字越えそうです。
もー、好きにさせてください。
ご迷惑をおかけいたします。
娘のネコ <終章ー2:妻と私> 了
娘のネコ <終章ー3:破断界> 予定