- 資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)/集英社
- ¥799
- Amazon.co.jp
最近、資本主義の終焉を示唆する本が増えてきましたね。
皮切りは、中谷巌氏の『資本主義はなぜ自壊したか』だったかと思います。あの本は、小渕・小泉の市場開放改革路線のブレーンとして活躍した中谷氏が、新自由主義を信奉していた自分への自己批判と反省を踏まえ、新自由主義こそ資本主義をダメにした原因だと批判するものでした。
本書では、その中谷氏の本よりも、さらに根源的に現在の資本主義が直面する問題にせまっています。
先進国にとって経済が成長するフロンティアがもはや無く、資本主義が限界を迎えていることを、経済学的な裏づけでもって教えてくれる本です。
新自由主義は、それ自体が資本主義を終焉させる原因ではなく、すでに終焉に向いつつあった資本主義の延命策に過ぎなかったのです。
現在の状況で無理に経済成長をさせようとしても、バブルが繰り返されるだけで、結局はバブル崩壊によって経済は後退して資本主義の終わりを早めるだけだと著者は言います。
そして今後は資本主義に替わる新たな社会システムを模索しながらも、従来のように経済成長を目指すのではなく、ゼロ成長による現状維持を目指すべきだと結論付けている。
著者が民主党政権の経済ブレーンだったことを差し引いたとしても、充分に説得力のある内容だと思います。
それにしても、資本主義が本当に終わるとして、次はどのような社会システムが生まれてくるんですかね。
『資本主義はなぜ自壊したのか』の中谷氏は、ブータンやキューバを例に挙げて、経済的な富ではなく、精神的な幸福度で国民の豊かさを実現するべきだと言ってますね。
過度においしいものを食べなくても、過度に着飾らなくても、過度にいい家に住まなくても、それで皆が幸せを感じることができるのなら、それが福祉だということですね。
本当にそんな理想的な社会を実現する社会システムが作れるのか、また、人口が爆発的に増加し行く中で、資源の枯渇や環境の悪化といった問題をクリアして社会福祉を実現する方法などあるのか。
次の社会システムを考えださなければならない天才は、かつてのアダム・スミスやマルクスらとは比べ物にならないくらいの難題を背負わされているのかも知れませんね。