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フロイトはオーストリアの精神科医で 精神分析学
の創始者として有名です。
ドイツ軍がオーストリアに侵攻し、ユダヤ人である
フロイトは妻と共にイギリスへ逃れました。
彼の最晩年の様子が次のように伝えられています。
Sigmund Freud (1856 - 1939)
「1938年3月15日、ナチス軍がオーストリアに侵攻し、
ナチス突撃隊員たちが ウイーンにある フロイトの
家屋を略奪した。
困難を極めたのだが、82歳になったユダヤ人の
精神科医は 6月になって やっと 妻と一緒に生れ
故郷を出てゆく許可を得ることができた。
彼らの貯えも持ち物も すべて 没収された。
だが、イギリスへ逃れた彼らは 賓客として 厚く
もてなされ 通関手続や入国手続は 免除された。
ロンドンにいた３人の娘たちと合流し、最終的には
ﾊﾝﾌﾟｽﾃｯﾄﾞ に落ち着いた。
その年の秋、Freud は 1923年に受けた手術以来、
最も厄介な手術を受けた。
右上顎と口蓋にできた悪性腫瘍を切除し、口内と
鼻内にできた空洞を塞ぐために 大きくて不格好な
人工器官が取り付けられた。
舌の一部も切除された上に このような人工器官を
取り付けられたせいで、フロイトにとっては喋ることが
難しくなり 周囲の人たちも彼の話すことを理解する
のが難しくなった。」
(On 15 March 1938, following the Nazi invasion of Austria,
stormtroopers ransacked Freud's Vienna home.
With difficulty the 82-year-old Jewish psychiatrist obtained
permission to leave his native country with his wife in June.
Their savings and property were confiscated. But in England,
they were treated as honored guessts and customs and
immigration formalities were waived for them. They joined
three of their children in London and settled finally in Hamp-
stead. In the fall, Freud underwent an operation, the most
serious since those of 1923, when a malignancy of the right
side of the upper jaw and palate was removed and a large,
ungainly prosthesis fitted to separate the oral and nasal
cavities. This, and the removal of part of the tongue, made
speaking difficult for Freud and his speech hard to understand.)
「しかし、こんな病気の原因となった ﾍﾋﾞｰｽﾓｰｷﾝｸﾞ
を、口を洗濯バサミで 無理矢理 開けておかねば
ならなくなるほどになった時でさえ, 止めることが
できなかった。
臨終前の 2, 3 ヵ月は 彼にとっては悲惨な日々で
あった； 連日 ﾚﾝﾄｹﾞﾝ照射がなされたが 絶えること
のない顎の痛みは一向に収まらなかった。が、迷妄
麻酔薬を使うことは断り続けた。
しかし、遂に 死の 2, 3 日前になって 大量の鎮静剤
が投与された。
”きちんと 物事を考えられぬ状態よりも もがき苦しむ中
で思考をめぐらす方が いいんだ” と 彼は かつて 言って
いた。
彼は 絶筆となる "精神分析概要" を執筆し続け、亡くなる
年の 1939年にも 一日４件の精神分析を行っていた。
1939年9月23日の夜半前に 辛抱強く耐えていた フロイトは
息を引き取ったが、彼の体は もう 見た目にも やつれ果てて
いた。
彼の死にざまについて 友人で しょっちゅう彼のもとを訪れて
いた ｽﾃﾌｧﾝ･ﾂﾊﾞｲｸ は こう書き残している。
”元気に生きていた時よりも 死に際の方が ずっと 精神的で
教訓的な 偉業 を 残した人物だ" と。
(Yet the heavy smoking that caused his disease was never dis-
continued, even when his mouth needed to be forced open with
a clothes pin. Freud's last months were harrowing； daily x-ray
therapy did nothing to ease the continuous pain in the jaw, yet
he denied himself analgesics until the final heavy sedation of
his last few days. "I prefer to think in torment, rather than not
to be able to think clearly," he once said. He continued to work
on his last book, "The Outline of Psychoanalysis", and to conduct
four analyses a day through much of 1939. By the time he died,
uncomplainingly, just before midnight on 23 Septemer 1939, his
body was visibly wasted. The manner of his dying, wrote his friend
and regular visitor Stefan Zweig, "was no less a moral feat than
his life." )
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