昨日は、ブライアン・ブレイド&フェローシップバンドのライブを見に行ってきた。
凄まじく良いライブだった。
とてつもなく良いライブだった。
もう、訳わからんちーになっちゃうくらい良かったよ。
ブライアン・ブレイド。
今、現役のジャズドラマーの中で、私が1番好きなドラマー。
ウェイン・ショーター・カルテットの演奏を聞いて以来、彼のドラムの音の虜になり、来日した時はどんなバンドであろうと必ず見に行っている。
昨年の来日公演の時、あまりにその音が美し過ぎて思わず涙した。
ドラムの音聞いて泣いたのは初めてだった。
昨日は、そんな今まで見たライブの中でもとびきり素晴らしいものだった。
ライブを聞きながら突然理解した。
ブライアン・ブレイドのドラムの音は美しいってだけではない。
「純粋」なのだ。
ドラムに対し、バンドに対し、音に対し、とてもとても純粋。
まるで子供が音を出してるようだった。
大きな木の切り株から仏像を掘り出すように。
まるで昔からそうであったように音を奏でていく。
その純粋で無邪気な音を全身で浴びているうちに一つの映画を思い出した。
「グラン・ブルー」
主人公がイルカに会いに真っ暗な海底に沈んでいく姿だ。
彼はドラムを叩きながら、幻想的で純粋で真白な光を放っていく。
いや、ドラムを叩く、って事をすでに超越してる。
音を奏でる。サウンドを編み出す。
メロディーもハーモニーもそこから聞こえてくる。
その場で作曲してるくらいの説得力だ。
そして、オーケストラのような壮大なドラムでバンドを巧みに演出し、大きな音の絵を描きあげる。
ダビンチのように広く。
レンブラントのように深く。
パウルクレーのように暖かい。
曲が一つの作品になっていく。
卓越した芸術家が、目の前で絵画作品を一気に書きあげてしまうのを目撃してるような感覚だった。
そして。今回のライブでもう一つ感じたこと。
それは、ブライアン・ブレイドの気が充実してるってことだ。
彼は今まさに、ノッている。
これまで数々のミュージシャンの音を聴いてきたが。
過去凄かった人とか、以前カッコ良かった人である場合が断然多い。
今一番ノッているという状態のミュージシャンの音を聞くチャンスって実はなかなか無い。
流行ってるとかってことではなく。
本人自身の気がノッてる状態だ。
いい波がきてる。いい風吹いてる。そんな状態。
彼は、ドラムセットに座っただけで、みるみるうちに気が充実していった。
細い体から、炎のようにメラメラとオーラを放っていた。
その気をシンバルの音と共にドカンっと一気に放出する。
ライブハウスの一番端にいる人間まで、100%伝わる津波のような気。
一瞬にしてライブハウスという空間を自分のモノにしてしまう気の放出だった。
あれほど充実した気に触れたのは久々だ。
お客さん全員があんなにも集中していたライブってなかなかない。
あの場にいる人全員が、バンドから放たれる音を一つ一つじっくり味わっている。
バンドが盛り上れば、皆で興奮し。静かになれば、それを噛みしめるように聞き惚れる。
たった一人の人間が生み出すドラムの音に全員が一喜一憂していた。
人間ってあそこまでいけるんだなって思った。
次元が違ったよ。
吸ってる空気が違う。見えてる景色が違う。聞こえる音が違う。
きっとそういう人にしかいけない場所ってあるんだろうな。
彼は、そういう次元にいっちゃってた。
世界が違うよ。
いや、今の時点でまだ発展途上であろう。
まだまだ、上に向かって行きそうな余裕を感じたよ。
まだまだ、気は枯れそうもない。これから益々充実していきそうだ。
彼はこれからも、ドラムの、いや、ジャズの、音楽の歴史を変えていくだろう。
ブライアン・ブレイド。
今まさに歴史を作ってる男。
そんな彼と同時代に生まれたことを幸せに思う。
